赤いパンドラの箱

柏戸ハルキ

第1話 日常とディストピア

「あ~かったり~」

ソファーに寝転がりながら、今日もネットの記事を見続ける。

俺は渋木京之介。一人暮らしをする某Aラン大生。不登校からフリースクールへ転向してから、勉強もしつつwebデザインや動画編集、イラストなど多岐にわたって活動。その甲斐あって某Aラン大に推薦合格した。

今日はネットの記事を見ているが、いつもの事ネットは大炎上。特に政治関連はヤバすぎる。俺の友人にクソエリートの国会議員幼馴染がいるが、そいつに訊いた話政府高官は腐りまくっているらしい。自らの老後を安定させるために若者から税を吸い取り、その税を国会議員の豪遊に当てている。従妹めぐみの通う中学校では親の職業での身分差別スクールカーストが激しいらしく、工業主の息子がサラリーマン一家の娘を虐めても先生は咎めもしないという。


俺が小学生のころ、授業中に東日本大震災来て、その後も計画停電とかで暫く苦労した思いがあるが、愛美めぐみの代はもっと苦労してるみたいだ。などと言ってる俺も、バイトすれば2割は老害の贅沢年金制度に飛ぶし、大手に就けば上級国民の下働きドレイとしてカネの亡者になるしかない。


今日も秋雨前線のせいで天気が悪い。だが、どうも今年の秋は面白い事が起きそうだ。


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「いい資料は集まったか荒井?」


「はい!どうやら自衛隊の一部が"計画"プロジェクトに加わってくれるようです。幕僚長も説得できるかもしれません」


「いや、そんな上から狙っても計画バレてお終いだ。なるべくボトムアップで離反させろ。」


「はい」


廃ビルの地下室で、何やら怪しい会談が行われていた。


「今の日本は腐っている。上級国民は庶民を虐げ、政治家は自らの利益のために働き、憲法に矛盾した軍隊がある。その状態を俺達『桜の会』は変えたいだけだ」


色んな業界にスパイを忍ばせ、政府に不利な情報を集めては色んな業界を味方につける。ソーシャルメディアに対するSNSの優位性は明らかだ。ネットで煽動すればすぐに同志が集まる。


まもなくだ。我々の"革命"が始まる。

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