◆ 【MAIN SCENARIO:ゼルンの匣――十年前からのタイムカプセル】◆

◆ 【MAIN SCENARIO:ゼルンの匣――十年前からのタイムカプセル】◆


【概要】

 ゼルン市の廃校の中庭の一角に十年前、生徒達の手で埋められたタイムカプセルが発掘されることとなった。

 タイムカプセルを埋めた元生徒達が集まって一日廃校舎に泊まり込み、過ぎ去った学校での生活を思い出し、翌日タイムカプセルを掘り出すという計画である。

 しかし、島外で同級生達が就職してしまったということもあってか同窓会のメンバーはたった六人になってしまっていた。

 旧ゼルン・ハイスクールの同級生達から成る同窓会の幹事を務めるカルロスと知り合った探索舎達は同窓会のメンバーとたった六人で廃校舎に泊まるのは少し寂しいと思い、探索者達に「一緒にタイムカプセルを掘り起こさないか?」と提案した。

 同窓会とは関係ない部外者が参加することに難色を示す同窓会メンバーもいたが、カルロスや他の同窓会メンバーのとりなしもあって同窓会メンバーと探索者達は廃校舎で一夜を過ごすことになった。

 しかし、その夜――不思議な出来事が起きて。


【主な登場人物(ネタバレあり)】

・カルロス=マティアス

 旧ゼルン・ハイスクールの三十八期同窓会幹事。

 先祖代々受け継いできた林檎農家をしている。

 ゼルン・ハイスクール時代は生徒会書記を務めていた。

 同窓会メンバー六人では少し寂しいと思い、出会った探索者達に一緒に旧ゼルン・ハイスクールの廃校舎に泊まらないかと提案する。

 タイムカプセルには大人になった時に飲もうと「カルヴァドス」を入れた。


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【NPC】カルロス=マティアス

耐久値HP:12 魔力量MP:12

STR:50

CON:50

SIZ:70

DEX:50

INT:50

POW:60

APP:50

正気度:60

ダメージボーナス:±0


1ラウンドにつき1回行動


技能

<農業(林檎):90%>

<経理:80%>

<説得:50%>

<信用:50%>

<母国語(ファゲルズァート語):100%>

<外国語(全ての言語):60%>


※その他の技能は初期値です。

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・ギシュターヴァ=カーマイン

 旧ゼルン・ハイスクールの三十八期同窓会メンバー。

 カーマイン醸造の社長令息で専務取締役を務めている。

 カルロスが探索者達を連れてきた際には「余所者を連れてくるな」と難色を示した。

 タイムカプセルには「ヒヤシンス」の押し花の栞を入れた。

 図書室焼失事件の犯人。アニカのことが好きだったが、イグニカとアニカが相思相愛の関係だったことから嫉妬し、自身に好意を向けさせるために仕掛けを施して図書室に火を放った。


・セパード=シュチュワード

 旧ゼルン・ハイスクールの三十八期同窓会メンバー。

 演劇部出身で現在は島の昔話をもとにした童話を執筆する童話作家をしている。

 学生時代は「王子様」の愛称で知られていた。

 タイムカプセルには自身が書いた童話「王子と春風」を入れた。


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【NPC】セパード=シュチュワード

耐久値HP:14 魔力量MP:12

STR:40

CON:60

SIZ:80

DEX:80

INT:70

POW:60

APP:80

正気度:60

ダメージボーナス:±0


1ラウンドにつき1回行動


技能

<芸術(演劇):50%>

<芸術(童話):90%>

<母国語(ファゲルズァート語):100%>

<外国語(全ての言語):70%>


※その他の技能は初期値です。

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・オーガノン=マクワレン

 旧ゼルン・ハイスクールの三十八期同窓会メンバー。

 老舗眼鏡屋の一人息子で自身も大の眼鏡好き。高校時代は眼鏡の布教に勤しんでいた。

 ミドルスクール時代から眼鏡職人に弟子入りしており、眼鏡を作っていた。

 タイムカプセルには自作の眼鏡を入れた。


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【NPC】オーガノン=マクワレン

耐久値HP:12 魔力量MP:16

STR:50

CON:60

SIZ:60

DEX:90

INT:60

POW:80

APP:50

正気度:80

ダメージボーナス:±0


1ラウンドにつき1回行動


技能

<製作(眼鏡):100%>

<手捌き:90%>

<母国語(ファゲルズァート語):100%>

<外国語(全ての言語):70%>


※その他の技能は初期値です。

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・ミランダ=マクニエル

 旧ゼルン・ハイスクールの三十八期同窓会メンバー。

 祖父の代から続く純喫茶店「カフェテラス」を引き継いだ女性マスター。

 タイムカプセルには当時大切にしていたティーカップを入れた。


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【NPC】ミランダ=マクニエル

耐久値HP:11 魔力量MP:12

STR:40

CON:50

SIZ:60

DEX:60

INT:70

POW:60

APP:80

正気度:60

ダメージボーナス:±0


1ラウンドにつき1回行動


技能

<製作(喫茶):100%>

<母国語(ファゲルズァート語):100%>

<外国語(全ての言語):70%>


※その他の技能は初期値です。

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・アニカ=ツェデウス

 旧ゼルン・ハイスクールの三十八期同窓会メンバー。

 ツェデウス医院という町の診療所で女医をしている。代々医者の家系で大学に行くために一時期島を離れていた。

 タイムカプセルには将来の自分に宛てた手紙を入れた。


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【NPC】アニカ=ツェデウス

耐久値HP:11 魔力量MP:16

STR:30

CON:40

SIZ:70

DEX:50

INT:110

POW:80

APP:70

正気度:80

ダメージボーナス:±0


1ラウンドにつき1回行動


技能

<応急手当:95%>

<医学:90%>

<母国語(ファゲルズァート語):100%>

<外国語(全ての言語):70%>


※その他の技能は初期値です。

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・イグニカ=ローニス

 ゼルン・ハイスクールの生徒。享年十七歳。

 ゼルン・ハイスクールに通っていてカルロス、ギシュターヴァ、セパード、オーガノン、ミランダ、アニカとは友人関係にあった。

 根っからの本好きでハイスクールでは図書委員をしていた。中でも『時の妖精』という物語小説がお気に入りだったと言われている。

 卒業を間近で控えた四年生(12th Grade)のタイミングで起きた図書室焼失事件に巻き込まれて命を落とした。この事件で図書室が焼失しており、これがゼルン・ハイスクールが廃校になった遠縁になっている。

