第56話 きららと話して薫とお泊り
「おばあちゃんただいまー!」
俺が暇をつぶしていると玄関の方から大きな声が聞こえて来た。
きららが帰って来たんだな……
そんな声を聞いてきららのおばあさんが玄関の方を覗いて声をかけた。
「お帰りきらら」
「おばあちゃん、知らない靴があるけど誰かお客さんでもきてるの?」
お客さんって……もしかして薫から聞いてなかったのか?
まぁ、別に問題がある訳じゃないから良いんだけどさ。
「来てるのよ。今日は夕食も食べて行ってもらう事になってるからよろしくね」
「そうなの?分かった。でも誰だろう?初めてだよね。おばあちゃんのお友達?」
「違うのよ……会えば分かるよ」
「それもそうだね」
そう言ってきららが部屋に入って来た。
「え。えぇぇぇぇ!!!な、何で海斗君が居るの!?」
きららは俺を見るや否や大きな声で驚いていた。
まぁ、知らなかったらそうなるよな……
「お邪魔してるぞ……」
「え!お邪魔してるって!何でいるの!?おばあちゃん!!!???」
「ふふふ、それは二人で話していてね。私はご飯を作ってるから」
「え……あ、うん分かった……」
きららのおばあさんは笑顔でそう言ってキッチンに向かった。
それから少し無言が続いていたので俺の方から話しかけた。
「えっと……大丈夫かきらら?」
「う、うん……ちょっと急な事でびっくりしただけだから大丈夫!」
「まぁ、びっくりするのも無理ないな……驚かせてごめんな」
「そ、そんなことないよ!大丈夫!それより何で海斗君が家にいるの?」
「そうだよな、それじゃあ軽く説明するな……」
そうして俺は大方の流れを説明した。
「そういうことだったんだね……ありがとう海斗君!おばあちゃんを手伝ってくれて!」
「いや、見かけたのだってたまたまだしな。それより俺がいるって薫に聞いてると思ったけど違ったんだな」
「全然聞いてないよ!でもそう言えば……薫ちゃんが解散するちょっと前に海斗君から電話が来たって言ってたけどその時に教えたの?」
「多分そうだと思うぞ」
「そういえば凄く笑顔だったから海斗君と話せて嬉しかったんだろうね。それに薫ちゃんってば何で教えてくれなかったんだろう?」
実際に薫が教えなかったその理由は分からないけど……何か考えがあったのかな?
まぁ、そんなに気にする事でもないよな。
別に言っても言わなくてもそこまで変わる事でもないし。
「まぁ、良いんじゃないか?そんなに大事な事でもないしな。ただ俺が夜ご飯を頂くってだけだし……ていうかなんだったら普段から一緒に夕食は食べてるしな」
「そ、それはそうだけど……私の家ってなるとちがうんだよ……」
きららはちょっと恥ずかしそうにそう言って来た。
「そういうものなんだな……」
「そうだよ……」
ちょっと気まずくなりそうだったので俺は話を変える事にした。
「それにしてもきららのおばあさんって凄く優しい人だな……きららの話をする時なんて本当に好きなんだって伝わって来たぞ。大切にされてるんだな」
「うん……小さい頃からずっとそうなんだ……私も大好きだし、育ててくれた事を本当に感謝してるんだ……私のお父さんとお母さんが亡くなってからは、絶対に大変だっただろうけどね……」
きららは優しく微笑みながらそう言って来た。
家族か……
「そうだな……大切にしないとだな……」
「うん。だからね……海斗君のおかげだよ!私やおばあちゃん、おじいちゃんが幸せに暮らせてるんだから!」
きららは今度はニッコリとこっちを見てそう言って来た。
「そっか。そう言ってくれると俺も嬉しいよ」
「それと今日はありがとう!海斗君がお休みをくれたおかげですっごく楽しかったよ!二人にもご飯を奢ってあげてお洋服も一緒に買ったよ!」
「薫からもちょいちょい写真を送って貰ってたけど、本当に楽しそうに笑ってたよな。楽しめたのなら良かったよ」
