フェブラ駅からの脱出

【導入】

冒険者が魔導列車に乗って移動中のことです。

車掌の慌ただしい声が駆け寄ってきます。

「お客様がた!当列車は只今より緊急停車します!椅子に座ってください!!」

緊急停車。列車の運行において極めて重要な意味のある言葉に、乗客たちはパニックになりながらも席について行きます。

ただ、1人の乗客が車掌を捕まえて聞きました。

「なんで止まるの!?」

「線路の先に……奈落の魔域が出現しました!!」

車掌の言葉の直後に列車にブレーキがかかり、急制動します。

───しかし、列車という高速で動く巨大な質量の物体が簡単に止まる事はできず、そのまま奈落の魔域へと飲み込まれてしまいました。


冒険者たちが目を覚ますと、列車の客室の中なのですが周囲の乗客やスタッフたちは衝撃でか皆気絶し、目を覚ましません。

窓の外を見ると、周囲は足場の悪い沼地に建てられた小さな駅となっていました。

駅には看板があり、交易共通語で『フェブラ駅』と書かれています。

冒険者たちはこの駅という奈落の魔域から、脱出しなくてはいけなくなってしまいました。


【フェブラ駅】

冒険者たちが駅へと降りると、一見して寂れた無人駅といった印象です。

ただし駅から外に出る方法はなく、どうやら線路へ降りなければ移動できないようです。

駅の看板を確認すると、『フェブラ駅』と書かれている下に『←○○ △△→』と書かれていますが、魔法文明語の読文が無ければ読むことはできません。

魔法文明語が読める場合、『←魔域の核 行き止まり→』と書かれているのが分かります。

駅の中を探索するならば、スカウト技能による《探索判定》を行い8以上を出すと駅のベンチの下に【ヒーリングポーション】が3個袋に入っているのを見つけます。12以上を出したら壁の中に空間があり、その中に【オーガモール】(ルルブⅠ、305頁を参照)が立てかけられているのを見つけます。

列車の中にはなにもありません。


【線路の先】

駅から出て線路の先へ歩くと、Aの地点へ辿り着きます。その場所は開けた沼地となっており、視界は悪くないです。

そこでは大きなエビなのかザリガニなのか、魔物が冒険者の数+1匹うろついており、冒険者たちを見つけると襲い掛かってきます。

《魔物知識判定》に成功すると、彼らが【エルビレア】(ルルブⅠ、469貢参照)であると分かります。

この戦闘では沼地のため、常に『足場が悪い』として扱い行動判定に-2の補正がかかり続けます。(ルルブⅠ、103貢参照)

戦闘終了後、そのまま線路の先へと進む事ができます。


【橋の下にて】

B地点では線路は続いてこそいますが、沼の上に建てられた細い木造の橋の上を通っています。

移動はできても、とてもこの橋の上で戦闘はできないでしょう。

しかし移動している最中に沼の中から数匹の魔物が姿を現し、襲い掛かってきます。戦闘開始です。

沼に降りて戦わなくてはいけませんが、腰までが水に浸かる程度には深く『水中にいる状態』かつ『肩より下』が浸かっている状態となるため、達成値8以上の《水泳判定》に成功しなければ、行動判定に-4の補正がかけられます。(ルルブⅡ、82貢からの『水中での行動と戦闘』を参照)

魔物たちは二足歩行のカエル型の魔物が冒険者の数+1匹であり、《魔物知識判定》に成功すると【ヌズマル】(ルルブⅢ、425貢参照)であると分かります。

【ヌズマル】たちは《○水中適正》があるため、水中である事のマイナス補正無く活動します。

戦闘終了後は再び橋に戻り、進む事ができるようになります。


【奈落の核】

C地点に到達すると、そこにはタコの様な魔物がエルビレア数匹と共に奈落の核の前に陣取っています。

まるで奈落の核を守ろうとしている様子であり、冒険者たちを見つけると襲い掛かってきます。

戦闘開始です。

《魔物知識判定》に成功するとタコの様な魔物が【ナズラック】(ルルブⅠ、470貢を参照)であると分かります。

この場所も浅いですが沼地であるため『足場が悪い』となり、行動判定に常時-2の補正をします。


【偽物の核】

ナズラックたちとの戦闘が終わった後、奈落の核を破壊すると───何も変わりません。

本来奈落の核を破壊したならば、即座に奈落の魔域は瓦解するはずなのに。

その事に疑問を感じた冒険者たちは《魔物知識判定》を行えます。

成功すると偽物の奈落の核を生み出して欺く魔神【ガッニバソ】(アビスブレイカー、113貢参照)の存在に気付けます。

これにより突如冒険者たちの背後からガッニバソが襲い掛かってきますが、不意打ちを受けることなくガッニバソと戦う事ができます。

ナズラックたちとの戦闘の際の前衛と後衛を逆転した状態で戦闘開始です。


失敗した場合は特に思い当たる節はなく、この謎の現象に首を傾げる事となります。

これにより突如冒険者たちの背後から襲い掛かって来た魔物に不意打ちを受け、自動的に魔物が先制を取る事になります。

また、ナズラックたちとの戦闘の際の前衛と後衛を逆転した状態で戦闘開始です。


【本物の奈落の核】

ナズラックとの戦闘終了後、C地点から移動するとそこには再び奈落の核が存在しています。

それを壊すと奈落の魔域は崩壊していき、遂に脱出する事ができます。

世界が明るくなり、見ればすぐそこには乗って来た列車があります。

列車のスタッフや乗客たちも徐々に目を覚まし、動き始めているみたいです。

冒険者たちが車掌に状況を伝えるといたく感謝され、次の駅の街でしばらく滞在するようお願いされます。

数日後、列車を運行する町から感謝状が贈られ、加えて突発的に発生した冒険者への依頼達成として報酬がもらえます。

人々からの感謝と称賛を受けながら、冒険者たちの今回の冒険は幕を閉じたのです。



【報酬】

ガメル:3000ガメル

経験点:1000点

剣のかけら:7個

奈落のかけら:各自1個

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フェブラ駅からの脱出 逸環 @ituwakun

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