 図書室には火の気がなく、近くに調理室なども無かったことから事件には不審な点が多い。

 タイムカプセルには「時の妖精の姿が描かれた絵」を入れた。

 図書室消失事件の際には大切な本を守るために一人図書室に残り、必死の消火活動を続けたが燃え盛る炎と煙によって命を落とした。

 実は時の妖精と出会っており、図書室焼失事件の際に十年後の未来の友人達に自分のことを思い出してもらいたいと願い、時の妖精に一つの願いを託した。


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【NPC】イグニカ=ローニス

耐久値HP:10 魔力量MP:16

STR:40

CON:50

SIZ:50

DEX:70

INT:50

POW:80

APP:70

正気度:80

ダメージボーナス:±0


1ラウンドにつき1回行動


技能

<図書室:100%>

<母国語(ファゲルズァート語):100%>

<外国語(全ての言語):70%>


※その他の技能は初期値です。

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【シナリオの導入】

 ゼルン市に向かうとカルロスと出会う強制イベントが発生します。このイベントがフラグになっています。


【シナリオの流れ】

①ゼルン市に向かう。


 ゼルン市に向かうとイベントが発生します。


【イベント:カルロスとの出会い】


 ゼルン市についた探索者は林檎のイラストの上に「Apple」と書かれた特注と思われる黄色いTシャツにジーンズ姿の青年と出会います。


???「こんな田舎にお客さんなんて珍しいね。私はカルロス=マティアス、ゼルン市でマティアス林檎園を経営している林檎農家だよ。ところで、ゼルン市で何をするか決めているのかな? 実はこれからハイスクール時代の同級生とタイムカプセルを掘り起こすことになっているんだけど、昔は三十人もいた生徒が今は六人だけになってね。それで、もし良かったら私達と一緒にタイムカプセルを一緒に掘り起こしてくれないかな? まあ、賑やかしみたいなものだよ」


 ここでカルロスの頼みを引き受けることがシナリオの開始条件になります。

 断った場合は「そうか。だが、気が変わったらまた声をかけてくれ」と言って会話が終了となります。ここで断った場合も再びカルロスと話すことで依頼を引き受けることが可能です。




②旧ゼルン・ハイスクールを訪問する。


 カルロスに同行すればゼルン・ハイスクールの東門を開錠してもらい、中に入ることができます。

 その後、カルロスは西門も同様に開錠してくれます。


 探索者達はまず食堂へと案内されます。食堂に入るとイベントが発生します。


【イベント:食堂にて、同窓会メンバーとの顔合わせ】


 探索者達が食堂に入ると、既に同窓会メンバーが揃っていました。

 上等な真っ赤なスーツを着た神経質そうな赤髪の男、白いブラウスに黒いチノパン姿のショートカットの黒髪の女性、眼鏡をかけた銀髪碧眼の青年、白いワンピースに黄色いカーディガンを合わせた金髪碧眼の女性、水色のワンピースに白衣を合わせたロングの黒髪の女性が食堂のテーブルの一つを囲むように座っています。


 カルロスと探索者達が部屋に入ったところで赤いスーツの男が立ち上がりました。


???(赤スーツ)「おい、カルロス! なんで部外者を連れてきたんだ!」


カルロス「同窓会のメンバーも減っちゃったしさ、少し寂しいと思って来てもらったんだ。折角来てもらったのにそういう言い方をするなよ、ギシュターヴァ」


???(ショートカットの女性)「相変わらず、カルロス君は少しズレているようだね。まあ、折角来てくれたんだ。あんまり楽しめるところじゃないけど、明日の早朝にタイムカプセルを掘り出すまで僕達に付き合ってくれると嬉しいな。ああ、物理的に掘り出しにも付き合ってくれるとありがたいんだけど。ああ、名乗っていなかったね。私はセパード=シュチュワード、島の昔話をもとにした童話を執筆する童話作家をしているよ」


???(白いワンピースの女性)「私はミランダ=マクニエル、祖父から受け継いだ純喫茶店『カフェテラス』のマスターをしているわ。タイムカプセルを掘り出し終えたら、是非うちの店で美味しい珈琲や紅茶を飲んでいってね。それと、ファゲルズァートヘブンという特別な豆を手に入れたら売ってくれると嬉しいわ」


???(白衣の女性)「私はアニカ=ツェデウス、ツェデウス医院という町の診療所で医者をしているわ。よろしくね」


???(眼鏡の青年)「僕はオーガノン=マクワレン、眼鏡屋をしている。眼鏡は人類の素晴らしさ発明だ! この眼鏡の素晴らしさを広めることが僕の使命だと思っているよ! 君達も眼鏡を持っていないのなら是非うちの店に来るといい」


ギシュターヴァ「……余所者に名乗る名前なんてない」


アニカ「仕方ない人ね……彼はギシュターヴァ=カーマイン、カーマイン醸造の社長令息で専務取締役をしているわ。私の診療所を含めてゼルンの商店街にあるから是非遊びに来てね」


