【カクヨム10短編参加作品】異世界お姉さん400とんで15歳! 切れると怖いチートお姉さんとの甘々ラブラブ生活……
石のやっさん
第1話 32歳 オッサン冒険者ケイン
今日もまたゴブリン。
明日もまたゴブリン……しかし、俺のゴブリン討伐生活は何時おわるのかね。
いや、この分だと永久に終わらないかもな。
今日も俺はゴブリンを討伐をし冒険者ギルドに向かっている。
◆◆◆
俺の名はケイン。
黒髪、黒毛の今現在32歳のオッサン冒険者だ。
冒険者のランクはS~Fまでの中でCランク。
7ランクあるランクの上から4番目。
ランクこそ少し高いがこれは実力じゃない。
雑用が得意で強いパーティに所属していたから、自然とランクが上がっていった。
それだけだ。
俺はなにしろ有名な『希望の灯』や『漆黒の翼』などS~Aランク級パーティに所属していた。
パーティに所属していれば、如何に役に立たなくても、そのパーティの所属として、最低線のランク昇級がある。
それで上がったC級ランク。
本来C級ランクは冒険者として中堅。
そこそこの実力者扱いだが、残念ながら俺にはその実力は無い。
それは、俺は有名なパーティに所属しながら、戦闘にほぼ参加して無かったからだ。
宿の手配から家事一式。
必要書類の代書から貴族や領主との交渉事。
高ランクのパーティにはこう言う雑用が必要なんだ。
パーティの雑用を一身に引き受けて、こなしていたのがこの俺ケインだ。
扱いと言う事であれば『悪くは無かった』
他のメンバーよりは少ない物のちゃんとした分け前も貰え。
どこかの物語のように迫害や仲間外れは無かった。
『戦闘を全くしない』という事を考えれば寧ろ良かったかも知れない。
だが、どのパーティに居ても何処かしら孤独感を感じる。
俺は仲間と一緒に『冒険』がしたかったんだ。
肩を並べて戦う親友。
一緒に旅をする仲間。
そして……心から愛する恋人。
それが欲しかった。
だが、雑用が得意と知れ渡っていた俺に、それは手に入らなかった。
最初は同い年の仲間とパーティを組んでいたが、辞めて新しいパーティに入るたびに年齢差は開いていく。
最初に組んでいたパーティ、希望の灯のメンバーはとっくに冒険者を引退し、結婚をし子供までいる位だ。
20代後半になった位から俺は年齢差からパーティの中に居ても孤独を感じるようになった。
若い子の中に一人だけいるオッサン、それが凄く侘しく感じた。
何時からか、俺はパーティへの所属をやめ、ソロの冒険者として生活をする様になった。
◆◆◆
冒険者ギルドに来た。
「ゴブリン5体の討伐報酬 銀貨1枚と銅貨5枚になります」
※銀貨1枚 大体日本円で1万円
「ありがとう」
受付嬢のサリーが俺を呆れた顔で俺を見つめてくる。
「それで、ケインさんはいつ『雑用冒険者』に戻るのですか?」
「俺は戻る気無いよ」
「そうですか……実に勿体ないですよ。 幾つものパーティからケインさんが欲しいとパーティの申し込みが来ていますし、もし冒険者が嫌ならギルド職員になりませんか?」
「将来は解らないけど、今は普通の冒険者としての生活送りたいんだ」
「そうですか、実に残念です」
こう言って貰えるのは嬉しいけど、俺は普通の冒険者になりたいんだ。
◆◆◆
本当に勿体ないわ。
字(あざな)は『コンセルジュのケイン』
戦闘力こそないが、書類仕事から色々な物の手配、貴族との交渉までなんでもこなす『スーパー雑用』
英雄と呼ばれる冒険者カイトは語る。
『ケインの雑用無くして俺達はSランク冒険者パーティに成れなかった』と。
A級冒険者パーティのヒーラーセイラは語る。
『あの方は父親の様に接してくれて落ち込んでいる私を励まし続けてくれた』と。
本当に凄い人ですよね。
E級やF級冒険者パーティに所属し、その全てをB級冒険者パーティ以上にのし上げた冒険者。
特に、彼がつくる『異世界料理』は皆の胃袋を鷲掴み。
何回か差し入れで貰ったハンバーグステーキは絶品だったわ。
本当に勿体ないわ……冒険しない冒険者に戻るか、ギルド職員になってくれないかな。
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