第24話

次の日の朝、私は見覚えのある影を見た。

そこに1人で向かうと、かつて勝手に勇者を名乗っていたニセ勇者のカイトがいた。


「久しぶりだな!」


私のその言葉に気づき、カイトはこちらへよってきた。

カイトはどうやらあの後自分を見つめ直し、更生し、

私がいた村を私の仲間と共に守っていたらしい。


「お前、変わったな。まるで別人みたいだ。」


私は少し驚いた様子でカイトに声をかけた。

以前の彼は自信過剰で、勝手に勇者を名乗り、他人を振り回すような奴だった。

しかし、今目の前にいるカイトは、どこか落ち着き、責任感を持った男に見えた。


「はは、そうだろう?あの時の俺は本当に馬鹿だった。でも、お前たちがあの時教えてくれたんだ。自分を見つめ直すってどういうことか、な。」


カイトは少し照れたように笑い、頭をかいた。


「それで、お前が村を守っていたって聞いたんだけど、何があったんだ?」


私は興味深く問いかけた。


「実はさ、あの後、俺はどうすれば本当に『勇者』と呼ばれるに値するかを考えたんだ。結局、力や肩書きなんてのはどうでもよくて、大事なのは守るべきものがあるかどうかってことに気づいたんだ。だから、お前たちが魔王と戦っている間、俺はこの村、いや、この国を守ることに決めたんだ。」


カイトの言葉は真だった。

彼の目には決意が宿っており、そこにはかつての自信過剰な男の面影はなかった。


「そっか…ありがとう。俺がいない間、国を守ってくれて感謝してるよ。」


私も真に感謝の気持ちを伝えた。

カイトの変化は驚きだったが、同時にその成長を嬉しく感じた。


「いや、感謝するのは俺の方だ。お前がいなかったら、俺はまだ勇者を名乗って、無駄に過ごしていたかもしれない。」


カイトはそう言うと、私に向かって深く頭を下げた。


「これからはどうするんだ?」


私は彼の今後の計画が気になっていた。


「しばらくは国や村を守り続けるつもりだよ。自分がここにいるべきだと思うし、国の人たちも俺を頼りにしてくれてる。それが今の俺のやりがいだ。」


カイトの言葉に、私は少し安堵した。

彼が自分の居場所を見つけたのだと感じたからだ。


「そっか。それじゃ、俺も少しこの村でのんびりしようかな。戦いも終わったことだし、みんなと平和な時間を過ごすのも悪くない。」


私は微笑みながら答えた。カイトも同じように笑い返した。


「そうだな。今度は肩の力を抜いて、普通の村人としてのんびり暮らしてみるのもいいかもしれないな。」


カイトはそう言って、爽やかに笑った。

私たちはしばらくそのまま村の朝の風景を眺めていた。平和な時間が流れ、

これから先もこの村と仲間たちと共に過ごしていく未来が見えてきた。


次の日の朝、平和な村で目を覚ました私は、

いつものように一日が始まると思っていた。

しかし、突然、体の中に違和感が走り、目の前が真っ白になった。


「え……?」


瞬きする間もなく、周囲の風景が消え、目の前には見慣れない光景が広がっていた。光に包まれた空間の中に、静かに佇む人物が見える。

その人物は、以前にも一度会ったことがある存在だった。

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