 その後、カルロス達の思い出話に付き合っているうちに夜になります。

 カルロス達が食事の準備をしてくれるので、探索者達はその流れで一緒に夕食を食べることになるでしょう。

 1D3ポイントの耐久値HPと正気度を回復させてください。


 夕食を食べたところでまたイベントが発生します。


【イベント:夕食後に廃校舎探索】


カルロス「そうだ。折角学校に入ることができるようになったんだし、夜の校舎探索と洒落込まないか?」


ミランダ「珍しいわね。お堅い書記殿がそんなこと言うなんて……まあ、昔に比べてかなり柔軟な性格になったみたいだけど」


カルロス「そんなことなかったと思うけどなぁ、昔からユーモアはあった方だろう?」


セパード「まあ、確かに面白そうだね。こんな夜だと幽霊が出そうだ」


ギシュターヴァ「……縁起でもないこと言うなよ、セパード」


オーガノン「まあまあ、ギジュダーヴァさん、そうカッカしないでくださいよ。ああ、図書室・・・には近づかないようにしてくださいね。あそこは昔燃えて大変なことになったんですから」


カルロス「あれは痛ましい事件だった……本当はアイツもこの場にいた筈だったんだけどな」


ギシュターヴァ「気分が悪くなってきたぜ。行くならお前達だけで行ってくるといい」


 このイベント終了後、自由行動が可能になります。

 カルロス、セパード、オルガノン、ミランダ、アニカはまだ校舎探索を始めないようなので、食堂で話を聞くことが可能です。


【現段階で探索者が質問しそうなこととその答え】


●カルロス

・「このメンバーとは仲が良いのか?」

「まあ、同窓会で唯一島に残っていて連絡が取れるメンバーってのもあるが、昔から仲がいいメンバーでもあるな。……まあ、もう一人いたんだけどな」


・「図書室について」

「卒業を間近に控えた時に図書室が燃えたんだ。何故燃えたかは分からない。結局最後まで原因は分からなかった。……だけど、あの場所で出火するなんて絶対あり得ないんだ。考えたくはないが……誰かが火を放ったんじゃないかと今でも疑っているんだ」


・「廃校になった理由」

「元々老朽化していたこともあって新校舎自体は建てていたんだが……旧に廃校になった理由は間違いなく図書室の火災だろう。死者が出た場所に子供を通わせられないって話が親御さんから出て、早急に新校舎に移ることになった。俺達の卒業式も新校舎だったよ」


●ギシュターヴァ

 どんな質問をしても「部外者と話をする気はない」と拒否されます。


●セパード

・「このメンバーとは仲が良いのか?」

「そうだね。随分長い付き合いになるかな? ……この名前を出すと雰囲気がギクシャクするんだけど、もう一人、イグニカ=ローニス君っていう本好きの子がいてね。彼は卒業を間近で控えた四年生のタイミングで起きた図書室焼失事件で亡くなったんだ。あの子は『時の妖精』というこの島に伝わる物語が好きでね。僕もそういった話が好きだからよく図書室で話したものだよ。その話をするとアニカ君が嫉妬していたね。……懐かしいな。ああ、そうそう。彼、奇妙なことを言っていたんだ。『時の妖精』に会ったって」


・「図書室について」

「懐かしいね……今はない思い出の場所さ。色々お気に入りの本があったのだけど、私の友人と一緒に燃えてしまったよ」


・「廃校になった理由」

「やはり、あの火事が直接的な原因じゃないかと思うよ。まあ、元々校舎の建て替えの計画があったからそれが早まっただけなんだけどね」


●オルガノン

・「このメンバーとは仲が良いのか?」

「よく一緒にいるメンバーですね。真面目で堅物な生徒会書記、捻くれ者の御曹司、演劇部の王子様、高嶺の花のツートップ、妖精好きの不思議ちゃん……よくこれだけのメンバーが集まったものです。俺だけキャラが薄いなぁって思ってました」


・「図書室について」

「ああっ……なんといいますか、あんまり近づかない方がいいと思いますよ。あそこで火事が起きて、その影響で黒焦げになっていますから」


・「廃校になった理由」

「うーん……そう言うのは詳しくないので、カルロスさん辺りに聞くといいと思いますよ」


●ミランダ

・「このメンバーとは仲が良いのか?」

「そうね……随分と長い付き合いになるわね。アニカさんは一時期医学部に通うために島を離れていたけど、絶えず連絡は取っていたわ」


・「図書室について」

「私達が大切な友人を失った場所ね。……そういえば、奇妙な噂話があるわ。あの場所に行くと、可愛らしい子供の声が聞こえるって……まさか、ね」


・「廃校になった理由」

「……元々校舎の建て替えの話があったけど、早まった理由はやっぱり火事でしょうね」


●アニカ

・「このメンバーとは仲が良いのか?」

「そうね。かなり長い付き合いだと思うわ。……本当なら、彼もこの場所に……いえ、なんでもないわ」


・「図書室について」

「あの事件については……思い出したくもないわ」


・「廃校になった理由」

「……多分、あの火事が……」




③旧ゼルン・ハイスクールを探索する。


 現代のゼルン・ハイスクールの探索が解禁されます。

 なお、探索している間は謎の力で時間がほとんど停止している状態になり、また、ゼルン・ハイスクールの東門や西門から出ようとしても出られず、反対側の門からゼルン・ハイスクールに戻ってしまいます。

 全てのエリアを探索することができますが、現在の図書室エリアに入るとイベントが発生してしまいます。シナリオ上で現在の旧ゼルン・ハイスクールを探索できるのはこのタイミングを含めて二回だけなので、念入りに探索すると良いでしょう。

