悪魔と契約した俺~命を削られて余命3年になる

氷水 冷

第1話 マルラーン家の出来損ないの子

 東方諸国にある大きな国『ハイライト王国』では貴族と王族が統治している。その中でも対立している貴族家が存在しており、その家は王族と仲がいい『天白家』と『悪黒家』である。


 その『悪黒家』に属している『マルラーン家』の次男として生まれたレノン・ツー・マルラーン。生まれながらに貴族で何不自由なく過ごしてきた彼だが常に周りと見比べられていた。


 レノンには兄姉がいたのだが、その二人と比べられて出来損ないだったので両親からはいないものとして扱われ、兄姉からは常に見下されていて、マルラーン家で雇われているメイドも彼のことを雑に扱っていた。


 家では居場所のなかった彼だが成長していきもうすぐ誕生日を迎えようとしていた。


♢♢♢♢♢


「『能無し』。確かもうすぐお前の十六歳の誕生日だったよな?」と僕が書庫で勉強していたら兄アレックス・ツー・マルラーンに話しかけられた。


アレックス・ツー・マルラーン。『マルラーン家』の長男として生まれた彼は生まれながらにして剣術の才能があったらしく、幼い頃から同学年の奴らに剣術において敗北を味わったことは一度もなくまさに最強。しかもマルラーン家が所有しているライラーン地域という金属が大量に排出する場所の統治をアカデミーに通っている間お父様に任せられるほどの頭の良さも兼ね備えており、まさに近い将来『マルラーン家』の次期当主としてもっとも近い人だろう。


「はい兄さん…。そうです。」と返事すると兄は笑顔で、

「『能無し』は確か寮に入ることになったと父上から聞いたけど…」と笑顔で僕に聞いた。

「そうです。」と返事したら兄は僕が読んでいた本を力ずくで手に取って、

「『マルラーン家』の恥さらしにならないようにな!」と手に取った本で僕の頭を叩いて書庫から出て行った。


 僕は頭が痛かったので、すぐにメイドに冷たいタオルを用意するようにお願いした。するとメイドはため息をついても冷たいタオルを持ってきてくれた。なので僕は「ありがとうございます。」と感謝の言葉を言っても無視して僕の視界から消えるように仕事に向かっていた。


♢♢♢♢♢


 自室で頭を冷やしていると【コンコン】とドアをノックしている音が聞こえた。


「開けます。」と言いドアを開けたのは執事のリチャード・ブラウンだ。


リチャード・ブラウン。彼は長く『マルラーン家』の執事をしてくれている人で、僕ら子供が産まれる前、お父様と同じアカデミーに通っている時にスカウトしてもらい執事としてずっと仕事をしてくれている人だ。


リチャードとの関係性はこの家の中では比較的まともに保っていると言える。小さい頃から何かと気にかけてくれる人で兄さん姉さんと僕に対して厳しい人でこの人は僕たちを平等に接してくれると感じている。


「レノン様。旦那さまがお呼びです。」と礼儀正しく言った。

「お父様が?」

「はい。もしかしたらアカデミーの件についてお話されるのかと思います。」

「わかった…。伝えてくれてありがとうリチャード。」

「いえ、これくらい当たり前のことです。」と言ったリチャードは要件を伝えて僕の部屋を後にした。

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