5話 MS登場

まっつが恐れていた理由を語るには、アクロスと北電子のマシン、そして、ニュータイプとオールドタイプについての説明が必要であろう。


1990年代前半、ホールという名の戦場はCRというマシンに支配されていた。


後にオールドタイプまっつが駆ることになるマニュファクチュアリースロットマシン(通称MS)はこの時代にも存在はしたが、出玉性能面などでCRや羽根物と言われるマシンに大きく遅れをとり、とても戦場で戦えるマシンではなかったのだ。


時代を大きく動かすことになったのは1995年、ユニバーサルが産み出したMSクランキーコンドルによって時代の波が動き始めるのだ。


MSを駆る前の戦士達と言えば、銀玉を打つだけの砲撃手しかいなかったのだが、クランキーというMSはドライバーのテクニックにより、スペック(出玉率)を上げることを可能にしたマシンであった。


戦士達のなかにはサングラスとヒゲを蓄え、トイレでも逝きません!と言いながら、通常の3倍の速度で動く男もいた。


このMSの登場により、多くの若者がそのスペックに惹かれオールドタイプとして覚醒することになるのだが、ベテランの砲撃手達の多くはCR、羽根物というマシンを現代にいたるまで打ち続けているのだ。



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北電子:スロットメーカー。ジャグラーと呼ばれる万人が操縦できることのできるマシンを製造し、現在ではホールの20%近くはジャグラーが支配していると言っても過言ではない。


クランキーコンドル:1995年ユニバーサルが製造した技術介入機。未だに後継機が製造され、オールドタイプから愛されているマシン。


CR。羽もの:パチンコ台の1種。

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