第27話

----------------------------------------神視点----------------------------------------



私(神)は遥か彼方から、彼らの動向を眺めていた。

テト、ミク、リン、レン、ユカリ、カイト──

それぞれが試練に挑み、力を磨き、絆を深めている。

彼らが強くなるのを見るのは、悪い気分ではない。


だが、彼らが知る由もない真実がある。私がテトをこの世界に転生させたのは、

ただの偶然でも、彼の才能を見込んでのことでもない。

全ては、計画の一環に過ぎない。


私はこの世界をかつて愛していた。命が芽吹き、時の流れと共に文明が栄え、

人々が喜びや悲しみを織りなすその姿を見て、何度も心を揺さぶられた。

彼らの生き様、想い、そして成長は、私にとって美しいものだった。


だが、それも昔の話だ。いつからか、この世界は歪み始めた。

人々は欲望に支配され、互いに争い、裏切り、殺し合い、破壊を繰り返す。

かつての純粋な輝きは汚れ、私の目にはもう見るに耐えないものになっていた。

彼らの中には、他者を踏みつけ、自分だけの利益を追求する者たちが増えた。

真実の愛や友情も、もはや偽善に満ちた表面的なものにしか見えない。


私は何度もこの世界を救おうとした。

導き、警告し、時には力を与えて彼らが正しい道を歩むようにと試みた。

だが、全て無駄だった。彼らは変わらなかった。

人々の堕落は止まらず、むしろ加速していった。

いつしか、私は気づいたのだ──この世界はすでに腐りきっている、と。


世界そのものが、もう私にとっては価値を失っていた。

それは私を創造主としての無力さと苛立ちに満ちた感情へと追い込み、

ついには、この世界を嫌うようになった。

美しかったものが醜くなる過程を目の当たりにし続けた結果、

私は失望と憤りしか感じられなくなったのだ。


だからこそ、私は決断した。この世界を終わらせる、と。

世界がどうしようもなく堕ちていくのなら、いっそ全てを壊してしまった方がいい。何もかもを無に返し、再びやり直すための「破壊」が必要なのだ。


そこで私は、「破壊神・オド=ルゼ」を召喚する計画を立てた。

オド=ルゼは全てを無に帰す存在。

世界そのものを根本から破壊し、あらゆるものを消し去る絶対的な力を持つ神だ。

彼が現れれば、この腐敗した世界は跡形もなく滅び去り、

再び新たな世界が生まれるはずだ。


だが、そのためには膨大な力が必要だ。

世界を破壊する力を集めるためには、強大な者の魂や経験が不可欠だった。

そこで、私はテトを選んだ。彼がこの世界に降り立ち、成長し、

力をつけていく過程で、彼の経験を私の中に蓄積し、

最終的にそれを引き金にオド=ルゼを呼び出すつもりだった。


テトはただの駒だ。勇者としての使命を与えられたかのように振る舞っているが、

彼の真の役割は私のための「供物」に過ぎない。

彼が仲間たちと共に成長し、困難を乗り越える度に、私の計画は進行していく。


この世界が嫌いだ。もはや誰一人として救いたいと思えない。

この腐敗した人々や文明は、消滅するべきだ。

だから、私はオド=ルゼを召喚し、全てを終わらせる。

それが、私がこの世界に対して下す最終的な審判だ。


そして、その日は確実に訪れる。テトたちがどれだけ努力しようと、

逃れることはできない。彼らの成長は、破壊へのカウントダウンを進めるだけだ。

私は微笑みながら、静かに待ち続ける。世界の終わりが近づいていることを。

オド=ルゼがこの腐った世界を一掃するその瞬間を。

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