第31話

テトとの戦いでは気絶しただけだったが…今、ずんだもんは『しんだ』のである。


「ずんだもん?」

「みんなも逃げないとこうなる…覚えておけ。」


まだ、誰も逃げなかった。


「では、次はお前だ…ウナ」


神がウナを睨みつける。


「えっ?」


ウナがそう言った瞬間…ウナの体が弾け飛んだ。


やばい…逃げないと……死ぬ…!!


私がみんなを連れてドアに行こうと思ったが、ミクは動かなかった。


「テト…私は殺された仲間を見殺しにできない。ずんだもんもウナもみんな…私が魔王になる前からの仲間だった…。私が魔王になったことを伝えた時、みんな私のことを心配して、四天王という組織まで作ってくれた。」


「じゃあ私も残る。」


「え?」


「私も…私の仲間を見捨てらんないからね。」


「私も命の恩人がそう言うなら!」

「俺も!」

「私も、自分の弟子がピンチなら、助けるわ!」

「俺も、そろそろやっちゃおっかな?」

「私も国と仲間を守るためならなんだって!」

「「私たちもミクのピンチならなんでもする!!」」


「みんな……!!!」


「さて、じゃあ帰らない選択をとったと…、正直私は悲しいよ。ここで殺しても疲れるだけだ。ただ、何度も殺すだけさ。行くぞ…」


〈滅びのバーストストリーム!!〉


闇を纏った物質が私たちめがけて一直線で飛んでくる。

それをみんなは避けた…と思ったが、2発目。3発目。


神の圧倒的な力に押しつぶされるように、

テトの目の前で仲間たちが次々と倒れていった。

リンが、レンが、ミクが、ユカリが、カイトが、アカネが、アオイが。

彼らは皆、テトを守るために必死に戦っていたが、神の攻撃は凄まじく、

彼女らの力を圧倒的に上回っていた。


「やめろ!!」


テトは叫んだが、その声は虚しく響く。

暗黒の球が一つ、また一つと仲間たちを貫き、彼女らの命が消えていく様子を見て、テトの心は凍りついた。彼女はただ立ち尽くすことしかできず、

目の前で繰り広げられる光景に呆然としていた。


「無駄だ、君たちには勝ち目がない。」


神は冷酷な笑みを浮かべて言った。

テトはその言葉に、怒りと悲しみが渦巻くのを感じた。

全員が殺されていく様子を見ていると、心の中に暗い影が忍び寄ってくる。


「何故、こんなことを…!」


テトは神に問いかけたが、答えは返ってこない。

ただ、仲間が消えていくのを見守るしかなかった。

彼女らの無念が胸に迫る。彼女は何もできなかった。

仲間を守れなかった自分を呪い、心が次第に暗くなっていく。


そして最後の瞬間、仲間たちが力尽きると、テトは神の視線を感じた。

全てを奪われた彼女は、ただ逃げることしか考えられなかった。

神の前から全力で逃げ出し、神殿の外へと駆け出してしまった。


振り返れば、全てが壊れてしまった。

仲間たちが、彼女のために戦ってくれたというのに、

彼女は一人きりで逃げることになった。

心の中で彼女らの叫びが響き渡り、その響きは彼女を追い詰めていく。


「ごめん、みんな…」


逃げる途中、彼女の心の奥深くで、

仲間たちを守れなかった自分を責める声が高まり、心を蝕んでいった。

彼女は闇に飲み込まれ、心の奥底に秘めていた感情が一気に爆発した。


「もう、だめだ…世界は終わったんだ…。」


その瞬間、テトの心の中に広がった闇が具現化し、彼の周りに黒い霧が立ち込める。彼は仲間を失った悲しみを抱えながら、心のどこかで復讐の火が燃え上がっていた。


闇に呑まれたテトは、これまでの仲間たちとの絆を忘れ、

自らの力を求めて進むことを決意した。

彼女はもはや、仲間を守るための勇者ではなく、

失ったものを取り戻すためだけのただの復讐者となった。


「私はもう、誰も守らない。自分のために戦う。」


テトはその言葉を噛み締めながら、新たな道を歩み始めた。

闇に包まれた彼の心は、失った仲間の面影を追い続けるが、

彼女の目は次第に復讐の炎で燃えていく。

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