まほろばホテルには神々が住まふ #アドベントカレンダー2024
かこ
1201 まほろばホテル
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あんまりな
鈍色の屋根に白い石造りを基本とした洋風な佇まいを目にした
天井の高そうな館の二階の窓に映る木々はどれも暗い。三階の窓は高さがないが、どんな部屋があるのだろうか。見慣れない造りにも不安を覚え、玄関に視線を戻した。
両開きの扉の上には金物の飾りがつけられていたが、柚葉にはさっぱりわからなかった。中心には二羽の鳥が対となるように翼を広げ、嘴は天を指す。
場違いな所に来てしまったと握る手にじっとりと汗を感じた。
にぶく光る取っ手を恐る恐る回し、中を覗けば薄暗い。忙しくない昼過ぎを狙ったとはいえ、人影がないことに柚葉は首を傾げた。部屋の片付けや支度はもう済んでしまったのだろうか。気配さえ感じないので客が入っていないのではと心配してしまう。
「ごめんください」
声をかけても返事はなかった。
足を踏み入れれば、埃っぽさがないことに安堵する。飴色の柱も磨きあげられ、窓から下がる布も日に焼けていない。
備え付けの長机の奥で物音が聞こえたような気がした。
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