第7話
実のところ言うと、このギャリカという単位は「星羽」というかオルタデルタカンパニーが主に利用しているものではない。
オルタデルタカンパニー及びその管理下にある星の人々が利用している単位は「アンダ」であり、そしてこのギャリカというのはアンダの100分の1程度の価値しかないのだ。
ギャリカを用いている星というのは大体が発展途上でかつ価値あるものが現状発見されていない星であり、かつオルタデルタカンパニーが支配下に置いている場所に限られている。
大体がオルタデルタカンパニー主導でバラまいて、そしてそれが主要貨幣になるところまでばら撒き続ける。
それこそ、その星にあった本来の経済がまともに回らなくなるのも承知で、ただひたすら。
だからこそ、うんまあ、私がやった事というのは割とオルタデルタカンパニーが頻繁にやっている事なのである。
遺憾の意を表明されようとも無視してギャリカを流通させ、そして国民の間に浸透させた。
そして現在、いわゆる一次産業がピンチになっている段階になっているので、ここから更にそれらもギャリカで購入し経済が回るようにしていく。
……現状、ギャリカを用いる事により【アロマシンク】内での購入で食べ物を手にする事が出来るが、勿論これに対して国民達はその信頼性について見て見ぬふりをしている状態だ。
美味しいし健康にも良い、だけど宇宙人が提供しているものだし大丈夫なの、みたいな。
そうである以上、地球産のものを買えるというのならばそちらを選ぶ者は多いと思う。
段階を踏み、ゆっくりと沁み込ませていく。
オルタデルタカンパニーが普段取っているような強行的な手段が使えない以上、もっとゆっくり穏便な手段で。
勿論今、私がやっている事だってかなり強引だと思うけど、お偉い方がやって来たら私に対して「愚鈍」だの「無駄が多過ぎる」だの苦言を呈する事だろう。
まあ、今のところ私のポケットマネーで賄っているし、だから偉い人達も顔を突っ込んでは来ないだろうけど。
この地球は私のモノという建前で事を進めていくが、果たしてどこまで上手くいく事やら。
「おいーっす、アロマ先輩!」
と、そこで外部から連絡が入る。
「ルイク、どうしたの?」
後輩の連絡に私は慎重に警戒しつつ尋ねる。
「いやー、例の「ゲーム」についてっすけど、結論から言うとすげー数値が部分的に出てるっすね!」
例の「ゲーム」というのは【アロマシンク】内でギャリカを稼げるあれである。
これには実は秘密があり、実はこの「ゲーム」はとあるシステムと連動しているのである。
……発展途上の星に住む者達でも扱えるように調整されたいろいろなシステムの制御装置。
例えばナノカーボン粒子の組み立てとか超長距離有線ケーブルの設置をするための無人機とか。
それらを「ゲーム」を通じて操らせている。
「機械に任せるのが一番だけど人件費の方が安いから人間に任せていたって事なんすけど。今回の地球人は凄いっすよ。中には機械より効率的に制御している人もいるみたいっす」
「へえ?」
「80年ちょっとしか生きていけない上に全盛期はその半分以下な時点でやはり生き急いでいるんすかね? 私にはあまり想像の出来ない世界っす」
「それはそうかも、だけどね」
「だからこそ残念なんすよねー、
「それに関しては何度も言ったでしょう? 却下」
「なんでそこは頑ななんすかねー。別にどこでもやっている事でしょ?」
それは、そうだけど。
だけどそれをやるのはなんだか違う気がしたから、今のところその申し出は通していない。
「……最悪「ゲーム」のレパートリーを増やすとしても、まずは「
「ういー、了解っす。ではまた~」
通話が切れ、私はふーと溜息を吐く。
目の前に積まれたタスク。
どうやら、眠れない日はまだ続きそうだ。
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