歩きスマホに注意を促した話
島本 葉
危ないよ
ある晴れた冬の朝のことだった。冷たい空気で少しじんじんとする耳を手で暖めるようにしていると、駅の階段で歩きスマホを見かけた。そのスマホはというと、おぼつかない足取りで、ゆっくりゆっくりと階段を登っていた。
危なっかしいなぁと僕は思ったのだけど、周りの人はあまり気にしていない様子だった。よく見渡してみると、周りには他にも歩きスマホがいっぱいいた。みんなイヤホンをして少しうつむくようにして歩いていているので、危なっかしいのは皆同じだった。中には大きなヘッドホンを付けたているスマホもいて、周りの音が聞こえなくて大丈夫なのかなぁと思った。
ただ、このスマホはちょっと様子がおかしいように感じたのだ。
「ねぇ、大丈夫なの」
階段で追いついて後ろから声を掛けると、スマホが振り返った。
彼の
「ちょっと転んじゃって……」
彼はとても恥ずかしそうに頭をかくと、間違えて触ってしまったのか懐中電灯がパッと灯った。あわわ、と慌てて消す。
「気をつけて行くんだよ」
ちょっと心配になりながらも、僕はトントン、と二段飛ばしで彼を追い越し電車に乗り込んだ。
完
歩きスマホに注意を促した話 島本 葉 @shimapon
★で称える
この小説が面白かったら★をつけてください。おすすめレビューも書けます。
カクヨムを、もっと楽しもう
カクヨムにユーザー登録すると、この小説を他の読者へ★やレビューでおすすめできます。気になる小説や作者の更新チェックに便利なフォロー機能もお試しください。
新規ユーザー登録(無料)簡単に登録できます
この小説のタグ
参加中のコンテスト・自主企画
関連小説
ビューワー設定
文字サイズ
背景色
フォント
組み方向
機能をオンにすると、画面の下部をタップする度に自動的にスクロールして読み進められます。
応援すると応援コメントも書けます