第36話 すごくレアな鳥?
「遅かったではありませんか」
対峙している男がボクのうしろの誰かに話しかける。でもボクはそんな手に乗らない。スキルをたくさん〝奪われた〟──。相手に触れることでスキルを奪うことができるスキルを持っているようだ。
突然、ずんッと首の付け根に重い衝撃を受ける。床に沈んだボクはかろうじてカラダを捻り背後を確認する。
「キュ……ア?」
信じられなかった。でもそこにいた。
チャーノズド・
キュアはボクに手刀を浴びせ、意識を刈り取ろうとしたはず……でもかろうじてボクの意識は残ったまま。
「ではその者にトドメを……」
「その必要はない」
「しかし、その者は神プレイヤの使徒」
「ワシの命令が聞けぬと?」
「失礼しました」
すごく冷たい地の底に響き渡るような声。心臓を鷲掴みされているかのようにカラダが勝手に震えてしまいそうになる。キュアは神々がいう「ツンデレ」で本当は優しいのに……。それとも本当のキュアは
長剣の男は、ボクから視線を外し、代わりにペイジェルマン国王を見やる。
「ひィィッ」
「国王ッ! グフッ」
アーリさんも今まさに長剣の男に国王が討ち取られようとして意識がそちらに向いた瞬間、キュアが瞬間移動して、背後からアーリさんの意識を奪った。
アーリさんが気を失うと同時に長剣の男の手によって、国王が首と胴体に別れを告げた。
「ふふふッこれで我らの願いも成就に近づくというもの」
「行くぞ」
「「はっ」」
「……ま、待ってキュア」
キュアが黒衣の男たちに移動を命じると、三人とも床のなかにズブズブと沈んでいく。ボクはぐちゃぐちゃになった意識のなか、這いながらキュアの元へ近づこうとした。
「──ッ⁉」
声に出さなかったけど、たしかに口の動きで最後の言葉が聞こえた。
〝
(ふーん、それで自分の彼女に愛想を尽かされてフラれたと?)
<ムフフ99【司会者】>
:まあ女性なんて、星の数ほどいる……その世界、星ってあるよね?
<王!爺ザス>
:ハーレム作戦失敗w
<魔王ニート>
:わかる……ようやく親近感をキャラに覚えたよ
翌朝、神プレイヤに飽きられ、他の神々にいじられる。落ち込んいでるひとに向かって、そんなことを言うなんてヒドい。
(ってか、最後に〝私を助けて〟って言われたんだろ?)
「……はい」
<ムフフ99【司会者】>
:それって、つまり
(ああ、おまえはあのロリ娘に守られたんだよ。まったく情けねーな)
「え? どういうことですか?」
(~~~ッ、説明がめんどくさい……)
<ムフフ99【司会者】>
:代わって説明しよう。つまり神の使徒であるセル君が殺されないようにあえて女王として振る舞ったんだよ。おそらく立場を悪くすることを
<猿トピ佐スケ>
:以前、魔人と会った時は隠れたと聞いていたが、あの時とは状況が変わったとみるべきでござろうな。
闘技都市アレグリアであの紫髪の少年と会った時は、【
(私を助けて、か。ステが結局、見れなかったが、あのロリ娘、すごく強いはずなのになにかに縛られているってことなんだよな?)
<ムフフ99【司会者】>
:それより、セル君、〝
ボクの手にある七色に輝いているタマゴ。これはたしか一か月前に「メインクエスト」というものが、達成できたら、貰えると書いてあった【星々の卵】。12年前の赤い夜事件について、亡くなる直前にラウルさんが教えてくれたので、条件を満たしたんだと思う。
『ピキピキ』と殻がひび割れると、中から青い小鳥が生まれた。──なんかひな鳥にしてはずいぶんと太っている気がする。
『ピッ』
<病み営業オジサン>
:なにそれ、可愛いッ!
<ムフフ99【司会者】>
:魔性の生き物w
(なんだろな、そいつ? くそッ【
『ピィ~~~~』
<ムフフ99【司会者】>
:なにか吐こうとしてる?
『ピッ』
ホントに吐いた。薄ぺっらい紙のようなもの?
<猿トピ佐スケ>
:カードでござるな
<王!爺ザス>
:たしかにカードだ。既視感強いなw
─────────────────────
ポチョ
すごくレアな鳥
強さ:ひみつ
【カード測定】★★★★☆
対象をカード化して能力などをみることができる。
【捕獲】★★★★★
対象を弱らせて、カードの中に魔物を封じて操ることができる。
【スキルストック】★★★★★
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自分の能力を教えてくれた。なんかよくわかんないけど、すごく役に立ってくれそう。でも、どうしよう? ポチョなんてずっと連れて歩けるわけでもないし。
あ、なにこれ……。
コイン付きの耳飾り……描かれているのは青い小鳥、でも丸っこくてなんだか可愛い。
上が半月状の輪っかになっていて、耳の後ろから装着すると、どんなに走っても、飛び上がってもけっして落ちたりしないので安心。
最近、傭兵や冒険者の間で男性が耳飾りをするのが流行っているため、特に問題ないと思う。ポチョを身につけて、ボクは近衛の服装の上から黒いマントを羽織り、城庭へと向かった。
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