ひとりっ子で、障害者で、両親が持病持ちの私が、考える悩み
星咲 紗和(ほしざき さわ)
第1話 孤独と不安のはじまり
「私がいなくなったら、あなたはどうするの?」
母が何気なく口にした言葉が、私の心にずっと突き刺さっている。ひとりっ子として生まれ、障害を抱えながら、両親の病気を目の当たりにする私にとって、それはまるで未来からの警告のように響いた。
母は糖尿病を患い、父は腎臓病で週に数回透析を受けている。日々、疲れた顔で何かに耐えている両親を見ていると、自分がまだ支えられる側でしかないことを痛感する。「何もできない自分」の存在が、両親の負担にさえ思えてしまう時がある。
家族の会話は、病気やお金の話ばかりだ。特に母は、医者から入院を勧められても「お金がかかるから」と首を横に振る。そんな母に、私は何も言えない。ただ黙って、申し訳なさと無力感に飲み込まれるだけだった。
両親が元気でいてくれる間は、まだ「今」が保たれている。でも、もし介護が必要になったら? 両親がいなくなった後、自分はどうやって生きていくのか?そんな未来の不安が、夜になると私を襲ってくる。
周囲には相談できる人がいないわけではない。でも、私はどうしても言葉にするのが苦手だ。心の内を伝えることが怖い。誰かに話したところで、どうしようもないのではないかと思ってしまう。それでまた、一人で考え込み、答えのないループの中に迷い込む。
友人と遊んでいる時、ふと「こんなことでいいのだろうか」と思うことがある。楽しいはずの時間にも罪悪感が顔を出す。そんな時、心に言い聞かせる。「少しの休息も、私には必要なんだ」と。
不安を完全に消すことはできないけれど、私は少しでもその重さを軽くしたいと思っている。このエッセイを書くのも、その一歩だ。誰かに私の言葉が届き、同じように悩む人とつながることができたら、きっと今よりも前に進める気がする。
私はまだ答えを見つけられていない。でも、この場所で自分と向き合い、小さな希望を探していきたいと思う。
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