 なお、部屋を出入りする度に「くすくす……くすくす……」とどこからともなく子供のような声が聞こえます。


【イベント:第一の遭遇】


 辛うじて棚などが残っている黒焦げの部屋に入った探索者は「くすくす……くすくす……」という声を聞きます。


???「くすくす……遊びましょー。くすくす……」


 声はどんどん大きくなっていきます。そして、何もない部屋の中心で眩い光が弾けました。

 そこには、真っ青な妖精の形をした影がありました。


 妖精は探索者達に襲い掛かってきます。戦闘開始です。

 詳細は◆『エネミー図鑑』の情報◆をご覧ください。


 なあ、時の妖精のDEXは∞なので確実に先行で行動して<時渡り>を使います。

 <時渡り>は自動成功のため、戦闘は終了して探索者達は過去に飛ばされてしまいます。




④一度目のタイムスリップ


 探索者達が目を開けると強制的にイベントが発生します。


【イベント:過去のゼルン・ハイスクール①〜屋上にて〜】


 探索者達が目を開けるとそこはゼルン・ハイスクールの屋上でした。

 フェンスが建てられた屋上にいた探索者達は、階段を上る足音に気付きます。


 扉が開け放たれ、複数の男女が屋上にやってきました。どうやら、探索者達には気づいていないようです。

 複数の男女は学生時代のカルロス達のようですが、一人だけ知らない少年が混じっていることに気づくでしょう。


学生オーガノン「しかし、驚いたよ。まさか、カルロス君が屋上に出れるように許可をもらうなんて。真面目な性格だからこんな行動しないと思っていたんだけど」


学生カルロス「もうすぐ廃校になるし、卒業だろう? だったら一度来てみたいと思っていたんだ。ほら、屋上って夢があるだろう?」


???「カルロス君って意外と子供っぽいところあるよね」


学生カルロス「誰が子供だよ!! イグニカ、お前の方が子供っぽいだろう? 妖精とか……御伽話の存在を未だに信じて」


イグニカ「妖精は……いるんだけどな」


学生セパード「……まあまあ、その辺にしておきなよ。まあ、僕は妖精がいるって信じたいけどな。その方がロマンがある」


学生ギシュターヴァ「……それ、イグニカのことを信じているっていうフォローになってないよな?」


学生ミランダ「こうしてみんなで集まれるのもあと少しか……寂しくなるわね」


学生ギシュターヴァ「別に島を離れるって訳でもないだろう? 大体家業を継ぐか、夢に向かって頑張るかのいずれかだ。夢も、この島で大体叶えることができる」


学生アニカ「…………」


???「懐かしいわね」


 探索者達が後ろから掛けられた声に気づいて後ろを向くと、そこにはアニカの姿がありました。


アニカ「私も妖精? 何かにこの場所に連れてこられたのよ。……恐らく、ほとんど十年くらい前にタイムスリップしたようね。この日、タイムカプセルを埋めて、その後、屋上でこうして話していたの。懐かしいわ。……この時、結局私は伝えなかったのよね。医者の道に進むために島外の大学に行くつもりだって。…………それに、もう一つ伝えられなかったことがあったわ。彼に……私の気持ちを」


 その時、探索者の耳朶を再びあの声が打ちました。


時の妖精「くすくす……遊びましょー。くすくす……」


 声はどんどん大きくなっていきます。そして眩い光が弾けました。

 そこには、真っ青な妖精の形をした影がありました。


 妖精は探索者達に襲い掛かってきます。戦闘開始です。

 詳細は◆『エネミー図鑑』の情報◆をご覧ください。


 なあ、時の妖精のDEXは∞なので確実に先行で行動して<時渡り>を使います。

 <時渡り>は自動成功のため、戦闘は終了して探索者達は今とは別の時間に飛ばされてしまいます。




⑤二度目のタイムスリップ


 探索者達が目を開けると強制的にイベントが発生します。


【イベント:過去のゼルン・ハイスクール②〜図書室にて〜】


 探索者達が目を開けると、そこは図書室でした。

 小規模ながら様々な本が棚に置かれています。


 生徒達が静かに本を読んだり、小声で談笑しているようです。

 その中に、見覚えのある二つの顔を探索者達は発見するでしょう。それは、セパードとイグニカでした。


学生セパード「……どうだろうか?」


イグニカ「凄いね! セパードさん。とても面白かったよ!!」


学生セパード「本好きのイグニカ君に太鼓判を押してもらえるなら大丈夫そうだね」


イグニカ「でも、本当にいいの? 演劇の道に進むって選択肢もあるんじゃないかな?」


学生セパード「まあ、確かに卒業しても演劇を続けて欲しいという声はあるよ。ただ、僕はそれよりも物語を作る方が性に合っているんだ。……ん?」


 その時、ガタンと物音がして、棚から本が落ちました。

 しかし、それに気づいているのかいないのか、本棚の後ろに隠れていた小さな影は物凄い速さで図書室の外に出て行ってしまいます。


学生セパード「……あれは誤解させてしまったかもしれないね」


イグニカ「どうしたの?」


学生セパード「いや、なんでもないさ」


???「こうして客観的に昔の僕を見るのは複雑な気分になるね」


 探索者達が後ろから掛けられた声に気づいて後ろを向くと、そこにはセパードの姿がありました。


セパード「僕も妖精にこの場所に連れてこられてね。……妖精は一体何がしたいんだろうね。タイムカプセルを掘り出すこのタイミングで、なんとなく運命的なものを感じるよ。とりあえず元の時間に戻りたいものだけど……おや?」


