第3話 デンジャールの森での出会い
ニルラン・アカデミーへ向かう前日の夜。僕はみんなが寝静まる時を見計らって一人『デンジャールの森』へ入って行った。途中何かの動物の鳴き声が聞こえた時はビビってしまったが、一人で何も明かりがない中一人で向かった。
デンジャールの森。この森は約200年前、かつてこの森へ向かった一人の女性が悪魔に取り憑かれてその女性はまるで正気を失ったかのように人間たちを殺し周っていた。その女性の最後は力尽きて僅か一日で亡くなったらしい。その際マルラーン家の先代の当主が『デンジャールの森』を領地とした。それからは代々マルラーン家の者が『デンジャールの森』へ人間が入らないように監視している場所だ。
そのような危険な場所へ単身で向かうのは僕なりの理由がある……。
それは自信が強くなるためだ。
どうせ僕の人生は詰んでいるんだ。
あの家族の元へ才能のない僕が生き残ることが不可能に近かったんだ。
だから、最後まで足掻くために昔からの言い伝えである悪魔の話を嘘だと思っても信じるしか僕が生き残る道はない!
僕は立ち入り禁止が書かれている看板を無視して『デンジャールの森』へ入り真っ直ぐ歩いて行くと一つの石像が不気味に置かれていた。周りにはもちろん木だけでこんな場所に石像がある訳がない。
「こんな所に石像…?」
僕は不気味さを感じながらもその石像に向かって行っていた。まるで何かに取り憑かれているかのように…。そして石像に近づくにつれて女性の声が僕の頭の中で囁いてくる。
「おいで、可愛い坊や。私が貴方の悩みを解決してあげる…。そうよ。そのまま石像に来て…。そして石像に触りなさい。さすれば私が貴方を救ってあげましょう」と頭の中で強く響き渡っている。
僕はその頭の中で響いてくる女性の声の言う通りに石像に触れた。
すると、石像から眩い紫色の光が辺りに放っていた。暫くの間僕は眩しくて何も見えなかったけど徐々に光が収まり目が開けられるほどになってきた時、目の前に女性が僕の事を見つめていた。ただよく観察すると眼が赤く人間ではない事がわかる。
「ありがとう可愛い坊や。貴方の悩みを救ってあげる…」とその美しい赤眼と容姿に僕は酔った。
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