第70話
「坂下さん、レモンティーで良かった?」
しばらくして、杉山ケンタが缶を2つ抱えて戻って来た。
そして未だ放心状態のわたしに「坂下さーん?」と不思議そうに声を掛けて来る。
やがて杉山ケンタは、わたしの掌にある2枚にチケットに気づいたようで。
「え!? ていうかそれ、チケットじゃん!! どうしたの!? この短時間で、どうやって手に入れたの!?」
わたし以上の混乱状態に陥っていた。
黒ハットの謎のイケメンがくれた、と言っても杉山ケンタは納得していないようだった。
「なんでなんで? なんでその人いらなくなったの? ていうかタダで貰ったって、誰にだよ!?」
……そんなの知らない。
「ていうかそもそも顔が見えないのに、なんでイケメンって思うんだよ」
終いには、全くもって的外れなポイントを突いて来る。
「全体的な雰囲気っていうか、なんかオーラがイケメンで。あ、そうだ、ちょっと中田功っぽかった」
思い付いたままを口にすれば、「中田功か~、そりゃイケメンだわ」って杉山ケンタは今度は納得モードに入っている。
それから突如どうでも良くなったのか、「兎に角並ぼうよ! やった、中に入れる! こんなことってあるんだね」って目を輝かせ始めた。
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