【短編小説】みんなが笑顔になる存在

遠藤良二

【短編小説】みんなが笑顔になる存在

 僕に妹が出来た。僕は小学五年生で十一歳。僕の名前は坂井大平さかいたいへい、十一歳離れた妹の名前は坂井心さかいこころ。凄く可愛い。


 心は三千百二十グラムとママが言っていて、とても元気。でも、産まれつき右手の親指がない。とても可愛そう。おじいちゃんは奇形児が産まれた、と家族みんなの前で言った。すると、お父さんは怒った。「父さん! そういう言い方やめてくれ! 今時そんな言い方する奴いないぞ!?」 でも、おじいちゃんは、「実際そうだろ」「昔の人間はこれだから困る」「昔の人間!? わしはそんなんじゃないぞ! 現代の人間だ!」「なら、そういう差別的な言い方やめてくれ!」 お父さんが怒っている。怖い。 お母さんに笑顔はない。奇形児ってそんなにひどい言い方? ぼくはわからない。お父さんが怖いからお母さんにきいてみた。「ねえねえ、お母さん。きけいじってひどい言い方なの?」「あんたは黙ってなさい!」 お母さんにおこられた。なんでぼくが怒られるの? わからなくなっちゃった。


 おばあちゃんはこう言った。「昔の人はこんなもんだよ。これからはじいさんも気を付けるだろうし。だから大目に見てやってくれ」 お母さんもしゃべりはじめた。「おばあちゃんはいつもおじいちゃんに甘いんだから!」「しょうがないでしょう。昔からの口癖なんだから。今から直す努力はすると思っても限度があるんだよ」 おばあちゃんは気が強い感じがする。お母さんも負けてないと思うけれど。 そこにお父さんが割って入った。「まあ、母さんも環も揉めるなよ」たまきというのは、お母さんのこと。


来善らいぜんは若いと言っても一家の大黒柱なんだから強気でいないとだめよ」来善というのはお父さんのこと。これば、おばあちゃんが言った。


 そこで心が泣き出した。お母さんは、「あら、おっぱいかしら。それともおむつかな」 お母さんは心の股に手を当ててみた。濡れてはいないみたいね。じゃあ、おっぱいかな。そう言って右側のおっぱいを出して口元に近付けた。心は乳首をくわえてお乳を飲むと自然と泣き止んだ。やはりおっぱいだった。以前、おっぱいがいっぱいっていう歌があったみたい。お母さんが言ってた。


 ぼくは学校からプリントをもらった。内容は家庭訪問らしい。よくわからなかったのでお母さんに聞いてみた。すると、「先生がお家に来ておかあさんと大平についてお話するの」「え、ぼくについて?」 「そう。まじめに授業うけてるかなとか、友だちとはうまくいってるかな、とかね」 ぼくはいやな気分になった。お家に来てほしくない、そう思った。お母さんにそう伝えると、「それは仕方ないの。様子を見にくるだけだから。お母さんだって面倒くさいよ。はっきり言って」 お母さんもにたような気持ちなんだ。よかった、ぼくひとりじゃなくて。ひとりぼっちはいやだ。さみしいから。


 ぼくは心を抱っこした。とてもやわらかいしわらっていてかわいい。お母さんは言った。「心はあかちゃんだから、優しくしてあげてね」「はーい」  お母さんはお父さんに話しかけていた。「今日、午後から友田さんが遊びに来るから」「わかった」 ともださん? だれだろう。たまに来るお母さんのお友だちかな? お母さんに聞いてみるとやっぱりそうだった。ママ友って言ってた。それならあやちゃんもくるんじゃないかな。それも聞いてみた。「うん、あやちゃんも来ると思うよ」 あやちゃんはぼくとおなじクラスの女の子。かわいいんだ、あやちゃんは。ぼくのお気に入りの女子。このことはお母さんも知っている。


