(異世界転生したら)転生せず知らないお嬢様の背後霊なんですが
いーこよ
始まりの日
第1話 異世界転生!?
「純っ...!!」
8年ぶりに再会した幼馴染を無意識に押し飛ばしていた。
___ドシャンッ
「キャーーー!!!」
横たわる男の服に空から降り注ぐ雨と地面に溜まった雨水が染み込んでいく。
(冷たいな...。いや、生温かい??)
「...洸...太?洸太なの!?
しっかりして!!すぐに救きゅぅ〜
(ああ、そうか。俺は死ぬのか...。
純は無事でよかった。)
駆け寄ってきた幼馴染の手から光るものが目に入った。
(結婚指輪...そうか、もう...
きみの幸せを...
守る事だけでもできたならよかった。)
_______
(あれっ...生きてる??
いや、病院ではなさそうだな。
天国...でもないか。)
晴れ渡る青空に広がる草原。
遠くには現代建築にも和風にも見えない建物。
(確か俺は純がトラックに轢かれそうなところを庇って...
死んだと思ったら知らない土地で目が覚めたと...
身を挺して人を助ける善行にトラック事故...
ってことは...異世界転生!?
これはもしや神様が俺にくれたご褒美なのか!?)
(...残してきた母さんたちとか友達とか
心残りがないわけではない。
だけど人を、純を助けて死んだのなら誇りに思ってくれるだろう。)
(純のことだって、もう俺がどうこう想う事じゃないしな...)
(よーし!こうなったら第二の人生を存分に生きてやるぞ!!)
(まずは...)
「ステータス、オープン!!」
「...」
(まあそりゃなにも起きないよな。
なにかチートとかもらえてないのかよ。
魔法とかがあるかは知らないけど、せめて身体能力とかさ)
改めて周りを見渡すと後ろに大きな木があった。
腕試しにと全力を込めて拳を突きつけた。
はずだった。
「おわわ!!」
目の前の木は微動だにしていない。
だが確かに右手はしっかりと木に突き刺さっている。
(あまりの速さと威力で綺麗に穴でも空いたのか...??
腕の方も全然痛くもないし)
ゆっくりと右手を引き抜いてみるが木には何の跡も残ってはいなかった。
「えっ...?」
恐る恐る木に手を伸ばしてみるが、
伸ばしても伸ばしても木を触った感触はない。
「え?触れない??ホログラム??」
困惑しながら木をすり抜けてみると
そこには金髪の少女が膝をついて佇んでいた。
どうやら祈りを捧げているようだ。
「あ、あのぉ、すみません。
あ、もしかしてNPCとかスタッフとかですか?
メタバース的な??
脳だけしか機能しなくなった人のための医療施設だったりとか??」
理解できないことたちに混乱して、目の前の幼い少女へ矢継ぎ早に質問を浴びせてしまった。
「キャーーー!!!」
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