第20話 エイサ村の住人


<プリン隊>

:雑魚くさっ、こりゃ死ぬなw


 ボクのカラダがピタリと止まる。


(あ? 誰が死ぬって? 死なねーし)


<ムフフ99>

:初見のひとは黙ってみるべし

<ミント侍>

:ホントそう

<プリン隊>

:いや、死ぬだろ? なんだクソチャンネルw


(じゃあ見てろや!)


 ちょちょちょッ。神さま?


(【融合反応カクテルパーティー(SS)】を発動。【忍の一族(B)】と【残像(D)Lv1】、【無音歩行(B)】と【火炎(C)Lv3】をそれぞれ融合)


 残りの兵士2体を前に出して、時間を停めた直後の大トカゲの鯨波を防ぐ対策をしたあと、【融合反応】で上位のスキルへと転換する。


────────────────────

内功チャクラ初伝(A)】

 発動型:筋力強化。耐久力上昇、麻痺・毒物耐性

属性付与エンチャント:炎属性(A)】

 発動型:武器や防具への火炎属性を付与

────────────────────


(今のキャラの魔力量だと、10秒というところか……)


 そこからは、命がけの綱渡りを10往復くらいやらされた気分になった。

 少しでも、噛みつかれたら一瞬で群がられて即終了というボクからしたら絶望的な状況を神プレイヤは笑いながら、魔物も含むすべての動きが予定調和されていたかのような、決められた動きをして、大トカゲの魔物は動くものがほとんど残らず消えた。


(よし、8秒でいったんストップ)


<プリン隊>

:んな動き人間にできるかw チートツール使いだろ?

<ミント侍>

:まずはコケコ13でggってこい

<ムフフ99>

ぬし、権限もらえたら手伝うよ?


(悪ぃ、助かる)


────────────────────

 ムフフ99に〝司会者〟権限が付与されました。

────────────────────


<ムフフ99【司会者】>

:じゃあ、プリン隊くんをブロックしま~す

<プリン隊>

:はぁ? アホくさw ってか、なん……(プチッ)

<オカンしか勝たん>

:たぶん子どもだな……

<ムフフ99【司会者】>

:ふぅ~すがすがしい!

<ミント侍>

:w

<オカンしか勝たん>

:w


(魔力が少ないから、あとは【蝕魂】で削るべ)


 残り10体もいない大トカゲに魂を浸食するスキルを発動し、致命傷を与えないよう傷つけ、傷つけた大トカゲを操り、仲間割れを起こさせる。


 かなり高価な品だが、念のために買っておいた魔力回復薬を飲みながら、神プレイヤが忠告してきた。


(さっきの吊り橋は、あれは縄が切れたんじゃない。誰かが切りやがった・・・・・・んだ)


<ミント侍>

:誰に?

<オカンしか勝たん>

:予想はつく

<ムフフ99【司会者】>

:まあそうだよな


 え、ボクもわからない。いったい誰がなんの目的で、吊り橋を切ったの?


(あと、マイキャラ。Autoモードに戻すから、村まではかろうじて生きてます感でいろ)


「あ、はい」


 ボクは、神プレイヤの言いつけどおり、息を切らし、ぐったりとしながら谷底から這い上がる。するとロヴニとジュノがやってきて、ボクを心配そうに気遣ってくれた。


 それから、数時間かけてエイサ村へとたどり着いた。

 視線が気になる。森のなかにあるこの村は、旅人の姿がなく、村人たちは畑仕事や、豚、牛などの世話をしているひとなど色々いるが、ボクらが通ると、全員、手を休め、じっとこちらを見つめてくる。


「ロヴニ、ジュノや、旅人の道案内、ごくろうさま」


 中年の男性が、声をかけてきた。笑顔を向けているけど、なにか腑に落ちない……。


<オカンしか勝たん>

:このオッサン、目が笑ってねーーーッ


 そうだ。神の言う通り、目と口元に妙な違いがあるんだ。たしかに目がコワい。


「怪我をしてるようだね? 泊まっていくといい」


(ほらなw)


