エロゲの強すぎる竿役に転生した俺は既にヒロインの一人を抱いた後でした……

タコタココタ

第1話 強すぎる不良竿役に転生したら全裸のヒロインが居た……

「ふぁー」


 俺はいつも通り起きたのだが何故か普段より体が軽い気がした。


「あれ?ここどこだ?」


 部屋の中は質素で物がほとんどない部屋だ。

 明らかに俺の部屋ではない。

 

「とりあえず部屋から出てみるか」


 俺はそう思って足にかけていた毛布を取った。


「は!!??」


 毛布を取るとそこには手で顔は良く見えないが滅茶苦茶胸の大きな茶髪の女性がいた。


「一体……」


 もしかして酔っぱらってそのまま?

 よく思い出せ俺!!

 

 俺は大学が終わってからバイトに行く。

 バイトが終わってエナドリを買って家に帰って来る。

 家に帰ってからはエナドリを机に置いて今プレイ中のエロゲをやる。

 やっとの事でハーレムエンドにたどり着いて達成感に浸りながら寝る。


 ……うん。絶対に俺は酒なんて飲んでないし家で寝ているぞ?


「それにしても大変だったよなー」


 あのエロゲはメイン竿役である王豪海斗(おうごうかいと)が強すぎるのだ。

 筋肉質のイケメンで女子の心に付け込むのが上手く選択肢を少しでも間違えると直ぐにヒロインを奪われてしまう。

 しかも王豪海斗にだけ注意していたら気付けば他のモブ竿役に抱かれているとかいうね……

 そんな訳でバッドエンドばかりになってしまうエロゲなのだ。

 

 個人エンドルートですら難しいと言う鬼畜エロゲでそれも話題になり人気が出たエロゲでもある。

 ハーレムエンドを攻略したって人は本当に少なかったと思う……普通のエロゲならあり得ないのだがそのエロゲはそうだった。

 ネットでもハーレムエンド達成の報告はされていたが多くなかった。

 俺も一年かけてやっと達成出来たくらいだしな。


「いや、今はそんな事よりも考える事があるだろ!」


 マジでこの子は誰なんだよ?

 下手に起こして騒がれても困る。

 大学でも何人かと関係を持っていたがここまで胸の大きな子はいなかったはずだ。


「んー」

「やばっ」


 俺がそんな事を思っていたら女の子が目を覚ました。


「おはよう……」

「な!?」


 俺は思わず目を見開いた……

 俺の目の前にいる少女の顔は俺が昨日までモニターの中で沢山見て来た女の子だからだ。

 綺麗な茶髪ボブで目はちょっとおっとりしていて大きな胸を持っている。それでいて何処かふわふわしている雰囲気のある身長が低めの超絶美少女。

 俺がやっていたエロゲのメインヒロインであり主人公の幼馴染である笹内薫(ささうちかおる)だった。

 

 俺は何が何だか分からず混乱していた。


「また大きくなってる……」


 薫はそう言いながら俺の股間を見ていた。

 どうやら無意識のうちに立っていたらしい……いや、普通にこんなかわいい子が裸だぞ?立たない方がおかしいだろ……てかデカすぎだろこれ。

 ってそんな事を考えてる場合じゃないだろ。


「ごめんね……私も昨日が初めてだったから今は無理かも」


 薫は顔を赤くしながら手で隠してそう言って来た。

 正直頭がパンクしそうだ……マジで状況が分からない。

 現状で分かる事と言えば俺が昨日薫を抱いたって事だけだ。


 まさか転生?

 てことは俺は主人公に転生したのか!?


 俺がそんな事を思っていたら衝撃的な名前で呼ばれた。


「どうしたの海斗君?」

「……」


 俺はそう言われてわざと腹を抱えて俯いた。

 別に腹が痛いわけではない。ただ今の俺は凄い顔をしていると思うからだ。

 

 今海斗って言ったよな?

 海斗ってまさか……


 いや……とにかく落ち着け。

 今俺が動揺したら不振に思われるだろう……

 とにかく確認しなければ。


 俺はそう思って顔を上げた。


「いや、ちょっと腹が痛くてな……ちょっとトイレ行ってくる」

「うん。行ってらっしゃい」


 そう言って俺は部屋を後にした。


 ――廊下に出て二分後


 この家ちょっとデカいな……おかげでトイレを探すのに時間が掛かったわ。


 そうして俺はトイレの鏡を見た。


「はは、やっぱりか……」


 俺はそう言って口が引きつった。

 そこに移る姿は金髪できりっとしたイケメンでピアスなども空いている不良だった。

 身長も180位あるし体も引き締まってて筋肉が凄い。

 

「どう見ても王豪海斗だな……ぐっ!」


 その瞬間頭に激痛が走ったと同時に今までの王豪海斗の記憶が頭に入って来た。


 王豪海斗……児童養護施設出身で親がいなくその上児童養護施設でも虐められていた。

 児童養護施設の大人が止めても止まらず王豪海斗は苦しんでいた。

 そんな王豪海斗は児童養護施設から出たいがためにお金を稼ぐ方法を考えた。

 

