第25話


「10代はヤンキー崩れみたいなんとさかった、その後はノリのええ彼女とやな、わざわざッ…気ぃ遣って、準備して抱いたりは、千里が初めて、ほんまに、」

「ゔんッ」

「ん…なんや、案外余裕やんか」

動きを止めて勇太は意外そうにそう言って、脱いだ自身の肌着へ手を伸ばし拾う。


 そして

「手ぇ、こうして」

と見本を示すので胸の前で手首同士を合わせれば、汗臭い肌着を拘束具にしてぐるぐると手を固定した。


「…あ」

「よっこらせ、と」

「ふグぅ」

強い力で脚を持ち上げれば太い親指が膝裏の柔らかい所に食い込んで、悶えるほどに痛む。


 けれど彼は

「手、バンザイしとき、な、」

と抵抗させてくれない。

 巻かれた肌着から腕を1本ずつ抜くことは不可能ではない。けれど『縛られている』自分で居たくって祈りのポーズのようにシャツの中で指を組んだ。


 脚をM字に開いたら勇太の反りでお腹側ばかりいやに擦れる。

 不思議な感覚に驚きと収縮の制御が効かない。


「んあー…千里、んあー」

「どっちが、気持ちい?」

「あァ?ひつこいな、千里にッ、決まってんやろッ」

「嘘でもッ嬉しいっ」

「ほんまやっちゅーねん、あー、嫁最高やなぁ、旦那のええやろ?」


 恥ずかしがらせようとしてるのかしら、黙ってこくこく頷けば

「あぁ?分かれへんぞ」

とさらに意地悪を仕掛けた。

「ゔんッ…」

「ん…千里、あー……ええなぁ、ほんま…好きよ、好きやねん、千里の愛に胡座あぐらかいとった、すまん」

「わがった、ってばァ、」


 もっと好みを擦り合わせてから結婚すれば良かったね。

 『恋人にしたいタイプ』と『結婚したいタイプ』は違うと言うけれど、勇太においてもそうだったんだろうなと…AVのように派手に喘ぐこともできない自分の力不足を痛感する。


「ぐっちゃぐちゃに…してみたかってん、千里、予告も無しに、襲ったり、」

「ゔんッ」

「千里、演技なんかすんな、マグロとか言うて悪かった、普通に…もう少しで終わる、辛抱してくれ、」

「しん、ぼ、」


 違う、苦行なんかじゃない。

 いつもより荒々しい勇太に抱かれてこんなに濡れて気持ちいいのに、ぞわぞわと心の底から黒いものが這い上がって増殖する。

「(なに…嫌悪感じゃなくて……嫌な感じ…)」

「ん、あー…千里、千里…もうちょいやから…ん、」

「(もう終わる、妊娠できたらもう…私……あ、)」

「あー…千里、1発目ぇや、出す、」

「やだっ‼︎勇太、やめて‼︎」


 突如本気トーンで叫んだ私に勇太は唖然として、腰を止めて

「ごめん、痛かったか⁉︎」

と辛そうな顔をした。

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