アグニ王子は、王位継承をはく奪されたので、新たな国を作ります・

@HANAMIHANATABA

第1話

 不吉な予感がする。我が父が不治の病で死んでしまい。このクロッゾ王国の政権を握るのは、息子である私のはずだった。

「王子。そろそろ」

父が死に、父の葬式が行われた。それに伴い、王になった私が、父の代わりにこの国を動かすことになる。今日は、私の戴冠式だった。その日に、あいつが現れた。

「ああ、わかった」

大きな剣が描かれた金の門。門を開くと、大貴族から貴族。そして私に仕えてくれる使用人が、道を作り待っていた。

「クロッゾ王は、不治の病で亡くなられましたが、さいわい、王子であるアグニ様が「少し待っていただこう」」、と騎士団長のグニーの言葉を遮ったのは、大貴族のダニーであった。

「王子よ。王は、クロッゾ王は本当に、病で死んだのですか?」

「どうゆう意味ですか!!」

ダニーの言葉に怒りを覚えたのは、父のお気に入りだった貴族のエイレーナ―であった。

「いいや、考えても見てください!あの時期に王がお亡くなりになるなど、偶然とは考えられない!!」

「つまり、貴殿は、我が父上を殺したと言いたいのか?」

「いいえ、そうとは言っていません。だがしかし、アグニ王子。あなたには、王になる資格はない!」

言い切ったダニーは、私が、入ってきた門を見た。

「ご覧ください。あれこそが、王位を継ぐにふさわしい方です」

ダニーが言い放った瞬間。門が開く。入ってきたのは、二人の使用人を引き連れた女性であった。

「あれこそが、ディーテ様です」

『おお』、と皆が、その女性を見る。白髪にその美しい漆黒の瞳は、誰もが魅了される。

「余は、卑劣なる兄とは違う。余は、民のことを考え、民のために尽くせる。だから、余が王になるべきだ」

そのディーテと名乗る女性は、私を「卑劣」、と罵った。

「貴様、無礼であるぞ。アグニ王子が、王位にふさわしくないだと!」

怒ったのは、またもエイレーナ―であった。

「エイレーナーよ。そう怒るものでもない。まずは、ダニーの言うことを聞いてみようではないか」、とエイレーナーの怒りが爆発する前に止めたのは、ダニーの息子であるデミであった。

私の許可なく話し続けるダニーは、最後に、「アグニ王子が、クロッゾ王を殺した。そして、そこにいるディーテは、クロッゾ王の娘であり、アグニ王子の姉である」、と。

戴冠式の日に、何たる茶番かと思った。それはここにいるダニー以外の貴族も同様に思っていたことだった。もちろんダニーも、それを知っていた。だから、「ならば、これを見てください」、とダニーが見せたのは、クロッゾ王が、親族である存在に、渡す星の形をしたペンダントだった。もちろん。私も持っている。

『なっ!?』

貴族全員が、驚く。そして、ダニーがその反応を見て、「こちらは、クロッゾ王が、親族であるアグニ王子に渡したペンダントでございます。これを持っていたのは、そこにいる。ディーテ様でございます」

この戴冠式にいる全ての者が、しゃべりだす。それは、「クロッゾ王に、隠し子が!?」、「じゃあ、アグニ王子が・・・」、とそんなことを言う輩も現れた。

「つまり!?その女性・・・いや、そのお方は」

「ええ、つまり、このお方は、アグニ王子の姉であり、正真正銘の王位継承者です」

ダニーは、私を見て薄ら笑いをした。

私は、「チっ」、と舌を鳴らした。

「ダニー殿、それは本当なんですか?」、と誰かが問う。

「ええ、本当ですよ。グニー騎士団長」

「嘘だ。大体。そんなことを、クロッゾ王が、なぜ、そんなことを隠していたのだ!?」

エイレーナーが、納得しかけた貴族に問いかけるように、言い放つ。

「それに、もし本当に、ディーテという女性がクロッゾ王の娘だとしよう。だとしたら、ダニーよ。なぜ貴様はそんなことを知っている」

ダニーは口を開く。それは、「それは、クロッゾ王が、死ぬ間際、ディーテ様の居場所を教えてくれたからです。そして、アグニ王子が、クロッゾ王とそのディーテ様を殺そうとしたからです」

私は、理解できなかった。

「なぜ・・・・私が・・・・父を」

「「なぜ」、と言いますか!これを見よ!」

通信用に使われている魔晶石を、ダニーが私の前で見せた。

[アグニよ。お前が我に毒を持っていたことは知っている。

お前の姉。ディーテのことは、ダニーに教えておいた。

お前はもう終わりだ!もう。罪を認めろ]

「ふざけるな!そんなものに、誰が惑わされるか」

私は、激昂した。

「そうだぞ。アグニ王子が、クロッゾ王を殺しただと。貴様・・・・ぁ!」

「そうですよ。この魔晶石が、すべてを物語っています」

「私を、失墜させるつもりか・・・」

私はダニーにそう聞いた。そうするとダニーは、「皆さん。そこにいる。アグニ王子が、クロッゾ王を殺したんです」

「そうか・・・」

「アグニ王子が!」

待て・・・なぜ、ダニーの言うことが正しいことになっているんだ?

「アグニ王子。ここから逃げましょう。ここにいては、危険です!」

エイレーナーが、私に近づき言った。

「ああ」

私は、『逃げる』、という形で、エイレーナーの屋敷に向かった。


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