 その時、探索者の耳朶を再びあの声が打ちました。


時の妖精「くすくす……遊びましょー。くすくす……」


 声はどんどん大きくなっていきます。そして眩い光が弾けました。

 そこには、真っ青な妖精の形をした影がありました。


 妖精は探索者達に襲い掛かってきます。戦闘開始です。

 詳細は◆『エネミー図鑑』の情報◆をご覧ください。


 なあ、時の妖精のDEXは∞なので確実に先行で行動して<時渡り>を使います。

 <時渡り>は自動成功のため、戦闘は終了して探索者達は今とは別の時間に飛ばされてしまいます。




⑥三度目のタイムスリップ


 探索者達が目を開けると強制的にイベントが発生します。


【イベント:過去のゼルン・ハイスクール③〜どこかの教室にて〜】


 探索者達が目を開けると、そこはどこかの教室でした。

 今回は一度目のタイムスリップにいたメンバーが全員揃っているようです。


学生アニカ「今日登校する時に花畑を見つけたのよ。折角だから、花を少し摘ませてもらって押し花を作ったわ」


学生オーガノン「……花を摘んできて押し花って……もう子供でもないですし」


学生アニカ「私は子供とか大人とか関係ないと思うけどなぁ……」


学生カルロス「大体花を押し花にして何に使うんだよ?」


学生アニカ「ふっふっふっ、そういうと思って押し花を栞にしてきました! これなら本を読む時に役立つでしょう? はい、カルロス君にはこれ! 桔梗の花!」


学生ミランダ「花言葉は……確か、誠実ね」


学生アニカ「詳しいわね。……でも、花言葉は関係ないのよね。似合いそうな花を選んでいるだけで。はい、ギシュターヴァ君には、白いヒヤシンス」


学生ミランダ「花言葉は心静かな愛、控えめな愛らしさ……似合わないわね」


学生ギシュターヴァ「五月蠅いなぁ……まっ、まあ、そこまで言うなら受け取ってやってもいい!」


学生ミランダ「酷い言い方ね。それだからモテないのよ」


学生ギシュターヴァ「……へいへい、高嶺の花のモテモテなミランダさんが言うならそうなんでしょうね。…………将来は家を継いで、親が決めた人と結婚するからいいんだよ」


学生カルロス「時代錯誤だよなぁ……まあ、うちは代々続いている林檎農家を継ぐのが決まっているだけでそれ以外は放任だし、ギシュターヴァのところに比べたらマシだよなぁ」


???「確かこの日ってタイムカプセルを埋める少し前だったわね」


 探索者達が後ろから掛けられた声に気づいて後ろを向くと、そこにはミランダの姿がありました。


ミランダ「驚かせてしまって申し訳無かったわね。私もこの時間に飛ばされたのよ。……懐かしいわ。そうそう、ヒヤシンスは花ごとに花言葉が決まっているのよね。確か、紫の花言葉は『悲哀』、ピンクの花言葉は『しとやかな可愛らしさ』、黄色の花言葉は『勝負』、赤色の花言葉は……なんだったかしら?」


 ここで探索者達は<科学(植物学)>か、<自然>あるいは<科学(生物学)>あるいは<アイデア>を振ってください。<科学(植物学)>は通常成功、それ以外はハード成功の場合に情報が出ます。

 技能が成功した探索者は「赤いヒヤシンスの花言葉が『嫉妬』である」ことを思い出します。


 探索者達はミランダに返答しようとするかもしれませんが、その前に探索者の耳朶を再びあの声が打ちました。


時の妖精「くすくす……遊びましょー。くすくす……」


 声はどんどん大きくなっていきます。そして眩い光が弾けました。

 そこには、真っ青な妖精の形をした影がありました。


 妖精は探索者達に襲い掛かってきます。戦闘開始です。

 詳細は◆『エネミー図鑑』の情報◆をご覧ください。


 なあ、時の妖精のDEXは∞なので確実に先行で行動して<時渡り>を使います。

 <時渡り>は自動成功のため、戦闘は終了して探索者達は今とは別の時間に飛ばされてしまいます。




⑥四度目のタイムスリップ


 探索者達が目を開けると強制的にイベントが発生します。


【イベント:過去のゼルン・ハイスクール④〜グラウンドにて〜】


 探索者達が目を開けると、そこはゼルン・ハイスクールのグラウンドでした。


???「おい、お前ら! 大丈夫か?」


 振り返ると、そこにはカルロスとオーガノンの姿がありました。


オーガノン「突然、景色が変わったのには驚きましたが……ここは十年前みたいですね。しかし、いつなんでしょう?」


カルロス「時間を調べようにも時計が狂っている! だが、少なくともまだ火事にはなっていないみたいだな。しかし、あの妖精は何がしたいんだ?」


オーガノン「とりあえず元の時間に戻れる糸口を探さないといけませんね。みんなで手分けをして……」


 その時、探索者の耳朶を再びあの声が打ちました。


時の妖精「くすくす……遊びましょー。くすくす……」


 声はどんどん大きくなっていきます。そして眩い光が弾けました。

 そこには、真っ青な妖精の形をした影がありました。妖精は探索者達の周りを踊るように飛ぶと、どこかへと飛んでいきます。


カルロス「待ちやがれ!!」


オーガノン「追いかけましょう!」




⑦過去のゼルン・ハイスクールを探索せよ


 【イベント:過去のゼルン・ハイスクール④〜グラウンドにて〜】が終了後、過去のゼルン・ハイスクールの探索が解禁されます。

 なお、探索している間は謎の力で時間がほとんど停止している状態になり、また、ゼルン・ハイスクールの東門や西門から出ようとしても出られず、反対側の門からゼルン・ハイスクールに戻ってしまいます。

