第7話 つもつも
「もう僕は剣も言葉も交わさずに、
「奏斗さん。影が薄くなっていますよ」
「いや、後光が差しているから身体の輪郭が朧げなんじゃないか?」
「殴って見たら、存在が薄くなっているのかいないのか分かるんじゃないか?」
「よっし。奏斗。その窪地から出て、俺と本気で闘おう」
「芽衣の闘い好きを否定はしないよ。ただ僕はもう、闘わないよ」
「闘いをわたくしたちに押し付ける気ですね。最低ですね。奏斗さん」
「いや。仕方がない。もう、闘いに明け暮れる日々から解放されたくて、秘湯にしか目を向けられなくなってしまったのだ。寛大な心でゆるしてやろう」
「………ごめんなさい」
闘気に満ち満ちた芽衣の目、蔑みに満ち満ちた聖月の目、労りに満ち満ちた箕柳の目を一身に受けた奏斗は、下唇をこれでもかと突き出しては項垂れてしまったのであった。
(2024.11.29)
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