かつて有名だった勇者一行が闇堕ちした話
@edhjtedx
第1話 罪悪感
消えてしまいたい。人生で一度は思ったことはないだろうか?今、自分はそう思っている。
「消えてしまいたい…」
俺はそうつぶやく。
「あのときは良かったな…あとちょっとで魔王を…」
この世界は魔族によって人々は恐怖に侵されている。魔族を率いているのは魔王だ。そこで人間達は魔王を倒そうと日々頑張っている。昔は俺もその1人だった。けど今は崖の上に立ち、消えたいと考えている。もし、足が滑ったら俺は消えてしまう。
「もう…生きても意味ないし…いっそのこと…消えてしま…」
と言いかけたときに大声が聞こえた。
「死ぬなんて、ダメです!」
その声が聞こえた方を見ると、可愛い女性がいた。頭に羽が生えており、髪はボブ。大きい目が特徴的だ。露出が高い服を着ている。頭に羽が生えているので、魔王の手下だろう。
その女性は耳を疑うような事を言う。
「山田太郎さんですよね?私…あなたのファンなんです…」
信じられない。魔王の手下が俺のファン?有り得ない。
「そうだけど…君は?」
と女性に聞いてみる。
「私の名前はレベッカ・レッド」
と答える。
そして、その女性は続けて言う。
「山田太郎さんが行方不明になっていて、心配だったの」
「今までどこに行っていたの?」
「お前には関係ないだろ!」
俺は怒ったような口調で言う。
「それと仲間は?」
俺はそれを聞かれたときに黙り込んでしまった。何故かと言うと、俺の仲間は今は魔王の手下だなんて、口が裂けても言えないからだ。
「言えないのー?」
「だいたいお前魔族だろ?」
俺は1番気になっている事を聞いてみた。
「どうして、俺のファンなんだ?」
「元は魔族側だったけど、光堕ちしたの…そして今は人間側」と答えた。
「え……?」
俺は信じられなかった。魔族が光堕ち?人間が闇堕ちするのは知っているが、魔像が光堕ちするなんて聞いたことも、したところも見たことがない。でも、俺は無理やり信じることにした。どうせ死ぬし最後だから信じてやるかと思った。
「あなたのことも教えてよ」
とレベッカに言われた。
「私は答えたから次はあなたの番。」
俺は正直いうと言いたくない。けど、あっちは言ってくれたんだし、俺も言わないといけない。仕方なく俺は答えた。
「じゃあ一つだけ…」
レベッカは嬉しそうな顔をする。
「じゃあ…さっき言っていた仲間のこと…」
「仲間は闇堕ちして、魔族の仲間…で、俺は仲間が闇堕ちしてからずっと人目のつかない外で過ごしてた」
俺は正直に答えた。レベッカは頷いて、俺の言ったことに対して何も言わなかった。正直、その反応で助かった。仲間については何も言われなくないし。
「そうだ!外で暮らしてるなら私の家で暮らさない?」
とレベッカは言う。俺は意味が分からなかった。俺なんかが、人様の家に住んでいいのだろうか…。
困惑する俺を見たのか彼女はこう言った。
「私の家は人も来ないし、外で暮らすよりかは人目につかないと思うけどなー」
「俺なんかが君の家で暮らしていいの…?」
「別にいいよ!言ったでしょ。私は太郎のファンなんだから、家に泊まってくれるなんて夢見たいで嬉しいし!」と言ってくれた。
すごく嬉しかった。この言葉で俺は家に行こうと決心した。
「わかった。君の家に行くよ」
彼女は目を輝かせ、ものすごく嬉しそうにしていた。俺は久しぶりに人が嬉しそうにしてる所を見た。ていうか、人すら見てなかった気がする。
「じゃあ、私の家に行こっか!私に着いてきて!」
「わかったよ」
俺は彼女の言葉に返事をする。
久しぶりに楽しいと感じた。でも、俺は仲間をあんな目にあわせたのに、こんな楽しくなっていいのだろうかと罪悪感があった。
かつて有名だった勇者一行が闇堕ちした話 @edhjtedx
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