女の子に転生した退役軍人おじさんが軍隊を謳歌する話

蜜りんご

第1話:プロローグ

私の名前は四ノ宮華月。今日7歳の誕生日を迎え、軍に志願した幼女である。だがしかし、中身は倭の国と呼ばれるこの祖国で35年間軍務を務めたおっさんである。


我が国は、倭の国と呼ばれ統率、兵力どちらのバランスも取れた優秀な軍事力を保った国であり、第三次世界大戦、俺も参加した第四次世界大戦、第五次世界大戦にて勝利を治めてきた。俺が生まれるよりも50年も前のことだ。2178年から2187年にわたって10年間繰り広げられた第三次世界大戦では、ルーシーやバーラトなどの国による核攻撃によって地球の地表は汚染され、世界は高層都市を構成するようになった。


このことによって、陸軍も空を飛ぶ時代とならざるを得なかった。歩兵には小型のエンジンを搭載した空中歩行が可能な機械が開発された。燃料は窒素を循環させて燃やすため、空気中に8割ほどの窒素を占める地球の環境下では適応が可能なものだった。また倭の国では印を結ぶことにより、より強力な力を生み出しまるで魔法のような力を持つ子供の開発が行われた。このことにより銃弾は速くなり、攻撃範囲も爆発的に広がるようになった。俺は一般家庭だったから徴兵性だったが、この子供達は戦時中は強制的に徴兵されたと聞く。


また、2257年から2263年にわたって起こった第四次世界大戦では、浮遊歩兵の初導入が行われた。俺もその内の1人だった。このとき倭の国は、朝鮮、支那の国を征服し領土拡大に成功した。俺は支那の国の領土獲得に向け、戦争に参加した。参加したのは1年程度だったが、初の空中歩兵ということもあり、落ちるかもしれないと言う不安、低酸素の中の空中戦。さまざまな環境要因からストレスを受け、食事も喉を通らない日が多く続いた。だがしかし、無事勝利を治め、生き延びることもできた。


2265年から2267年に起こった第五次世界大戦では、俺は前線でバリバリと戦った。機械の進歩はあったが、長引く戦況や続く貧困の中ただの一軍人でしかない俺のような者には、旧式の機械のみが与えられていた。階級も低い俺には、上官の言われたことを遂行するのみ。上がやれと言えば、はいとしか言えない。古い機械だから敵国に比べ速度も遅い中で空を飛び回り、敵兵を討ち落とす。家には家族が待っているし、生き延びなければならない…!常にその想いを胸にかかえ仕事に臨んだ。


第五次世界大戦で我が国は、阿州の領土獲得に向け戦争が行われた。支那の国とは違い慣れない気候、長距離侵攻のため疲労もあり同僚の隊員は限界を迎え目がおかしくなっている者も多くいた。俺は俺を待つ家族、なにより祖国のためという想いで仕事に励んでいた。仕事をこなすこと30年間、この鈍臭い俺が生き残れた事実は驚きだった。しかし、退役を迎えて少し。俺は病に臥せっていた。進歩した技術でも抗えることはできなく、俺の生涯は家内に見送られて幕を閉じた。


…そう思っていた。


「ほーらパパの方へおいでー」


「いや、ママの方に来てくれるわよねー」


目を開けると知らない若い男女。思わず固まって、構えの姿勢をとってしまう。


「あらあら、この子ったらもう軍人さんの影響を受けてるのね」


「華月は女の子だから、そんな危険なところ行かなくていいんだぞ」


目の前にいる男に抱きすくめられ、頭を撫でられる。


(華月…?女の子…?何言ってるんだ、この2人は。それに、俺はどうしてこんな自由の効かない身になってるんだ!?)


「疲れちゃったのかしらね、おねんねしましょうねー」


そう言われて、子供用の布団に抱き抱えられて運ばれる。そして、敵か何かわからない2人に寝かしつけられる。これは、死の淵にみる走馬灯…ていうものなのか?にしてはちょっと風変わりな気がする。だが、眠気には勝てず眠ってしまうのだった。

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