 全てのエリアを探索することができますが、過去の図書室エリアに入るとイベントが発生してしまいます。シナリオ上で現在の旧ゼルン・ハイスクールを探索できるのはこのタイミングだけなので、念入りに探索すると良いでしょう。


【イベント:図書室炎上】


 探索者達が図書室に向かう途中、向こうから走ってきた何者かと衝突してしまいます。

 しかし、衝突した瞬間に探索者達の体を擦り抜けるようにして反対側に走り抜けてしまいました。

 あまりにも当然の出来事だったことや、その足の速さから姿を捉えるのは非常に困難です。<目星>を振ってクリティカルが出た時のみ図書室の方から走ってきた怪しい人影の正体に気づくことができます。


 その正体は「ギシュターヴァ=カーマイン」でした。


 探索者達が図書室に向かうと、図書室は燃えていました。炎が荒れ狂う中、たった一人、燃え盛る炎と煙の中で必死の消火活動を続ける少年がいます。

 探索者達は何故か煙の影響を受けず、僅かな焦げ臭さを感じるのみですが、少年――イグニカは咳き込んでおり、煙で意識が朦朧としてきているようです。


???「おい! どうなっているんだ!!」


 突如として、図書室前の廊下に複数の光が現れました。光が弾けると同時に、カルロス、セパード、オーガノン、ミランダ、アニカが現れます。


アニカ「――ッ!! イグニカ君!!」


カルロス「おい、まさか!! あの火事の……」


セパード「……最期まで必死にたった一人で消火活動を」


ミランダ「……あの時、先生達に止められて図書室にはいけませんでした。先生達がなんとかするって……それを信じて。……あの時、先生達の手を振り解いて来ていれば、もしかしたら、助けられたかもしれないと……そう思う、と」


イグニカ「……もう、僕はダメみたいだ。ああ、本達が燃えてしまう……本を守るためにこの場所に残って、それなのに守れなかったって、そんなこと言ったら、みんな僕のこと笑うかな?」


オーガノン「――ッ! 笑う訳っ、ないでしょうか!!」


イグニカ「ねぇ……妖精さん、お願いが、あるの。……時間が経てば、きっとみんな僕の存在なんて忘れてしまうことになると思う。……妖精が好きで……少し変わった子だったって……ごほっ……覚えているかもしれない……けど、みんなが、生きて、前に進んでいけば、色々な出会いが、きっと、あって……僕のことなんて……なんか、寂しいな。……だからね、たまには僕のこと、思い出して欲しいんだ。……十年後、あのタイムカプセルを、掘り出す日に……僕は、もういないけど、その時に、みんなに、僕達の思い出を、見せて欲しいな。……あんなことがあった、こんなことがあった……そんな風に、話のきっかけにして、また、みんなで笑えたら……」


 イグニカの意識はそこでプツリとキレてしまいました。

 イグニカは安らかな顔で崩れ落ち……そのまま炎に包まれてしまいます。


 既に彼が死ぬことを察していた探索者達に正気度ロールはありません。


 そこで、探索者達の視界は白に塗り潰されます。




⑧現代のゼルン・ハイスクールにて


 探索者達が目を開けると強制的にイベントが発生します。


【イベント:過去のゼルン・ハイスクール⑤〜グラウンドにて〜】


???「おい、お前らいつまで寝ているんだ!!」


 探索者達は頭上から降ってくる声で目を覚まします。

 そこは、黒焦げの図書室でした。どうやら、探索者達は元の時間に戻ってきたようです。

 図書室では探索者達だけでなくカルロス達も倒れていたようです。


 カルロス達が目を覚まして立ち上がると、声の主ギシュターヴァは忌々しそうに図書室を見渡しました。


ギシュターヴァ「ほら、タイムカプセルを発掘するんだろ? とっとと行くぞ!」


 ギシュターヴァは図書室を去っていき、他のメンバーも中庭に行くために図書室を出ました。


カルロス「お前達も来て発掘を手伝ってくれ。あっ、何か調べることがあるなら今のうちにしておいた方がいいぞ」


 カルロス達が図書室を出て行った後、あの妖精が再び現れました。

 妖精は赤い一冊の本を落とすと再び姿を消します。『赤い本』にはどうやら魔術が掛けられており、どの言語でも読むことができます。


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・『赤魔術について』

 真紅の力を司る魔術。赤に関連した魔術、例えば炎の具現化などの力を有する。

 魔術を一度でも使った者の魔力は赤くなり、赤い魔力に当てられたものは真っ赤に染まる。

 魔力は強い感情によって発散されることが多いようだ。

       赤魔導家カーマイン三代目当主

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 また、本には探索者達の言語で、拙い文字で「犯人を見つけ出して、イグニカの無念を晴らしてください」と書かれたメモが挟まっていました。

 なお、起床した時刻はシナリオ開始の翌日の朝七時に固定されます。



⑨イグニカ殺しの犯人は誰だ?


