第19話

「ま、まさか……!」


彼女の声が震え、瞬時に彼女は倒れ込んでしまう。


「アオイ!」


アカネが叫ぶ。その声は怒りに満ちていた。

私たちの連携でアオイを倒したことで、アカネの動きが明らかに変わった。


「お前たち、絶対に許さない!」


アカネの怒りが燃え上がり、彼女の炎が再び強く燃え上がる。

その姿は以前の冷静さを失い、単純な攻撃に集中しているようだった。


「冷静に攻撃しよう、テト!」


レンが私に言い、私たちはアカネの炎の攻撃をかわしながら、彼女の隙を狙う。


「私の炎で、全てを焼き尽くす!」


アカネが叫ぶと、炎が渦巻き、私たちに向かって襲いかかる。

だが、その動きは次第に単純になっていた。

怒りに任せた攻撃が多く、隙が生まれていたのだ。


「今だ!」


私は叫び、ドリルを構えてアカネに向かう。

アカネが攻撃を仕掛けるが、私はその炎を躱し、彼女の横に回り込む。


「ドリルファイアー!」


私の攻撃がアカネの脇腹に命中する。

彼女は痛みに顔を歪め、炎が一瞬消えかける。

私たちはその瞬間を逃さず、さらに攻撃を仕掛ける。


「一気に畳みかけよう!」


リンとレンも私の後に続き、全員でアカネに攻撃を仕掛ける。

アカネの動きが単純になり、私たちの攻撃が次々にヒットする。


「こんな……」


アカネの目が驚愕に染まり、彼女は反撃の余裕を失っている。

私たちの連携が功を奏し、アカネを追い詰めていく。


「これが私たちの力だ!」


私が叫び、ドリルを振り下ろす。アカネの炎が消えかけ、彼女の体が揺れる。私たちの攻撃が彼女の意識を奪い、彼女は立っていられなくなる。


「ミク様…いや、ミク、ごめんね……。」


アカネの声がか細くなるが、私たちはそれに構わず、全力で攻撃を続ける。


「最後の一撃、行くよ!」


私は叫び、全ての力を込めてドリルを振り下ろす。

アカネはついにその攻撃に耐えられず、崩れ落ちてしまった。


「アカネ……」


彼女の姿が地面に倒れ込むと、周囲が静寂に包まれた。

私たちの勝利が確定した瞬間だった。


私たちは次の部屋に進む決意を固め、次なる敵を迎え撃つ準備を整えた。


次の部屋に足を踏み入れた瞬間、空気が一変した。

部屋は広く、暗い影が漂い、重々しい雰囲気が私たちを包み込む。

その中心には、魔王「ミク」が玉座に悠然と腰掛けていた。

彼女は優雅な衣装をまとい、長い黒髪が背中に流れ落ちている。

その表情は冷静で、私たちが近づくにつれて、微笑を浮かべていた。


「やっと来たか、勇者たちよ」


ミクの声は低く、響き渡るようだった。

その言葉には嘲笑が混じっており、

私たちの決意を一瞬で打ち砕くような威圧感があった。


「お前たちの努力は無駄だったのだ。すでに私の力を知っているはずだ。お前たちが私を倒せると思っているのか?」


彼女の言葉は冷酷で、私たちの心に恐怖の影を落とした。


「私たちは、あなたを止めるために来たのです!」


リンが叫び、勇気を振り絞って前に出る。

彼女の声には、かすかな震えがあったが、それでも力強さを感じさせた。


「そうか、それが勇者の意志か。しかし、その意志はすぐに挫かれるだろう。私の最強の力あなたたちを待ち構えているのだから」


ミクは冷たい笑みを浮かべ、まるで私たちを見下すような眼差しを向けていた。


「あなたがどんな力を持っているのか、試させてもらいます!」


レンも負けじと叫ぶ。私たちは彼女の言葉に勇気をもらい、気を引き締めた。


「ふふ、面白い。だが、私を倒すには、もっと力が必要だ。私の力を受け止めてみろ!」


ミクが立ち上がり、魔法陣が彼女の足元で光り始める。

次の瞬間、彼女は空中に浮かび上がり、周囲に漆黒のオーラを放った。


「お前たちに、私の力を味わわせてあげる」


その言葉と共に、彼女の周囲に集まった闇のオーラが、

私たちに向かって襲い掛かってきた。私たちは身構えるが、

その圧倒的な力に恐怖を覚える。


「気をつけて、あれは強力な魔法の〈オーラウイング〉よ!」


リンは叫び、私たちに警告を発する。

周囲の空間が歪み、闇の一閃が次々と私たちに向かって飛んでくる。


「リン、魔法を!レン、前に出て!」


私の指示に従い、リンは防御魔法を展開し、

レンは盾を構えてその攻撃を受け止めようとする。

だが、闇の魔法は想像以上に強力で、リンの魔法が次々と弾かれてしまう。


「これは……!」


レンの声が焦りに満ちる。

次の瞬間、闇の弾が彼に直撃し、彼は吹き飛ばされてしまった。


「レン!」


私は叫び、彼のもとへ駆け寄ろうとするが、闇の力が私を阻む。

まるで何かに縛られているかのようだった。


「ふふ、さあ、もっと楽しもうじゃないか」


ミクの冷たい笑みが、私たちの心に深い絶望を植え付ける。


「私たちはまだ諦めない!」


私は力を振り絞り、ドリルを構える。


今、私のすべてをかけて、彼女に立ち向かわなければならない。

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