夕焼けに微笑む彼女に手を伸ばす
ルイ
胸騒ぎ
夕焼け、校舎の屋上で二人の少年少女が向かい合っていた
少女は柵を飛び越えて飛び降りようと
少年はそれを止めようと
映像は流れていく
やがて少年は少女に何かを話しながら手を伸ばした
しかし、少年の足は床にくっついているかのように動かない
少女はそんな様子の少年を見て口を開いた
「臆病者」
「ああぁぁあああ゛ああぁ゛ああ!」
そんな大声を出しながら俺は飛び起きた
「はあっ....はあっ.....」
落ち着くように深呼吸をしていると部屋の扉がノックされる
「ああ、どうした?」そう言うと扉越しから朝ごはんできてますよ?と言われる
「ちょっとしたら行く」と返し俺はベッドから降りて、着替え始めた
今日は確かテスト期間か.....
そう考えると少し憂鬱な気分になる
そういえば。と朝食ができていることを思い出し、服も着替えた俺は一階へ降りると炊き立てのご飯と味噌汁の匂いが鼻を通った
「おはよ、美奈」
そう言うとエプロン姿の少女が俺の声に合わせて振り返った
「おはよーです!」
満面の笑顔で俺に挨拶を返した少女の名は
「後は朝ごはんを机の上に置くだけなので任せました!」
そう言ってエプロン姿のまま美奈は椅子に座った
俺は美奈と俺の分の朝ごはんを机の上に運び、俺も美奈の向かい側の椅子に座る
「それじゃ」
「いただきまーす」
「いただきます!」
俺達はそう言って朝食に手を付け始めた
いつも通りの味だ
いつも通りの味噌汁の味の濃さだ
いつも通りの朝食だ
なのに、なぜか俺の心には言葉にしがたいものがあった
それは、朝食を食べ終わった後も消えることはないのだった
夕焼けに微笑む彼女に手を伸ばす ルイ @ruisyousetu
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