 探索者達が中庭に行くと、既に発掘作業が始まっています。

 穴掘りに使えそうな技能があれば振ってください。最長で四十分掛かりますが、一回の技能成功ごとに五分、最大で三十分短縮して十分でタイムカプセルを発掘することができます。


 タイムカプセルには生徒全員分の宝物が入っていますが、以下に今回のシナリオに関わるものを提示しておきます。


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・カルロス

 カルヴァドスの瓶。


・ギシュターヴァ

 赤いヒヤシンスの押し花。


・セパード

 自身が書いた童話「王子と春風」。


・オーガノン

 自作の眼鏡。


・ミランダ

 大切にしていたティーカップ。


・アニカ

 将来の自分に宛てた手紙。


・イグニカ

 時の妖精の姿が描かれた絵。

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 タイムカプセルの発掘が終わったタイミングでイベントが発生します。


【イベント:中庭にて①】


アニカ「……タイムカプセル、見つかったわね」


ミランダ「懐かしいカップだわ」


セパード「拙い童話だね。……原点か」


ギシュターヴァ「じゃあ、それぞれ宝物が見つかったところで今回の会は解散にするか? 今日からまた仕事なんだ」


カルロス「……待ってくれ」


ギシュターヴァ「まだ何かあるのか?」


カルロス「君達、まだ何かやらないといけないことがあるんだろう? 何か使命を持っているような、そんな顔をしている」


ギシュターヴァ「はぁ、なんなんだよ……たまに変なこと言い出すよな、お前って。俺は忙しいんだ。十五分だけ待ってやる」


 このイベント後、十五分間の作戦会議の時間が設けられます。

 時間内に以下の項目を相談してください。


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①イグニカ殺しの犯人は?


②証拠は?


③動機は?

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 どれが欠けても、犯人にはぐらかされてしまうため三つの項目を全て揃える必要があります。

 足りない情報がある場合は、時間内に探索するか、カルロス達から話を聞いてください。

 なお、この時点では聞けることと回答に変化があります。


●カルロス

・「このメンバーとは仲が良いのか?」

「まあ、同窓会で唯一島に残っていて連絡が取れるメンバーってのもあるが、昔から仲がいいメンバーでもあるな。……もうお前達も会っただろう? イグニカだよ」


・「図書室について」

「卒業を間近に控えた時に図書室が燃えたんだ。お前たちも見ただろう? 何故燃えたかは分からない。結局最後まで原因は分からなかった。……だけど、あの場所で出火するなんて、やっぱり、絶対あり得ないんだ。考えたくはないが……誰かが火を放ったんじゃないかと今でも疑っているんだ」


・「廃校になった理由」

「元々老朽化していたこともあって新校舎自体は建てていたんだが……旧に廃校になった理由は間違いなく図書室の火災だろう。死者が出た場所に子供を通わせられないって話が親御さんから出て、早急に新校舎に移ることになった。俺達の卒業式も新校舎だったよ」


・「学生時代の恋愛事情は?」

「そういうことに疎くてな。分からん」


●ギシュターヴァ

 どんな質問をしても「部外者と話をする気はない」と拒否されます。


●セパード

・「このメンバーとは仲が良いのか?」

「そうだね。随分長い付き合いになるかな? その場にイグニカ君がいれば、七人組で楽しく思い出話に花を咲かせられたかもしれないね」


・「図書室について」

「……今はない思い出の場所さ。色々お気に入りの本があったのだけど、私の友人と一緒に燃えてしまったよ。……あの時、僕は何もできなかった。あの光景を見て、改めて自らの無力さを嘆きたくなるよ」


・「廃校になった理由」

「やはり、あの火事が直接的な原因じゃないかと思うよ。まあ、元々校舎の建て替えの計画があったからそれが早まっただけなんだけどね」


・「学生時代の恋愛事情は?」

「分かりやすいのはアニカ君がイグニカ君に片思いを寄せていたことだね。後、ギシュターヴァ君は素直じゃなかったけど、アニカ君に片思いをしていたよ。そこの朴念仁は別としてみんなにはバレバレだったみたいだね」


●オルガノン

・「このメンバーとは仲が良いのか?」

「よく一緒にいるメンバーですね。真面目で堅物な生徒会書記、捻くれ者の御曹司、演劇部の王子様、高嶺の花のツートップ、妖精好きの不思議ちゃん……よくこれだけのメンバーが集まったものです。俺だけキャラが薄いなぁって思ってました」


・「図書室について」

「……無力感というか、自分が矮小な存在だと思い知らされます。手を伸ばせば届きそうなところまで行ったというのに」


・「廃校になった理由」

「うーん……そう言うのは詳しくないので、カルロスさん辺りに聞くといいと思いますよ」


●ミランダ

・「このメンバーとは仲が良いのか?」

「そうね……随分と長い付き合いになるわね。アニカさんは一時期医学部に通うために島を離れていたけど、絶えず連絡は取っていたわ」


・「図書室について」

「私達が大切な友人を失った場所ね。……そういえば、奇妙な噂話があるわ。あの場所に行くと、可愛らしい子供の声が聞こえるって……その正体は多分、あの妖精なのよね。本当にいるなんて驚いたわ」


・「廃校になった理由」

「……元々校舎の建て替えの話があったけど、早まった理由はやっぱり火事でしょうね」


・「学生時代の恋愛事情は?」

「うふふ、ナイショよ」


●アニカ

 イグニカの死を目の前に魅せられてショックで心が折れているため、質問に答えられる状況ではありません。


 なお、模範解答は以下の通りです。


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①イグニカ殺しの犯人は?

 ギシュターヴァ=カーマイン。


②証拠は?

 カルロスの「図書室について」での返答「卒業を間近に控えた時に図書室が燃えたんだ。何故燃えたかは分からない。結局最後まで原因は分からなかった。……だけど、あの場所で出火するなんて絶対あり得ないんだ。考えたくはないが……誰かが火を放ったんじゃないかと今でも疑っているんだ」から図書室に出火の余地は無かったことが分かる。となると、「なんらかの仕掛けを使って図書室に火を放った」と考えるのが妥当。

 図書室で入手した『赤魔術について』によれば、赤魔術には炎を生み出すものがある。これを利用して火を放ったのだろう。イグニカの性格から本を守ろうと動くと分かっていたため、確実に殺せると判断しての犯行だったと思われる。

 本には赤魔導家カーマイン三代目当主とあったが、これだけでギシュターヴァが犯人だと決めつけるのは早計。

 ここで注目したいのが、「魔術を一度でも使った者の魔力は赤くなり、赤い魔力に当てられたものは真っ赤に染まる」という一文。

 思い出してもらいたいのが、三度目のタイムスリップで行ったタイムカプセルを埋める前の一場面でアニカは『白いヒヤシンス』の栞を渡したにも関わらず、ギシュターヴァの栞の花は『赤いヒヤシンス』になっている。


③動機は?