 おじいちゃんは七十四歳になり、おばあちゃんは七十三歳で二人とも相変わらず畑仕事に精を出している。元気でよかった。ぼくが小学生の頃、おじいちゃんには自転車で荷台に乗せてもらい、よく魚釣りに連れて行ってもらった。おばあちゃんはよくお小遣いをくれた。二人には可愛がってもらった。僕も働くようになったらお返しをしないと。心は今八歳。小学二年生。可愛い盛りだ。


 夜になり、お父さんが仕事を終え帰宅した。お父さんは、「ただいま、ふう。疲れた。来週の金曜日、仕事が終わったら会社の慰安旅行があるんだ。疲れてるから行きたくないんだけど、これも付き合いだから仕方がない」 とお母さんに言っていた。「そうなんだ、わかった。用意しなくちゃね。因みにどこに行くの?」「沖縄だ」「沖縄!? いいなぁ」 お母さんは羨ましがっている。「家族でも今度旅行に行こう?」 お母さんがお父さんに話した。「仕事が暇になったらな」 それはいつなんだろう? と思って聞いているとお母さんは、「それって冬じゃん! 寒いの嫌!」「でも、沖縄は暖かいぞ」 お母さんは苦笑いを浮かべながらこう言った。「それはそうだけど、行くまでが寒いじゃん!」「それは仕方ないよ。だって冬なんだから」 そう言うとおじいちゃんは笑い出した。「確かにそうだな」「それならわたし行かない。五人で行ってきて」 するとお父さんは、「おいおい、子どもみたいに駄々をこねるなよ」 と言った。「駄々をこねてないよ。行くよ、わたしも」「それならいいけど」


 お父さんは車を修理する工場で働いている。修理工場ってやつ。確か、資格も持っていて二級だったかな、忘れた。どれくらい給料もらっているのか知らないけれど。


 お母さんは、農家で働いている。トマトの収穫がメインってこの前教えてくれた。お米の収穫もあるらしいけど、それはそこの家族でやるから手伝わなくていいと言われているらしい。 冬場は仕事がないからその時期だけ親戚のコンビニで働いている。いっそのこと一年中コンビニで働けたらいいのに。以前、そう思ったから農家の主人に訳を話すと、「それは困る、いてほしい。慣れてる人がいいからさ」 と言われてまだ農家で働いている。まあ、農家の方が時給は高いからいいけれどと言っていた。


 今日は友だちの神垣浩紀かみがきひろきくんとゲームをして遊ぶんだ。僕のお母さんも、「神垣くん、来てもいいよ」 と言っていた。よかった。ダメって言われたらどうしようかと思ってたから。


 今日は天気がいいから自転車で来ると思う。神垣くんの親も自転車で行きなさいと言うと思う。決して厳しいわけじゃない、普通だと思う。


 今日は日曜日で午前十時頃来ると言っていた。今は起きたばかりで午前九時頃。お母さんに起こされた。「神垣くん来るんでしょ? そろそろ起きなさい」 ぼくは凄く眠い。でも、起きて支度しなきゃ。お風呂は昨日の夜入ったから大丈夫。お母さんに、「寝ぐせを直しなさい」 と言われた。洗面所に行って僕は鏡を見ると確かに寝ぐせがひどい。まるでドラゴンボールZのスーパーサイヤ人のようだ。金髪ではないけれど。


 約束の時間を少し過ぎたころ、神垣くんはやってきた。家のチャイムをならしてドアを開ける音が聴こえた。ぼくは走って玄関にむかいドアを開けた。 かれは笑顔で、「こんにちは!」 と言った。あいかわらず元気。ぼくは何でかわからないけれどたまに具合いが悪くなる。「こんちは! あがって!」 ぼくが招くと神垣くんはすぐ家の中に入った。かれはまえにも来たことがあるのでぼくのへやの場所は知っている。なので、ぼくよりさきにへやにはいった。「ちょっと神垣くん、ぼくよりさきに行かないでね。ここは僕の家だから」「いいじゃん、べつに」 ぼくのお母さんにへんな目で見られてほしくないからいってるのに。「じゃあ、ゲームやろうか。「わかった~」「きのう、お父さんに買ってもらったんだー。おもしろいよ。ぼくはまんがよんでるから神垣くんはゲームやってていいよ」「わかったよ~」