「初めてだったからね……友達と一緒にお買い物とかずっとやってみたかったんだ……」
まぁ、今まではそんな余裕なんてなかっただろうからな。
遊びに行く事すらままならなかっただろうし……
「それならこれからたくさん行けばいいよ。そうだ……これからは土曜日も休みにしようと思っているんだけどどうだ?」
「休みって……私が海斗君のお家で働く事?」
「そう。それで給料を下げるって事もないしな」
「そんなの悪いよ!私はちゃんと働くよ?ただでさえお世話になってるんだから……」
「そうか……でも仁美が基本的に日曜日は無理らしいしな……それじゃあ土曜日と日曜日を入れ替えるか?」
それなら土曜日が休みになるし、仁美とも遊べるだろう。
まぁ、土曜日か金曜日は薫が基本的に俺の家に泊まりに来る事が多いのだが、それでも日曜日にするよりかは三人で遊べる日も増えるだろう。
それに薫が行けなくてもきららと仁美の二人でも遊べるようになるしな。
「そうだね……それだと嬉しいかも!」
「じゃあそうしようか。後他にも困った事とかあったら言ってくれよ。おじいさんもまだ入院してるだろうし大変だろうからな」
「良いの?」
「当然良いぞ」
「そっか……それじゃあ何かあったら頼りにするね!」
「あぁ」
きららは嬉しそうに笑顔でそう言って来た。
「二人とも出来たからおいで」
俺たちがそんな事を話しているときららのおばあさんがそう言って来た。
◆
――俺はきららの家でご飯を食べ終えて帰る事にしたので玄関できららと話していた。
「それじゃあ今日はありがとな」
「ううん。私の方もありがとね。楽しかった!」
「俺も楽しかったよ。それじゃあ帰るな」
「うん。バイバイ!」
「あぁ」
「海斗君……明日からもよろしくね!」
別れ際にきららが満面の笑みでそう言って来た。
「よろしくな。それと家事とかいつも助かってるからな」
「次からも頑張るね!」
――そうして俺が帰っていると薫から電話がかかって来た。
『海斗君!きららちゃんから連絡が来て今帰ってるんだってね』
『そうだぞ。今外を歩いてる』
『それじゃあお家でまってるね!』
『え?お家?』
『うん!今海斗君のお家にいるよ』
合鍵は渡しているし、薫には俺がいない時でも自由に出入りして良いって言っているが、今日は来ない予定だったと思うが?
『そうなのか?今日は泊まりに来ない日じゃなかったっけ?』
『その予定だったけど、来週の土曜日もお泊り出来ないなって思って来ちゃった!お母さんとお父さんにも当然言ってあるよ』
『来週ってなにかあるのか?』
『来週の土曜日はおじいちゃんの誕生日だから一日中いないの!』
おじいさんの誕生日か……確か少し離れた場所に住んでるんだっけな?
確かにそれだったら来週は無理そうだな。
『なるほどな。それで今日来たって事か』
『そう言う事!』
『じゃあ直ぐに帰るから待っててくれ』
『うん!』
そうして俺は電話を切って急いで家に帰った。
◆
――家に帰って扉を開けると薫が顔を出してきた。
「お帰り海斗君!」
「あぁ、ただいま」
「どうだった?楽しかった?」
ニコニコしながら薫はそう聞いてきた。
俺たちは部屋に向かいつつも話し続けた。
「そうだな。まぁ、楽しかったな。ていうか薫はきららに何で伝えてなかったんだ?きららが帰って来た時めちゃくちゃ驚いてたぞ」
「うーん?何となくかな?」
「何となく?」
「そう。何となく」
「まぁ、良いいか。それより薫の方も楽しかったか?」
「そうだね。楽しかったよ!きららちゃんも凄く喜んでたね」
「そうか。それは良かった……それと薫はご飯は食べて来たんだよな?」
「お母さんとお父さんと一緒に食べて来たよ」
「そうだよな。それじゃあ部屋でゆっくりとするか」
「うん!」
それから俺と薫は部屋で楽しく過ごした。
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