 『赤いヒヤシンス』の花言葉は嫉妬。ギシュターヴァはおそらくアニカに片思いを寄せていた。

 しかし、アニカはイグニカに片想いを寄せており嫉妬していたのだろう。

 学生時代のギシュターヴァは「将来は家を継いで、親が決めた人と結婚するからいいんだよ」と言っていたが、それは自慢ではなく不満の吐露であり、自分が自由に恋愛できないことに憤りを感じていた。

 そのため、内心自分よりも劣ると感じていたイグニカにアニカが思いを寄せているという状況が許せなかったのだろう。

 イグニカに対する怒りが高まり、遂には自らの手でイグニカに手を掛けることになる。その後、恋のライバルがいなくなったもののギシュターヴァは親の反対を振り切ってアニカに告白する勇気もなく、そのうちにアニカが医師になるために島を離れることになり、そのままズルズルと現在に至ってしまった。

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 作戦会議後は推理タイムになります。まず、探索者は犯人を指定してください。

 ……まあ、分かりやすいのでギシュターヴァが犯人だと言われるでしょう。

 その後、ギシュターヴァとの対決に移ります。


ギシュターヴァ「まず証拠だ! 俺が犯人っていうなら証拠は何だ? 言ってみろ?」


 ギシュターヴァが証拠を求めるので思う存分証拠を突きつけてやりましょう。的外れなことや証拠が不十分の場合は「そんなんで俺を犯人だって決めつけやがって!」などと反論するといいでしょう。

 ここで最低限必要な証拠は「赤いヒヤシンス」です。これがギシュターヴァが犯人であるという確たる証拠になりますが、それだけで犯人だとは言えないため、補強する材料が必要となります。『赤魔術について』やカルロスの証言はその補強になるでしょう。

 証拠フェーズを終えると、ギシュターヴァは少し追い詰められす。

 しかし、「そ、それなら動機はなんだ!」と反論するでしょう。

 ギシュターヴァは「俺に友達を殺す理由はないだろ!」と言ってくるので、ギシュターヴァの牙城を崩すために事件の動機をぶつけてやりましょう。


 『赤いヒヤシンス』からの連想では弱いため、セパードの証言からアニカにギシュターヴァが片思いをしていたこと、アニカがイグニカに想いを寄せていることを知って嫉妬した……ということが導き出せると思います。後は論を補強して終了です。


 推理ディベートが終わるとイベントが発生します。


【イベント:中庭にて②】


ギシュターヴァ「ああ、そうだよ……俺はイグニカに嫉妬していた。だから、殺してやったんだ」


アニカ「ああっ……なんてことなの!」


ギシュターヴァ「てめぇらさぁ、本当にふざけたことしてくれたなぁ! てめぇらさえ来なければ、こんなことにならずに済んだってのに!! アニカは島の外にいっちまうし、親には縁談を決められちまうしで、散々だったが……なんだかんだで今の生活に折り合いがついたってのに。今更そんなことを掘り返しやがって!!」


 ギシュターヴァは赤いヒヤシンスの栞を破り捨てました。


ギシュターヴァ「俺にはカーマインブランドを守らないといけない責任があるんだ。だからさあ、お前らには残念ながら死んでもらわないといけねぇな! 真実を知る者は生かして置けない!!」


 その時、眩い光が弾けて時の妖精が現れました。

 妖精はギシュターヴァの顔面に飛びつくと、小さな手でギシュターヴァの顔を殴りつけます……が、羽虫を払うようにギシュターヴァは時の妖精を叩き、掴むと地面に叩き付けて踏み潰しました。


ギシュターヴァ「イグニカが言っていた妖精って奴か? あの馬鹿の妄想だと思っていたが存在していたって訳か? 俺の邪魔をするとはいい度胸だな……潰れとけ! 腹立たしい奴は一体消えたがまだまだいるなぁ、てめぇらに言ってんだ! ここから、逃げられると、思うなよ!!」


 このイベント終了後、ギシュターヴァ=カーマインとの戦闘が開始されます。

 詳細は◆『エネミー図鑑』の情報◆をご覧ください。


 戦闘終了後、イベントが発生します。


【イベント:中庭にて③】


カルロス「……最悪な同窓会になってしまったな。昨日と今日、参加してくれてありがとう」


 ギシュターヴァの亡骸を置き去りにし、放心状態のアニカをミランダとセパードが支え、オーガノンが探索者達に頭を下げて去っていき、最後にカルロスだけがこの場に残りました。


カルロス「今回の件は私の方で処理しておく。……巻き込んでしまって本当に申し訳なかった。これは迷惑料だと思って受け取ってもらいたい」


 1,000,000,000 ファーゲルと『プチミーティアバッジ』×1をもらうことができます。


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・『プチミーティアバッジ』

 装備していると攻撃が当たった相手に稀に小さな星を降らせてダメージを与える。確率は20%で+3D10のダメージ。

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 この【イベント:中庭にて③】が終わったところで【MAIN SCENARIO:ゼルンの匣――十年前からのタイムカプセル】はクリアとなります。エンディングはありませんので、他のクエストをこなすか、島から脱出するか、話し合って決めてください。

 なお、ここでシナリオをクリアしても、即座にセッションを終了することはできません。

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