<ムフフ99【司会者】>

:まあそうなるわな


 勧められるまま、この村で休んでいくことになった。ただ気になるのは、ロヴニのようにどこか怯えた目をしている村人や暗い顔をしたひとが多くいたことだ。あとなんだろう? 他にも違和感がある気が……。




(ピリリリリッ)


 神の「アラーム」が鳴ったので目を覚ました。ここはジュノとロヴニ、そしてふたりの父親の家で部屋には誰もいない。窓の外からたくさんの松明の明かりが、向かいの建物に反射してみえる。


(あ~眠ッ。とっととイベントを終わらせようか?)


 めずらしく深夜なのに神プレイヤが起きていた。夜中になにか起きると確信していたようだ。


 寝台のそばに置いてあった巨大な剣、巨人殺しジャイアント・キラーはおろか盾や革鎧まで無くなっている!?


<眠れない板金屋>

:お、この前のチャンネルじゃん。なんか始まってる

<腰痛天使>

:ちぃーす


(じゃあキルしまくるか)


<眠れない板金屋>

:ダメだろw

<腰痛天使>

:異世界の住人軽視発言


(ウソだよ~ん。ちゃんとアレとの見分けつくから大丈夫)



 ──次話へ続く。




【第20話時点のステータス】

─────────────────────

 セル・E・モティック 男 14歳

 階級:工民

 筋力  1.533(0.415Up)+3.00(0.50Up)

 瞬発力 1.869(0.431Up)

 耐久力 1.009(0.128Up)

 魔力  1.554(0.433Up)

<固有スキル>

【指し手(U)】:発動型(効果:兵士4体の召喚※器の成長により変動あり)

 <スロットスキル>

【テラ・ストレージ(SSS)】:保有中永続(効果:スロットスキル+5)

【模写(SSS)】

 発動型(指定条件を満たすと相手のスキルをコピーできる)

【蝕魂(AA)】

 発動型(魂を浸食すると、簡単な命令を与えることができる)

融合反応カクテルパーティー(SS)】:発動型

 (AAAまでのスキル2つを融合させてワンランク上位のスキルを生み出す。ただしランク違いのスキルを融合させる場合は、上位な方がベースとなる。

内功チャクラ初伝(A)】

 発動型:筋力強化。耐久力上昇、麻痺・毒物耐性

属性付与エンチャント:炎(A)】

 発動型:武器や防具へ火炎属性を付与

「空き」

「空き」


<能力スキル>

【怪力(AA)Lv4】:永続型 (筋力に補正)

<武器・防具>

巨人殺しジャイアント・キラー】超大型の剣(筋力が3以上で使用可)

【名の無い小盾】小さな丸い盾

【ハーフスタデッドレザーアーマー】鋲で補強された革鎧


<従魔>

チャーノズド・Ⅰ・キュア 女 ?歳

 筋力  Unknown

 瞬発力 Unknown

 耐久力 Unknown

 魔力  Unknown

<固有スキル>

月炯眼ザ・ホルス(SSS)】:本人が使う場合は永続型。セルの左目に宿っている場合は発動型となる。発動中は、観察力の細緻化、視力の超強化、動体視力の高補正、幻影破り、能力の開示ができる。

<スロットスキル>

【Unknown】

【Unknown】

【Unknown】

<能力スキル>

【Unknown】


────────────────────



  • Xで共有
  • Facebookで共有
  • はてなブックマークでブックマーク

作者を応援しよう!

ハートをクリックで、簡単に応援の気持ちを伝えられます。(ログインが必要です)

応援したユーザー

応援すると応援コメントも書けます

新規登録で充実の読書を

マイページ
読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
フォローしたユーザーの活動を追える
通知
小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
閲覧履歴
以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
新規ユーザー登録無料

アカウントをお持ちの方はログイン

カクヨムで可能な読書体験をくわしく知る