第1話
「フレデリカさん! 大好きです! 僕と
「……え?」
朝、私が勤めている
エミール君は、晴れた日の海のような色の
私はそんな彼の勢いに一歩後ずさったが、すぐに気を取り直した。
「……とりあえず、立ち上がって」
「はい!」
エミール君が立ち上がり、私は安心すると断るために頭を下げた。
「私に
そう返事をして彼の横を通り過ぎ、自分のデスクに向かう。
私は昨日第一王子のアーネスト
「あの、待ってください。フレデリカさんは僕との結婚は
エミール君にそう問いかけられ
「そもそも貴族の婚姻において嫌とかいう個人の感情は
「フレデリカさん個人としての考えをお聞きしたいんです。僕との結婚が嫌かどうかを」
「嫌かどうか……?」
今までそんなことを考えたことがなかったので、
「それは少し難しい質問……。『結婚は嫌』の定義がハッキリとしないことには。何もお答え出来ません」
私は再度頭を下げると、自分のデスクに
「じゃあ、この気持ちは
「迷惑……?」
「好きだと僕に言われることで、気持ち悪いとか感じたりしますか?」
「そんなことは思わないけれど……?」
彼が言っていることがよく理解出来なくて首を
「じゃあ、僕が今後もフレデリカさんに好きと言ってもいいですか?」
「私の許可が必要? 発言することは自由。私に君を制限する権限はないよ」
「そう言ってくださるフレデリカさんが好きです」
彼は少し
「……?」
今まで人から好きだと言われた経験がないので、この場合何て返事をしたらいいのかわからない。社交で
「はー……最初に会った時から、フレデリカさんのことが好きで仕方なくて」
「ありがとう……?」
とりあえず礼を告げると、彼は何が
「自由にフレデリカさんに好きだと言えるのが嬉しいんです。今まではフレデリカさんが、婚約されていて言えなかったので」
「ん……? 私が婚約破棄されたことを、どうやって知ったの?」
「……フレデリカさんは知らなかったとは思うのですが、この国のほとんどの貴族は既に知っている情報です」
「……そうなの?」
私が研究室を見回すと、
「とにかく、これで僕は堂々とフレデリカさんにアプローチが出来るわけです。今までは
「そう……」
「ええ。
「それなら、良かった……?」
「はい。最終的な目標はフレデリカさんの気持ちを手に入れ結婚することですが、当面の目標としては、僕のこの気持ちをわかってもらえるように
「何を頑張るのかよくわからないけれど、先ほど言った通り君の自由だから。好きにすればいいと思う」
「はいっ!」
やがて始業の
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