9話 頂点からみる景色

再整列を終え、まっつは感極まっていた。

いつもは先頭すら見えず、いつになったら入場できるのか、狙い台なんてとれないだろうと、不安や諦めの気持ちでしか並んだことがなかったのだ。


しかし!今日のパチンカスまっつは一味も二味も違うのだ!

これが25番からみる景色、皆が一様に狙い台を狙う中で確保ができる安心感!

今までの整列とは全く違う気分を味わえているのだ!


パチンカス仲間に抽選の化身のような男がいるが、あの男はいつもこの景色から俺達を見下していたのかと思うと悔しい気持ちもあった。


時刻は8時55分

「間もなく入場となります!決して走ったりせず落ち着いて入場をお願いします!それに加えて、前の方を追い抜いたりした行為を発見した場合は、即座に一般入場の最後尾からの入場となりますのでご注意ください!」


親の声より聞いたであろう入場での口上だが、こんなにはっきり聞こえるのは初めてだ。

俺が犬なら嬉ションしていてもおかしくないぐらい気持ちは高ぶっている。

まっつの背中にもうっすらとオーラ力がたち登っていた。


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