第5話
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「この絵がそんなに好き?」
平日の真昼間。
退屈な授業を抜け出して美術館をさまよっていたわたしに声を掛けて来たのは、やたらと愛想のいい男だった。
「………」
無視を決め込んでも、男は笑顔を崩さない。
にんまりと口もとを緩めたまま、目の前の絵画に視線を移し。
「それにしても、超デカいな。どうやって描いたんだろ? そうとう体力いりそう。俺なら絶対にやりたくない」
やたらとチャラい口調で、話し続ける。
「………」
「知り合いにさー、いたんだよね。この絵のレプリカ持ってる人。でかでかと、一番目に付くところに飾っててさ」
「………」
「超薄気味悪くってさ、俺そいつん家行くの憂鬱だったもん」
「………」
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