第5話 悪阻
悪阻って、ある人とない人、重い人軽い人様々らしい。
母親に聞くと
「悪阻?私はなかったなぁ。産んだ時も結構すんなりトゥルーンって出てきたよ。」
本当かどうかはわからないけど、生理痛やら悪阻やらは母親に似る…らしい。
て、事は私は悪阻がないのか…??
最近体重が増えちゃってた私。
食べるの大好きで我慢出来ないから、悪阻が始まれば嫌でも食べられなくなって痩せると思ってたんだけど←不謹慎でスミマセン。
困った事に、食欲は増すばかり。
どうやら、食い悪阻?
元々細いとは言えないのに、これ以上太るとやばいんでないの??
悪阻中は、食べられる時に食べられるモノを…と病院でも言われたのだけど、このままいけば太り過ぎて難産になるかも知れないし。
というわけで、悪阻の時期真っ只中に食事制限!
サッパリ系の飴を一袋買って職場へGOしました🎵
当時小さな営業所で事務員をしていたのですが、基本的に事務員一人体制なので外に出たくても無理なので、我慢するしかないでしょう!
が、それから数時間後…私は地獄(?)を見る事となる。
何となく小腹が減ったかな?と感じたら飴を一粒。
それを続けていた私。
早くも、昼前には事務所のソファーに突っ伏していた。
うぅ…喉が…焼ける…。
サッパリ系の飴のはずなのに、ダラダラ甘ったるく感じる…。
こんな時に限って、事務所の冷蔵庫に入れてたはずのお茶は残り少なくて、すぐに飲み干してしまった。
「うー…きもちわるい…」
誰もいないけれど、あえて声に出す。
てゆか、黙っていられない。
それでも、そんな「私事情」はお客様には関係ないので
RRR☎
「もしもし〜!」
電話が鳴れば元気に応対し、切ったら
「あ゛ー」
再度、ソファーに突っ伏す。
ぬるい水道水は飲みたくない。
自宅でこんな状態だと、飲んでるんだろうけどね。不思議。
何故か事務所の水道水は抵抗がある。
ウォーターサーバーのある会社が羨ましい!
半ば這うようにして冷蔵庫に行き…
取り出したのは、myポン酢。
(他にも一味唐辛子とごま油を常備)
少しだけ手の平に垂らしてペロ…
美味しい…
ポン酢って、こんなに美味しいんや。・゚・(ノД`)・゚・。
少し、喉の熱さが引いた気がした。
なんて爽やか。
ポン酢最高!
が、ずっとポン酢を舐めてると
「う゛ぁー。きもちわるいー」
当然こうなる。
ポン酢をパソコンの横に置き、涙まで出てきた。
季節は初夏。
この日は結構暑くて、陽射しがソファーに直撃!
冷房は冷えすぎて、あまり身体に良くないかな?と控えめにしていたけど、こんな状態で暑さにまで襲われたら…恐ろしい。
冷房をガンガン効かせて、ソファーで泣いていた。
そこへ。
「ただいま戻りました〜」
外回りを終えた人が事務所へ戻ってきた。
「リョウコさ~ん。外めっちゃ暑…
Σ( ̄口 ̄;)」
「…(´;ω;`)ブワッ」
ソファーから半分ずり落ちて、泣いてる私を見て慌てて駆け寄ってくれる。
「どーしたの?」
「きぼちわるうぃ…」
「ちゃんと食べてる?」
「飴ぇ」
それを聞いた同僚さん。
コンビニの袋から、カラアゲくんを出してきた。
「これ食べ!」
「あ゛ー…それMさんのお昼ご飯…」
「いいから!」
手渡してくれたカラアゲくんを、泣きながら口に入れる私。
…?
「気持ち…悪くない!」←なんて単純(笑)
「ちゃんと食べなきゃだめだよ。リョウコさん、食い悪阻なんだから」
「食い悪阻って、食べたくなるだけじゃなくて、食べな気分悪くなるの?」
「そうなんじゃない?今、リョウコさん死にそうな顔してたもん」
ともかく、同僚のおかげで何とか危機を乗り越えられた。
それにしても、恐るべき食い悪阻!
これに懲りて、ちゃんと食べるようにしたのだけど
RRR☎
「もしもし」
『もしもし~。今から事務所戻るけど、何か欲しいのある?』
この日以来、皆さんそう聞いてくれるようになり。
「キンピラとか食べたいけど、作るの気持ち悪くて…」など何気に話していたら、夜ご飯のおかずを差し入れてくれたり。
皆に支えてもらって、何とか悪阻を乗り切った私なのだった。
すっごく感謝してます!
後日、母親に聞いてみる。
「お母さん、悪阻なかったやんな?」
「なかったよ~。ずっと食べてたもん」
「食べてた…?」
「そう。常に何か食べてたよ~。お腹減ったら気分悪くなるしさ~」
え…それって食い悪阻…じゃあ…??
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