第11話 清楚なサキュバスの町その2 恋に恋するサキュバス

「あぁぁぁ!すみません!お見苦しいモノをぉ!」


少女は店の奥に走っていき、数分後制服を着て戻ってきた。

「ドジっ子って初めて見ましたぞ、いるもんですなぁ」


俺は一匹と一人目だよ。


アルバイトの子はコアちゃんと言うらしく髪を整えて制服を着ると透き通るような美少女だ。


サラサラの黒髪にパッチリとした目、鼻筋は通っており全体的にあどけなさが残る。

16歳らしくサキュバスの成人は18歳なのでまだ未成年だ。


「店はいいから旅人さんに町を案内してあげな、何も見るモノなんて無いけどね。」


「宜しくですぞー服忘れんなよー」


「忘れて下さいぃぃぃ!」

マスターにお礼を言って僕達はコアちゃんと店を出る。半分は帝国に行っているとは言ってもチラホラとサキュバスは歩いてはいるようだ。


歓楽街の時の名残りなのか風俗店のような建物が多いが、それぞれ他のお店が入っている。

「ホテルとかはそのまま宿屋になってるのでお好きなホテルに泊まってくださいね」


食品、金物、レストラン、本屋、アダルトショップ

「トーマー、アダルトなピンクの店入らなくて良いのかー、目が明らかに不自然に動いてますぞー」


「あ、行きます?結構面白いもの売ってますよ?」


コアちゃんが恥ずかしげも無く言ったので渋々、本当に渋々とピンクの店に入って行った。

中に入ると店主のサキュバスがいらっしゃいと声をかけてきた。


「おや、コアじゃないか、なんだい男なんて連れて、まだ成人じゃないんだから清くいなよ、まあ挿れなければいいから少し遊ぶなら構わないけどね。」


「違います!今日きた旅人さんです!マスターに町の案内頼まれたんですよ!」


「そうかい、旅人なんて最近じゃ珍しいねぇ、ゆっくり見ていきなよ。」

なんか生々しい事を聞いてしまった…サキュバスの街だし普通なのだろう、性教育の先進国みたいだ。


商品を見るとこれは…男性器の模型?あとはネバネバする液体、震える石、その他パッと見ただけでは何か分からない物が陳列されていた。

「これはすごいピカピカですぞ!勝てる!あいつにも!」


誰だよ…ポメヤは光る男性器の模型を振り回して遊んでいる。


コアちゃんは少し顔を赤らめてモジモジしていた。

「すごい店だった…見た事ないような物ばかりでビックリだ、世界は広いなぁ」


「サキュバスは性欲が強いですからね、溜まったら解消しないといけないのであの店の商品みたいなのが売れるんです。私は道具が無くてもう手で全然大丈夫ですけど。」


「なんでコアちゃんは裸見られるのは恥ずかしくて猥談は恥ずかしくないんですぞ?意味不明ですぞ」

お前のそう言う所いいと思うぞ!ずっと気になってた!


「私は成人してないので大人みたいなプロポーションじゃないんです…それが恥ずかしくて…」


「そういう事か、納得だ。でもコアちゃんも可愛いと思うけどね。」

コアちゃんは顔を赤くして嬉しいですと小さい声で言った。


本屋も気になったので見に行くと想像通りの品揃えだった。恋愛小説コーナーとアダルトコーナーが半々くらいだ。


「この本!人が逆さまになって上からもう一人宙吊りになってるですぞー!」

なにその本!?普通に気になる


ポメヤが騒いでうるさいので足早に店を出た。

後でもう一回来よう…

少し公園で休憩して世間話をする。


「みんな恋愛ってどうしてるの?子孫とかは?」


「大体お客さんの子供ですねー私たちって妊娠しにくい身体なんですよ、産まれてくるのはほとんど女の子でごく稀に男の子のインキュバスが産まれます。


「インキュバスか…見た事ないなぁ」


「短命ですからね、サキュバスは300年くらい生きますけどインキュバスは30年生きれば良い方ですね。」


「コアちゃんは好きな人とかいないのー?気になっちゃうですぞー」


「成人していないので男性とはあまり関わらないんです、私はもうすぐ成人なのでこうやって普通にお話出来ますけどもっと若い子は理性を失ってしまうので…」


聞くと15歳までは山奥で育つらしい、まあ自己防衛もあるんだろう、たまに抜け出して男性と関係を持つサキュバスもいるらしいが壊れてしまって永遠に精力を求めるんだそうだ。


「私本屋さんの恋愛小説大好きなんです!いつかあんな燃えるような恋ができたら…憧れちゃいます!白馬の王子様なんて出てきたらもう!この前読んだ本なんて!」


そこから数時間恋愛小説について語られた、ポメヤは口を開けて空を眺めているし僕は相槌ばかりで首が痛い。

「あっ!もうこんな時間ですね!ホテルに案内します!こっちです!」


「ポメヤ、行くぞ、雲の形はどのくらい変わった?」


「はいですぞ…空を見すぎて吸い込まれるところでした…。」


ホテルまでの道のりでまだ話は続いた…一番遠いホテルまで…


ホテルの前でコアちゃんと別れてホテルに入る。

別れ際にコアちゃんは、可愛いって言ってもらえて嬉しかったです!私もトーマさんカッコいいと思いますよ!と笑顔で言われ、顔が熱くなるのを感じた。


「あーあーウブですぞ、死ぬまでウブですぞ」

勝手に決めないでほしい。


部屋は安く無駄に鏡や電球が付いていた。


「このお風呂ー下から泡もでるし光りますぞーパーチーターイム!」


楽しそうだな、いいから早く代われよ。

サキュバスの性欲は強い、だから恋愛にも人一倍興味があるのだろう。

コアちゃんももうすぐ成人、普通の恋愛、結婚の道もゼロではないよな…


そんな事を考えていると外から男たちの声が聞こえた。

俺達意外にも旅人がいたのか…。


もう眠い…寝るか…


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