第10話

(めちゃくちゃカワイイ……)



友達の、ユナと茅乃にも見せてあげたいな。そう言えば、みんな元気にしているだろうか。急に学校に来なくなった私を、心配してるかもしれない。



そうやって、ここに来て初めての郷愁に浸っている時のことだった。






目の前を、ものすごい勢いで、風が横切った。



あっという間に、うさぎの姿が視界から消える。







「え……?」



あまりに一瞬の出来事だったから、トンビかハヤブサが、うさぎを拐ってしまったのかと思った。



だけど次の瞬間、ようやく正気を取り戻した私の目に映ったのは、人間の足だった。






2本の、裸足の足。



暗い森の中だからか、その姿は、光を纏ったかのように薄ぼんやりと輝いて見えた。



―――それは、半パン姿の男の子だった。

  • Xで共有
  • Facebookで共有
  • はてなブックマークでブックマーク

作者を応援しよう!

ハートをクリックで、簡単に応援の気持ちを伝えられます。(ログインが必要です)

応援したユーザー

応援すると応援コメントも書けます

新規登録で充実の読書を

マイページ
読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
フォローしたユーザーの活動を追える
通知
小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
閲覧履歴
以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
新規ユーザー登録無料

アカウントをお持ちの方はログイン

カクヨムで可能な読書体験をくわしく知る