最強聖女リリフェルちゃんの奴隷から始める戦場無双~リリフェルちゃんぶっちゃけやる気ないんで、適当に上官信者にしたり同僚奴隷にしたりしつつぷらぷら生きていくっすわ~

火水希望

第1話 リリフェルちゃん、奴隷兵士になる

 おいーっす。リリフェルちゃんっすー。


 リリフェルちゃんはリリフェル教という聖女リリフェルちゃんを崇める新興宗教団体で、信者たちと平和でハッピーな生活してたんすけどね、なんか王国の騎士たちに聖地が急襲されて、邪教として滅ぼされちゃったんすわ。


 んでリリフェルちゃん、なんか裁判とかいうのにかけられたんすよ。死刑とかになるのかなーわくわく、とか思ってたら、なんかリリフェルちゃんが魔法がめっちゃ使えるってばれてたらしくて、お前は犯罪奴隷として兵士になれって言われちゃいました。


 はぁ、だるーって思いつつも、まあ死刑になるとかなったらそれはそれで大脱走からの大逃亡な感じになってだるいんで、大人しく奴隷の首輪とかいうのをつけときましたわ。光魔法で速攻無力化しときましたけど、なんかバレてないみたいなんすよね。ウケる。


 そんで、まー兵士とかやったことないんで、やってみるのもアリかなーなんて思ったリリフェルちゃんは、そのまま王国と帝国が戦争してる国境線まで運ばれてったわけっすよ。チンタラチンタラ走る馬車がグラグラグラグラ揺れてマジお尻痛かったんで、魔法でプカプカ浮いてたら、対面で鎖に繋がれてる重犯罪者のおっさんが目真ん丸にしながらリリフェルちゃんのワンピースの隙間からパンツじろじろ見てたんで、とりあえず「死んどけ」っつって光の弾丸であごぶち飛ばしときました。おっさんは気失って到着するまで起き上がってなかったっすねー、まー死んではないと思うんすけど、どうでもいいっす。


 んでんで、やっとこさ到着した戦場で、なんかよく分からん歩兵服とかいうのに着替えさせられて、なんか安っぽい魔法杖渡されて、「これで魔法を打ちまくるのが貴様の仕事だ、戦えー!」みたいな事上官が言ってたんで、「おいっすー、打ちまくるっすー」って言ってたら「なんだその言葉遣いは、そこに飯抜きで寝るまで立ってろ!」とか上官が怒ってきたんで、だるっ、って思いつつもとりあえずテントの外で突っ立って戦場の空気ってやつを眺めてましたわ。


 見てると新兵みたいな若い兄ちゃん姉ちゃんからベテラン兵みたいなおっさんまで、ばたばたと辺りで慌ただしく訓練したり料理したり武器点検したりしてるんすけど、そういうの眺めてると、なんかわたしと同じ部隊にいたっぽい男の子が一人、こっちをじろじろ見てるんすね。「おいっすー」って話しかけたら、顔真っ赤にしてきょどってるんで、ははーん、この超絶美少女リリフェルちゃんに恋しちゃったかなこりゃって思って、面白いんで「にこーっ」って微笑んでみたんすよ。そしたら、なんかもう我慢できなくなっちゃった、みたいな感じで小走りに近寄ってきたんで、「は?」って威圧する感じで睨んでたら、なんかいきなり土下座してきて「じろじろ見てすいません! か、か、可愛いなって思って、つい見ちゃいました!」なんて叫んでるんで、「あーそうっすか、まーいいっすよ、減るもんじゃないんでー」とか言いながら、歩兵服のブーツでぐりぐり頭踏んづけときました。


「い、いやいや、セリフと行動が逆ですって!」


 泣きそうになりながらつまんない事言うもんだから、「あ、こいつ雑魚だな」って思いながら、「お前、名前は?」ってとりあえず名前聞いときました。


「せ、セドリックですっ!」


 そんなもんでリリフェルちゃんは、「こいつもう名前からしてモブっぽいな」なんて思いながら、「お前、今日からリリフェルちゃんの奴隷な?」って宣言したわけっす。


「は、はぁ……」


 いまいち状況が掴めてないセドリックくんに目線を合わせるようにしゃがみ込むと、女用の歩兵服は下がスカートに厚めのタイツだったんで、見事にセドリックくんの視線がタイツの下のパンツがあるあたりに誘導されてましたわ。なもんで、「エロいんすね、セドリックくん」って言いながら馬鹿にしたみたいに笑ってパーンと頬っぺたに張り手かましたら、なんかこの世の終わりみたいな表情でまた泣きそうになってるんで、しょうがねぇなぁと思いつつ、「リリフェルちゃんは聖女だから、別にお前みたいな奴でも全然いいんすよ。全部受け入れて、愛してあげるっす」って微笑んだら、なんか目見開いて(きゅん……)みたいな乙女的表情してたんで、もっかいパーンと頬っぺた張り飛ばしときましたわ。


 結局その日は飯抜きだったんすけど、セドリックくんがこっそり自分のレーション全部わたしにくれたんで、それを夜にまぎれてもそもそ食ってしのぎましたわ。奴隷って立場をよく理解してる振る舞いだったんで、頭撫でといてやったら、「ぼ、ぼ、ぼ、僕、リリフェルちゃんの事、す、す、す、好きかもしれません……」とかキモい喋り方で告白してきたんで、「百億ゼニー積んでも無理なんで、諦めて奴隷信者になってくださいねー」って言って、ほっぺたぐにぐに引っ張っときました。


 ま、そんな感じでリリフェルちゃんの戦場初日は、平和に過ぎて行きましたわ。

 明日以降どうなってるかは分からないっすけど、まーいってもリリフェルちゃんって最強聖女だったりするんで、たぶん大丈夫なんじゃないっすか? 知らんけど。

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