谷先生のナゾナゾ
教室。
宙
「お~い!
聞こえてるか~?
な~真智~?」
真智
「…………」
宙
「ちっ、反応無しか。
しゃあない。この手でいくか!
真智~!
お前がこの前書いてた作文、
呆れる程下手くそで笑える作文あったよな?」
真智
「え!?
何で?
あたし保健室にいて発表してないから内容知らないはずだよね?
どうして宙が内容知ってるの?」
宙
「ああ、それな。
四葉だよ。
あいつ、真智がゴミ箱捨てた作文の紙の裏面をノート代わりに使ってるからな。
あたいみたいに宿題忘れた奴にたまにみせてくれるんだよ」
真智
「ちょっとちょっと!?
あの作文はマジでやばいって!
四葉ちゃん~!!」
宙
「まあまあ、待て真智。
今の話は半分は嘘だ。
真智が全然反応しないからからかってやったんだよ」
真智
「そんな風にからかうなんて宙、ひどいよ~!!」
宙
「ごめん、ごめん。
ところで、真智はさっきから考え込んでどうしたんだよ?」
真智
「その前に、半分は嘘って何なのさ~?」
宙
「四葉が金欠でノート代が無いって困ってたから
あたいがゴミ箱あさって裏紙をノート代わりにしたらいいって教えてあげたんだ。
ニパッ~! プップッ」
真智
「犯人はおたくか~い!
ムカ~!
そこ! キモい顔で笑いを我慢しない!
ニパッ~って可愛く無い、可愛く無い。
宙がそんな、てへぺろ みたいな顔しても気持ち悪いだけだから」
宙
「美少女のあたいにキモい顔は余計じゃ!
ところで、あたいは真智に何の話しをしにき
てたんやったかな?」
真智
「あたしに聞かれても知らないよ!」
宙
「あ!
思い出した!
なあ、真智はさっきからなに一人でずっと考え込んでたんだよ?」
真智
「あ~、それね。
あたし谷先生に自分がナゾナゾが得意って話をしたら、谷先生からナゾナゾを出されたんだ。
でも、その問題、何時間かかっても全然わからなくって……」
宙
「真智が解けないナゾナゾか。
その問題、あたいにも教えてや」
真智
「いいよ。え~と、
『自分が今いる教室の中で、
【2角形】を書きなさい』
だって。
宙、答えわかる?」
宙
「う~ん、こう書いてもだめ。
あたいも全然わからん。
ところでさ、
このナゾナゾ頑張って解いたら
何かあたい等にメリットってあるのか?」
真智
「それがね、
谷先生が言うには、あたし達三人の中で誰か一人でも正解できたら
今度、何でも好きなものご馳走してくれるんだって!」
宙
「今度って……、
寝坊で遅刻する担任で有名な谷先生の言うことだしそれ、素直に信じていいのか~?
でも、まあ、
あたいも一緒に考えてやるよ」
真智
「ありがとう!
宙~!」
???
「ちょっと、二人とも~!
今の話は本当なの~?「」
真智
「その声は四葉ちゃん!
いつからここにいたの?」
四葉
「つい今さっきだよ~。
二人が話してるところにたまたま通りかかったの~。
ところで何でも好きなもの食べられるって本当に~?」
真智
「本当らしいよ!
でも、このナゾナゾが解けたららしいの。
あたしも宙も答えが全然わからないんだ。
四葉ちゃんは答えわかる?」
四葉
「問題教えて~。
へ~、教室で2角形を書けばいいんだ~」
真智
「四葉ちゃん2角形書けそう?」
四葉
「う~ん、私も全然思いつかないな~。
でも二人とも集中したいからちょっと静かにしてて~!」
真智
「いいけど、四葉ちゃん目隠しして何を書こうとしてるの~」
宙
「真智、し~!」
真智
「宙、四葉ちゃんごめん……」
四葉
「『食べたい 食べたい 食べたい 食べたい 食べたい 食べたい 食べたい 食べる 食べる 食べる 食べる……』
オマンマ食いてぇ~よー!!
