第20話 フェアリーの国再び
「見えてきましたぞー」
道の先にはとても綺麗な花畑、もう懐かしい感じがするな…数ヶ月前あそこで大きな祭りを企画し、ついでに王様の妹も救ったんだ。
今回の同行者、ネズミ族のミリーにはこの国で行った事をすべて説明済み。
楽しそうに話を聞き、最後には涙を流していた。
そして到着、お花畑前。
「やっと到着ですぞ!ミリーも頑張ったですぞ!
「私は体力をつける為に夜は筋トレをしていたからね、結構体力も力も付いたんだから!」
えっへんと胸を叩くミリー、あれ?筋トレ?
「ミリーは夜筋トレをしてたの?ゴソゴソして息荒げて」
「そうですよ!頑張っていたんです、実は!」
「そうなんだ…僕はてっきり…」
「なんですか?」
「いや、性欲が強い種族っていうから…」
ミリーは少し考えた後に顔を真っ赤にして叩いてきた。
「そそそ、そんな事しないですよ!隣に男の人いるのに!私だって羞恥心はありますよ!」
普通に怒られた…でもまぁ、こんな会話が出来るのももう少しの間だ、
さて、行くか。
ブローチを付けて足を踏み出す、ミリーは後ろを付いてくるようにして入国した。
久しぶりだな、妖精の国だ!
「僕は爺さんが生きてるか確認にいきますぞ、死んでないと良いけど」
ポメヤはテクテクと絵画の店に歩いて行った。祭りではネイルアートをお願いした店で、ポメヤはすっかり懐いている。
あの水筒置いてきたから当分死なないでしょ…
僕とミリーは王宮を目指す、途中知った顔から声をかけられたりして結構時間がかかってしまった。
顔パスで王の書斎まで進む、もう家みたいなもんだ。
「おーいユーカー!いるかー!」
「誰よ!衛兵は何をしてるの!今忙し…」
顔を上げて僕を見ると固まっている。
「久しぶりだな、忙しいならまた来るけど?」
ユーカは嬉しそうに駆け寄ってきて来た。
「もう旅は終わったの!?あなたの使ってた部屋はそのままにしてあるから好きに使って!久しぶりね!正直もう会えないかと思ったわ!お風呂も沸いてるわよ!今日のご飯はアナタの好きなものを作らせるからね!」
興奮冷めやらないユーカはふと後ろに呆然と立っているミリーに気がつき…
「誰よその女ぁぁぁあああ!」
叫ぶなよ、お前これでも王様なんだから…
とりあえず落ち着いてもらい、今までの経緯を説明する。ミリーはブルブル震えながら話を聞いていた。
「なるほど、大変だったわね、トーマもポメヤも相変わらずお人好しなのね…、ミリーちゃん、もう大丈夫、あなたの滞在を許可します。」
「ありがとうございます国王陛下」
そういうとミリーは深々と頭を下げる。
「ユーカで良いわよ、トーマの知り合いだったら友達みたいなものだわ」
「じゃあ早速絵画の店に水筒借りにいってくるよ、ミリーが落ち着くまですこし滞在しようかな。ヒマだし。」
「私も行く!暇だし!」
後ろに立っていたフェアリーに力ずくで止められ、渋々とユーカは机に戻った。
ドンマイ、けど王様だろ、やる事はやれ。
僕達は絵画屋を目指し歩き出す。
「トーマさん本当にすごい信頼されてますね、実際見るまで信じられませんでした。」
「まあなぁ…色々やったからなぁ…」
絵画屋に行くと中から騒がしい声が聞こえてくる。
「そこで僕は街を救った英雄になったんだよ!今度一緒に見にいくですぞ!」
お前爺さんの前だと子供みたいになるよな。
「こんにちわー」
「お邪魔しますー」
「おや、トーマさん!久しぶりだねぇ!」
「こんにちは、ちょっと水筒借りていいですか?
「良いよ良いよ、便利な水筒だよねーポメヤには感謝してるよ!」
「いっぱい飲んでいっぱい長生きするですぞ!
水筒の効力は僕達と王族以外に知らない。もし国中に広まってしまったら争いの元になる可能性があるからだ。
この国に限っては無いだろうけどね。一応の措置だ。
水筒を借りてすぐに何か入れて飲んでも良かったがせっかくなので名物のフェアリーミルクを飲みに行こう。
ポメヤは水筒を大事そうに抱えて嬉しそうにしている。
「久しぶりですぞー」
フェアリーミルク屋に到着し、早速人数分のミルクを注文した。
もちろん一つは水筒に入れてもらって。
「お疲れ様、乾杯」
ミリーは恐る恐るフェアリーミルクを飲む。
「美味しい!いくらでの飲めそう!」
調子に乗るとバケツで来るからね、ここ
「何か変わった所というか、治った感じはある?」
「何かお腹の下が暖かいような…ちょっとトイレに行ってきます!」
数分後、涙を流しながら戻ってきたミリー。
「治ってます…赤ちゃん…産めるように…」
「良かったですぞ!ここまで戻ってきたら意味もあったという事ですな!」
万事解決だ、流石エリクサーだ。
しかしどうやって調べたんだろう…少し気になるが…
そして王宮へ戻り、豪華な食事にフェアリーミルク、旅の疲れを癒す大浴場、久しぶりだがやはり良いなここ。
ディナーには妹のニーアも参加、久しぶりに沢山の話をした。
その晩、国王ユーカ、その妹ニーアに呼ばれたミリーは、女子会を開催したのであった。
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