 僕はきのうおとうさんに、ゲームと一緒にまんがを三冊かってもらった。おとうさんはやさしい。もしかしたら、お母さんよりもやさしいかも。


 そこにお母さんがぼくのへやにはいってきた。おかしとジュースをもってきてくれた。「たべてね」 神垣くんは、「おばさん、ありがとう」 と、おれいを言っていた。神垣くんは、「坂井くんのお母さんやさしいよな。僕のママなんて友だちがきてもなにもくれないよ」「そうなんだ。言ってみたらは? おかしとジュースだしてって」 かれはあたまをふっていた。「そんなこといったら、おこられちゃうよ」「そうなの? へんなの」「やっぱ、へんだよね」


 その話しをしてから、神垣くんはげんきがなくなった。なんでかれのお母さんはせっかく友だちがきてくれてるのに、なにもだしてあげないんだろう? ふしぎ。


 おばあちゃんがぼくの部屋の前を通った。「あら、お友だち?」「うん」 おばあちゃんは笑顔で、「こんにちは」 と神垣くんに声をかけた。彼はゲームに夢中になっているからか返事をしない。ぼくははなしかけた。「神垣くん!」 すこしおおきめのこえでいった。「な、なに? びっくりした」「ぼくのおばあちゃんがあいさつしてるよ」「あ……こんにちは」 気まずそうにあいさつしていた。おばあちゃんは自分の部屋からせんべえを持ってきてくれた。「ありがとう、おばあちゃん!」 ぼくはそう言った。神垣くんは、「あ、ありがとうございます」 とお礼を言った。


「神垣くんていうの? ゆっくりしてってね」「はい」 ちなみにお父さんは仕事だから今は家にいない。


 かれがあそびにきてから二時間くらい経つ。ゲームはすすんだかな? と思いながらのぞいてみるとどうやら順調のようだ。ぼくはもうすぐ一冊よみおえる。おもしろい、野球のまんが。


 今度は、おじいちゃんが部屋に来てこう言った。「大平、今から釣りに行くけど一緒にいかないか? 勿論、友達も一緒に」「え! 釣り! 行きたい」 神垣くんはぼくよりさきに反応した。「君の名前は何ていうの?」 おじいちゃんが質問した。「僕は、神垣浩紀といいます」「浩紀くんは受け答えもしっかりしていて偉いな」「そうですか? ありがとうございます」「今は冬だから港でチカ釣りができるぞ」 ぼくは、「寒そう」と言い、 神垣くんは「たのしそう!」と言った。「大平は行きたくないのか?」「うん、あんまり。寒くなければいいんだけどね」「浩紀くんは行きたいか?」「はい、ぜひ!」「じゃあ、二人で行くか」 そこにお母さんが話しに入り込んできて、こう言った。「おじいちゃん。神垣くんは大平と遊ぶために来たんですよ。だから、誘わないで下さい」 おじいちゃんは苦笑いを浮かべながら、「怒られちまった。釣りは一人で行くよ。悪いな、行きたそうだったのに」 神垣くんはだまっていた。おじいちゃんは、その場から去った。僕はかれに、「残念だったね」「そうだね、行きたかった」「こんど、こっそりいくといいよ。おじいちゃんにはお母さんにバレないように言っといてあげるから」「うん、ありがとう。大平くんはいかないの?」「ぼくはさむいのがにがてだからいかない」「そっか、わかった」


 お母さんはぼくの部屋に来て、「アルバイトに行って来るからね」 と言った。「うん、わかった」 神垣くんはぼくにこう言った。「大平くんは、がんばってねとか言わないんだね」「あ、うん。そういえば、言わなかったね。言ったほうがいいかな?」「うん、いいとおもう」「そっか、じゃあこんどから言うようにするよ」