…………、よし!」
真智・宙
「…………?」
四葉
「二人とも、もう普通にしゃべっても大丈夫だよ~」
真智
「四葉ちゃん、さっきから紙にひたすら食べるって言葉書いてるだけだけど、
なにかわかった?」
四葉
「わかったよ~。
答えはね、例えばこれがいいかな~?」
真智
「それ、ピンポン球だよね?
それに書くの?」
四葉
「そうだよ~。
こうして~、こうして~、
これで出来上がり~!」
真智・宙
「それが2角形?」
四葉
「そうだよ~。
谷先生は何も 平面上に限る なんて条件は言って無かったよね~?」
真智
「確かに言って無かったね」
四葉
「だったら、このピンポン球じゃなくても
いいんだけど、球面の縦に二本直線を書くと、ほら、
二本の直線の上と下がそれぞれ交わるから
2角形になるでしょ~?」
真智
「本当だ?
でも、この問題の出し方って谷先生の屁理屈っぽくないかな~?」
???
「こら真智!
誰が屁理屈だってぇ~?」
真智
「谷先生!
いつからそこにいたんですか?」
谷先生
「うちはお前らに案外あっさり問題解けれて夕飯おごる羽目にならかいか心配やったからな。
さっきからずっと隠れて様子みてたんや」
真智
「なんだ~!
そうだったんですか」
谷先生
「さっきの問題の補足な。
うちらが日常生活で思い浮かべる形はついつい平面だって勝手に決めつけて考えがちなんや。
でも、考えてみ?
地球の形は世界地図のように平面じゃなくて丸いやろ?
ピンポン球とかボールとか人がわざわざ作った人工物じゃなくても、
現実にうちらが暮らしている地球の球面でさっきの問題を考えることも出来るんや。
まあ、今回は正解されたから完全にうちの負けや。
ホンマはごっつ不本意なんやけど、
今日だけ特別にお前ら三人ご飯連れてっちゃる!」
真智・四葉・宙
「やったー!!」
【翌日の学校 午前中】
「ねえ、……見た?」
「あ! みたみた!」
「こそこそ」
「ざわざわ」
教頭
「まったく。
今日は朝から生徒達がわしをじろじろ見て、
そわそわと落ち着きが無いの~」
谷先生
「う、
(なんや?
あの教頭の頭の※ドジった~空間は!?)
↑※ド・ジッター空間
正の曲率を持つ最も簡単な空間は『球面』である。そして、正の曲率に時間の要素を加えた最も簡単な時空は「ド・ジッター空間」と呼ばれる。
教頭
「恵美先生、
あなたまでわしをからかうおつもりですか!!
谷先生
「ぷっ、ふふふw」
教頭
「じろ〜、じろ〜、
じー、
クンクン、クンクン」
谷先生
「ほ、ほ、ほにゃ……?」
教頭
「恵美先生?
額に汗かいてますよ。
よそ向いてしらばっくれようとしても、
バレバレですぞ」
谷先生
「いいえ、え~と……」
教頭
「全く~、
今朝からあなた達は、
わしの顔に何か変なものがついてる
とでも言いたいんですか?」
谷先生
「い、いえ。
そっちじゃなくて、
その……」
教頭
「はぁ~?
あ……のあと、今何ておっしゃいました?「」
谷先生
「あ……」
教頭
「聴こえませんな~。
そんな小さな声じゃなくて
ちゃんと は!っ!き!り!
言ってもらわないとわかりませんよ!!」
谷先生
「 あた……」
教頭
「はい?」
谷先生
「オデコ……!」
教頭
「オデコ?
わしのオデコがどうしたって言うんですか?」
谷先生
「やっぱり、なんでも……」
教頭
「いいから言いなさい!」
谷先生
「オデコ、デコ」
教頭
「デコ?
わしのオデコそんなに変ですかな?」
谷先生
「デ、デ、デコ
新規登録で充実の読書を
- マイページ
- 読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
- 小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
- フォローしたユーザーの活動を追える
- 通知
- 小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
- 閲覧履歴
- 以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
アカウントをお持ちの方はログイン
ビューワー設定
文字サイズ
背景色
フォント
組み方向
機能をオンにすると、画面の下部をタップする度に自動的にスクロールして読み進められます。
応援すると応援コメントも書けます