綾乃と亮介 5 R&R
宿羽屋 仁 (すくわや じん)
第一章
第1話 自宅へご招待
(こんにちは。電車は13:50着の予定です。
どこで待ち合わせすればいいですか?)
(うん。改札まであたし迎えに行くから
電車の最後尾近くの階段上がってくれるかな?
こっちはさっきまで土砂降りだったけど、
今は少しずつ晴れ間が見えてきたよ)
筑波山での出会いから一週間後の土曜日。綾乃は大学生の涼介からのメール返信をすると、玄関に歩きながら夫の亮介に言う。
「彼、予定通りに来れるみたい。あたし買い物に行ってそのまま迎えに行ってくるね」
「うん、よろしく。なんか嬉しそうだね」
「ふふ。亮介だってそうよ」
今日は、涼介を自宅に招くことになったのだが、最初に言い出したのは亮介だった。もちろん綾乃は喜んだがそれ以上に夫の方が熱望している。
◆
数日前――。
「何だか今回は綾乃の様子がおかしいというか、入れ込み方がすごいよね。何がそんなに他の男性達とは違うの?」
「名前が一緒だからかな」
「嘘ばっかり、それだけなわけないじゃん!」
「えへへ。冗談だよ。うーん、いろいろあるんだよね。見た目も好みだし、体力もすごいし背も高いし、性格も良さそうだし。上手なのもあるよ。ほんといろいろ」
「でも、これまでT君とかS君とか、あ、D君もそうだけど綾乃好みの男性もそんな感じじゃない?」
「JさんとE君もいるよ」
「たくさんだね。ま、それはいいとして彼らと何が違うんだろう?」
「なんかね、やっぱりあたしのことをちゃんと見てくれているというか、そういうのかな」
「え? 恋愛感情?」
「どうだろう。本人じゃないとわからないんじゃないかな。とにかく、あたしに向けてくる気持ちみたいなものがあるかないかってことかも」
「よし決めた、彼をうちに呼ぼう。直接会っていろいろ聞きたいしたくさん時間欲しいし」
「いきなりおうち呼んじゃっていいの?」
「うん。話聞いてると危険な人ではなさそうだし、綾乃がこんなに心を許してるし」
「ところで何が時間かかるの?」
「そりゃご飯食べたりとかいろいろ……」
「うふふ。そういうことね。じゃ、泊まってもらおうか?」
「うん。帰りは車で送ってあげてもいいしね」
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