 今の時刻は午後三時すぎ。四時を回ったら暗くなってくるのでその前には帰ると神垣くんは言っていた。かれのお母さんにもそう言われているらしい。神垣くんはあいかわらずゲームに夢中。僕はまんが一冊よみ終えてしまった。なにもすることがなくなった。ちかくのだがしやさんに行きたい。いま、ぼくのさいふのなかには千円くらいはいっている。神垣くんはおかねをもってきているだろうか。きいてみるとすこしならもっていると言っている。だがしやさんにさそうと、行ってくれるという。ぼくはお母さんがいまいないから、おばあちゃんにでかけることをつたえた。おばあちゃんにも、おそくなるんじゃないよ、といわれた。ぼくは小銭入れをもって、神垣くんもおなじようにさいふのはいったバックをもって、そとにでた。ぼくは黒い自転車にまたがり、神垣くんは青い自転車にまたがった。ぼくたちはゆっくりとすすんだ。  すこしはしって、だがしやさんについた。おみせの前に自転車をとめ、だがしやさんのガラスドアをよこにひいてあけた。えがおをうかべたおばちゃんが店番のひと。前にもなんどもきている。「おばちゃん、こんにちは!」 ぼくは元気よくあいさつした。神垣くんも、「こんちは!」 とあいさつした。「新しいくじがあるよ」 店番のおばちゃんはいった。「え! ほんと? やりたいやりたい!」「一回二十円だよ」 ぼくはさいふの中から十円玉を二枚取り出した。そしておばちゃんにわたした。箱を持ったおばちゃんは、「ひもを引いてごらん?」 スルスルスルっとちいさな箱に入った飴をひきあてた。ぼくは、「やったー!」 とよろこんだ。「おばちゃん、たべていい?」「帰ってから食べな」「はーい」「僕もやる!」 神垣くんはやる気まんまんだ。「はい、おばちゃん、二十円」「あいよ」 神垣くんがひっぱると、ガサガサと音がした。なんだろう。おばちゃんが引っ張り出すと、ドラゴンボールというまんがの孫悟空だ。「あ! 悟空だ! やったー!!」


 五回くらいやっていると、べつの小学生がやってきた。おばちゃんは、「はいはい、順番だよ。二人はまたあとでね」 神垣くんは言った。「もう四時になるんじゃない?」 僕は気付いた。「あ! そうだ。わすれてた。かえろうか。おばちゃん、かえるね。ありがとう」 おばちゃんは、「あいよ、また来てね!」 言うと、「うん、またね」 外に出てぼくは、「神垣くん、またね」「うん、また」 お互い手を挙げて別れた。


 かえってみると妹の心が泣いていた。おっぱいがほしいのか、おむつをかえてほしいのかわからないけれど。お母さんはどこにいったのかな? まわりをみていないのでさけんでみた。「おかあさーん!」「はーい」「あ、いた。心が泣いてるよ」「今、行くから」 どうやらトイレにいるようだ。長いから大きい方かな。心から臭いがするからやっぱり大きいほうかな。泣き声はさらにおおきくなった。よほどきもちわるいんだろう。ぼくは心にはなしかけた。「心、ママ、もうすぐくるからすこしまっててね」 だが、なきやまない。バタバタという音とともにお母さんがようやくきた。「ごめんね、お腹痛くって」「大丈夫?」 ぼくは気になったのできいてみた。「うん、大丈夫よ」 お母さんは心配されたからか、うれしそうで微笑んでいた。


 お母さんは心に声をかけながらおむつを交換した。すると、泣き止んだ。さすがお母さん。母親だけのことはある。抱っこすると心は笑っている。可愛い。ぼくも思わずわらった。お母さんはぼくに話しかけた。「かわいいでしょ。あんたの妹よ」「うん、知ってる」 今は午後六時半頃。家のチャイムが鳴った。お父さんかな。お母さんが玄関に行って、「はーい、お父さん?」「ああ、そうだ」 お母さんは確認してからカギをあけた。 ドアが開いた。抱っこされている心を見て、「お! 心もお出迎えしてくれるのか。嬉しいじゃないか」 お父さんも笑顔だ。心がいるとみんなが笑顔になる。幸せってこういうこと? お母さんにきいてみると、「そうだね!」 と笑顔で答えてくれた。お母さんは、「おかえり」 そう言って迎えた。「ただいま」「ご飯まだなのよ。お腹痛くて」 お父さんの笑みは消えて、「お腹痛い? 大丈夫か?」「うん、大丈夫。続くようなら病院に行くから」「そうか、何でもなければいいけど」


