第15話 仲良しなヒロインたち

 エリーゼが押しかけて来た。


「なんで、アイツがここに来るんだよ! クリキチィ、お前知ってたな!」


 夜まで粘って何かを待ってると思ったら。

 コイツ、さては俺が外出しないように見張る目的だったな。


「ふっふっふ。もちろんっす。アタシはエリーゼの友達にして桜雅さんの嫁’sっすからね!」


 コイツ、どうしてくれよう。


「はぁ。つーか。俺が許可しないとマンションの中には入れないの知ってるだろ。お姫様だろうとお呼びじゃなきゃ帰らせる。そして、お前との仲もここまでだな。二度と入れないからそのつもりでいろ」


 ここは入り口前で住人が許可しないと、マンション自体に入れない仕様だ。

 んでクリキチを普通に招き入れたらこの状況である。

 もはや彼女は、俺のハーレムルートを邪魔する敵として扱う。


「ちっちっち。甘いっすね桜雅さん。その辺は抜かりなく対策済みっす」


「は?」


 何を言ってるんだコイツ。

 クリキチは立ち上がると玄関に向かう。

 そして玄関のドアを開けた。


「やっほー。春香。お待たせ」


「いや、大丈夫っすよ。エリーゼ。晩御飯何にしようか考えてたところっす」


 エリーゼが普通に乗り込んできてらっしゃる。


「ちょっと待てぃ!」


 見えないボタンを押すしぐさをしながら駆け寄る。


「なに? ダーリン」


「なんで普通に入って来てるんだ!? お前、マンションの入り口どうやって開けた?」


 モーレツに嫌な予感がする。

 いや、そんなはずはない。

 たぶん、きっと、おそらく!


「え、そりゃあ私とライラが今日から隣の部屋借りたもの」


 やっぱりいいいいいいいい!


 お隣さんが急遽引っ越して、おかしいと思ったんだよ。

 つーか立ち退きさせたのか、このお姫様。


「おま、お隣さんに何した!」


「何って、今よりいい部屋を買ってあげたの。ここに引っ越してって。快く引っ越してくれたわよ」


 ひ、酷い。

 やっぱ無理やり引っ越しさせたのか。


 ライラが思い返すように言う。


「交渉が長引くかと思いましたが、二つ返事でしたね」


「ええ、そうねライラ。職場近くなったし、彼女と暮らせるから嬉しいって言ってたわね」


 なんてこった。

 双方Win-Winだったとは。


「という事で、コレ引っ越しソバね。日本の伝統なのよね?」


「あ、そうっす。じゃあ今日はコレで、天ぷらでも買ってきて天ぷらソバにしましょう」


「あら、いいアイデアね。丁度、四人前だし」


「スーパーなら、さっき通って来た道にありましたよ。エリーゼ様」


 などと三人で勝手に話が進む。


「だから、ちょっと待てぃ!」


 俺は再び割って入る。


「なによ。おソバ、ダメだった?」


「あ、桜雅さんアレルギーっすか? なら、うどんでも」


「ちげーよ! なんでお前ら俺の部屋で食べる前提なんだよ」


 俺はツッコむ。


「だって、まだ部屋の準備出来てないもの。今日はダーリンのところに泊まるわよ」


「私はそれに誘われたっす。嫁二号として一緒にいたいっす」


 この二人はホント、遠慮というものを知らんのか。


「だったらホテルにでも行け!」


「え♥ そんなダーリン、ホテルだなんて。良いわよ。夜の決闘ね!」


「ラブホじゃねーよ! おい、ライラさん! こいつ等何とかしてくれ。君は俺の味方だよな」


 埒が明かないので、ライラに一縷の望みをかけた。


「エリーゼ様の命令は絶対。だから仕方ない。業腹だが、飯くらいは許そう。だが、夜の決闘だけはダメだ! そうなったら、私の愛剣でお前の粗末なモノを切り落とす!」


「怖い事言いうなよ。誰が手を出すかよ」


 ライラはダメか。

 なら、俺が出て行くか。


 いや、地の果てまで追ってきそうだな。

 おのれ、ゲーム中で大和が経験した思いは、こんな感じだったんだろうな。


 仕方ない。まだ話は始まったばかりだ。

 俺が人類の敵に寝返れば、諦めるだろう。

 それに賭けるしかない。


「今日一日だけだぞ。明日はクリキチの家にでも行け」


 俺はそう言うとキッチンに向かう。


「あれ? ダーリンなにするの?」


「客人に料理させる気はねぇ。ソバのつゆは俺が作るから、天ぷら買ってこい」


 桜雅さんが料理で来たかは不明だが、只野安尋は出来る。

 なので俺は普段、自炊している。


 ソバつゆも作れる。

 関西風だけどな。


「はーい。じゃあ、行きましょう。春香、ライラ」


「わかったっす。海老天買うっす。海老天」


「かき揚げも美味しそうですよね」


 三人娘は意気揚々と出かけて行った。

 やれやれ。マジでどーしよう。

 大和の事を何とかしないとダメだが、こっちも対処しないとダメそうだ。


 この状況から、大和にフラグを引き継がせる方法はないだろうか。

 俺はため息を吐きながら、調理を開始するのだった。


-----------------------------------------

【おまけ情報】

只野安尋さんの出身地は関西。

だからお好み焼きとたこ焼きも作れる。


読んでいただき、ありがとうございます。

よろしければ応援、★評価、感想などいただけましたら幸いです。

  • Xで共有
  • Facebookで共有
  • はてなブックマークでブックマーク

作者を応援しよう!

ハートをクリックで、簡単に応援の気持ちを伝えられます。(ログインが必要です)

応援したユーザー

応援すると応援コメントも書けます

新規登録で充実の読書を

マイページ
読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
フォローしたユーザーの活動を追える
通知
小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
閲覧履歴
以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
新規ユーザー登録無料

アカウントをお持ちの方はログイン

カクヨムで可能な読書体験をくわしく知る