 中学生になる事には天才プログラマーとして偽名を使い名が知られていた。

 そしてそのお金で投資にも手をだし中学二年生の頃には資産が億を超えていてこの家を購入した。

 それからはプログラマーは止めて投資だけでお金を増やしつつも今までの鬱憤を晴らすかの様に遊び始める。

 夜遊びに喧嘩、女漁りにタバコや飲酒の様々だ。

 中学卒業時には学校でも知らない人がいない位の不良として有名だった。


 投資とか家の購入とか法律的に無理では?と思うかも知れないがエロゲの世界だし大丈夫らしい。

 その辺は上手く法律が変わっているみたいだ。

 ちなみにエロゲで良くある一夫多妻制ではない。


 そして今は高校一年生、入学式から一週間後だ……


 笹内薫は一番のチョロインなのだ。

 気が弱い性格で自分に自信が無く、押しに弱いので主人公と良い感じでも直ぐに寝とられる……いや、付き合っている訳では無いから厳密に言うと違うのだが、NTRっていってもいいだろうって事でそう表現されていた。

 笹内薫を完全に自分の女にするには完全に染める必要がある。

 それは竿役の王豪海斗も同じで寝取ったと思ったら他の竿役にも犯されていたみたいなそんなストーリーいらんだろ!みたいなシーンもあった位だ。


「てか一週間って事は……笹内薫の最速NTRルートじゃねーかよ!!!」


 王豪海斗の記憶を辿っても間違いない。

 笹内薫は主人公の幼稚園からの幼馴染である。

 そんな笹内薫は高校になった初日に主人公がクラスのギャルと仲良くなって、既に一緒に帰る中になっている。

 ちなみにそのギャルはメインヒロインだしそのヒロインの最速攻略ルートでもあるのだ。


 俺こと王豪海斗は、自分と帰る約束を破ってヒロインのギャルと手を組んで一緒に帰っている主人公を見た笹内薫が泣いている所を見て慰めつつも家に連れ帰って来たのだ。

 傷心していた上に押しに弱い笹内薫は戸惑いつつも、自分にほとんど構ってくれないのに他の女子と一緒に仲良く帰ってる主人公を見た薫は自分よりギャルヒロインの方が大事なんだと落ち込んでいた事もあり受け入れてしまい、そこから快楽に染まっていく……


 ゲームではここから主人公が笹内薫を堕とす事は出来なくは無いが相当難しかったはずだ。

 このエロゲはルートが多すぎて竿役にヒロインを取られた後でも一応取り返すルートとかもあるのだ。まぁ、難しいけどね。

 笹内薫自身もまだ俺に完全に堕ちてる訳では無い。

 ただ嫌悪感は感じなくなっているだけでまだ主人公が好きな気持ちは変わっていない状況だ。

 もしこれから王豪海斗である俺が笹内薫を自分の女にしようとしなければ、主人公が笹内薫を堕とす事がある程度楽になるのかも知れない。

 しかしその場合は笹内薫は俺以外のモブ竿役にも抱かれる事になる。

 

 このエロゲはそういうゲームなのだ。

 さっきも言ったが笹内薫はこのゲーム屈指のチョロインなのだ。

 押しに弱く断れないそれが彼女だ。

 主人公であれ俺であれ心から堕とさない限りそれは変わらない。

 逆に心から堕とせさえすれば笹内薫は他の男子に自分を触らせもしなくなるって訳だ。


「どうする……」


 そう思ったら俺はどうするべきなのか……

 笹内薫は良くも悪くも真面目なのだ。

 そんな彼女は複数の人に抱かれていた事を後悔しているシーンがいくつもあった。

 笹内薫が本当の意味で笑顔で終わるエンドは主人公以外に抱かれていないエンドともう一つ。

 これは後書きと言うかエンドロールの後に知ったのだが笹内薫は王豪海斗にだけ抱かれて王豪海斗の女になった時も幸せだったとの事だった。

 

「もう俺が抱いちゃってるしな……」


 正直に言うと記憶でも笹内薫を抱いた記憶は残っている。

 最速NTRルートなんて入りしか覚えてないから難しいが笹内薫が本当の意味で幸せになる為には俺が堕とすしかない。


 まぁ、俺がヒロイン達が好きって事もあるんだけどね……

 それに俺が抱いた訳では無いが記憶にある分他の男にこれから抱かれると思ったら何故か俺が寝取られた気がしちゃいそうだしな……


 主人公には悪いが笹内薫には俺の事を好きになってもらおう……

 勿論俺がゲームで見ていて好きだった事もあるけど、笹内薫の本当の幸せの為にもな。

 てか薫を泣かせる主人公が悪いからな。

  • Xで共有
  • Facebookで共有
  • はてなブックマークでブックマーク

作者を応援しよう!

ハートをクリックで、簡単に応援の気持ちを伝えられます。(ログインが必要です)

応援したユーザー

応援すると応援コメントも書けます

新規登録で充実の読書を

マイページ
読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
フォローしたユーザーの活動を追える
通知
小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
閲覧履歴
以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
新規ユーザー登録無料

アカウントをお持ちの方はログイン

カクヨムで可能な読書体験をくわしく知る