「俺、風呂に入るわ」「あ、ごめん! お風呂もまだ沸かしてなかった」「何だ、そうなのか。お腹痛いせいか?」「そうかもしれない。でも、大丈夫。生理だから」「あ、それなら大丈夫だな。心配したぞ。風呂は俺が沸かすから、夕ご飯作ってくれ。作れそうか?」「うん、大丈夫。ごめんね」 お父さんは首を左右に振って、「いやあ、お腹が痛いなら仕方ないさ」 お父さんはあいかわらずやさしい。おかあさんはお礼を言った。「ありがと」 お母さんは料理をし始めた。


 お父さんはスーツからスウェットに着替え、浴槽を洗い始め、お湯を入れた。「ふーっ、疲れたな」 お父さんは滅多に疲れたとは言わない強い男。ぼくは弱いからすぐに疲れたと弱音を吐いてしまう。でも、今日は珍しく、疲れた、と言った。なにかあったのかな。ぼくは言ってみた。「お父さん、いつも疲れたって言わないのに珍しく言ったね」「ああ、今日は言ってしまったな。大丈夫だ、何もないから心配するな」「はーい」 僕は素直に答えた。お父さんは、ああは言ってるけれど、きっとなにかあったに違いない。言わないだけだとおもう。でも、一回言ったからもう言わない、あんまりしつこく言うと怒られてしまう。お父さんは普段はやさしいけれど、怒ったら怖い。まえにおばあちゃんが言っていた。おとなしい人ほど、怒ったら怖いと。どうして怖いのかな。疑問に思う。


 お風呂はお父さんの次に心とお母さんが入った。その次にぼくで、おじいちゃん、おばあちゃんの順で終わった。心を寝かしつけるため、お母さんと一緒に寝た。いいな、ぼくもお母さんと一緒に眠りたいな。この前、そう言ってみると、大平はお兄ちゃんなんだから我慢しなさい。そう言われてショックを受けた。ぼくは泣きだしてしまった。「どうして泣くの!?」「お母さん、厳しいよ……」「普通でしょ、これくらい」 ぼくは腹が立った。「わかったよ! もういい! お母さんとなんか寝たくない!」 お母さんは溜息をついた。「そんなに怒らないの!」「怒るよ! そんなにキツイ言い方されたら、誰だって!」 僕は久しぶりにキレた。「はいはい、ごめんね。そんなに怒らないで」 ぼくは黙り込んだ。「全く、困った子ね」「好き放題いえばいいさ」 お母さんはまた溜息をついた。そして、心を抱いて寝室へと向かった。お母さんはこちらに向いて、おやすみ、と言った。ぼくは無視をした。ぼくは自分の部屋に行き、布団の中に入った。寒い。今は冬だから。


 翌日。ぼくの機嫌は治っていた。家族で行きたいところがある。それはスキー場。でも、心がまだ小さいからむりかな。でも一応、夜にお父さんとお母さんにきいてみよう。


 夜になり、お父さんは仕事から帰って来た。時刻は午後六時半頃。お母さんの料理は作り終えた様子。お父さんはお風呂から上がって来た。そして、ビールを呑むのがいつものお父さん。お母さんは、カレーライスを運んで来た。食事はみんなで食べるのが家の決まり。キッチンでお父さん以外は食べた。美味しかった。お父さんは、まだビールを呑んでいる。隣にお母さんがいて、喋っている。こうやってぼくたち家族は毎日を過ごしている。きっと、幸せなんだろう。


                               了

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【短編小説】みんなが笑顔になる存在 遠藤良二 @endoryoji

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