転生したらクトゥルフ神話の力で無双かなって思ったらめんどい事がありすぎて辛いンゴ
@LAINtyuni
第1話 転生したら邪神が養ってくれる件 上
俺の名前は阿佐間融(あざま とおる)。
平凡な高校生だった俺は、ある日突然、不幸にもトラックに轢かれて死んだ。特に英雄的な死でもなければ、壮絶な人生を送ったわけでもない。死ぬ直前までスマホで動画を観てたくらいだ。唯一の心残りといえば、家族との口喧嘩をした翌日に事故ったことくらいか。
気がつくと、真っ暗な空間に浮かんでいた俺の前に、得体の知れない何かが現れた。そいつの形容は難しい。人型でも獣型でもなく、光と影が混じり合う奇妙な存在だったが、そいつが俺にこう言ったのは鮮明に覚えている。
「次の人生を選ぶ権利をやろう。何を望む?」
普通なら戸惑う場面なんだろうが、不思議と俺は冷静だった。むしろ、目の前の“それ”が何なのか興味が湧いて仕方なかった。
「何を望むかって……。じゃあ、退屈しない人生を頼むわ。」
この言葉がすべての始まりだった。
◆
転生後、俺は普通の日本のような世界に放り込まれた。名前も同じ阿佐間融。だが、生まれたときからすでに親はおらず、気がつけば小さな一軒家に住んでいた。普通なら絶望的な状況だが、この人生、普通じゃない裏設定がついてきた。
俺は“クトゥルフ神話の力”を使える。
具体的には、怪物や邪神を召喚したり、彼らの力を一部借りることができたりする。さらに、生活費に至っては、どこかしらの異次元からポンと提供されてくる。初めて気づいたとき、俺は笑うしかなかった。
「え? 邪神が俺を養ってんの?」
どうやら、俺が転生前に望んだ「退屈しない人生」に応じて、邪神たちが勝手に後ろ盾になってくれたらしい。ありがたいやら迷惑やら、複雑な気分だ。
とはいえ、この状況を楽しむしかない。だって俺、もう一回死ぬわけじゃないしな。
◆
さて、ここからが今日の話。
高校生活を送る俺だが、日常には不思議な事件が頻繁に絡む。その原因の多くは、クトゥルフ神話の力を狙うカルト教団だ。特に、最近しつこいのが「ダゴン秘密教団」。奴ら、俺の学校を監視してるらしく、毎週のように襲ってくる。
放課後、校門を出ようとした瞬間、案の定、奴らが現れた。黒いローブに身を包んだ一団が、妙な呪文を唱えながら俺に向かってきた。
「阿佐間融! 貴様の力を我が教団に捧げるのだ!」
「またかよ……。」
正直、飽きた。俺は大げさにため息をつき、ポケットに手を突っ込んだ。
「ビヤーキー、頼む。」
空からの轟音。次の瞬間、巨大な翼を持つ怪物が俺の頭上に現れた。
「ギャアアア!」
ビヤーキーの爪が振り下ろされ、教団員たちは一瞬で散り散りになった。逃げ遅れた一人が恐怖で震えながら俺を見上げる。
「な、何者だ……お前は!」
俺は笑って肩をすくめた。
「ただの高校生さ。ただし、ちょっと退屈しない人生を送ってるだけ。」
そう言いながら、俺は再び歩き出した。異世界での人生は、予想以上に刺激的だ。そして俺は、この力を最大限に使って、楽しむつもりだ。
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