美少女転生したけど恋愛フラグは回避します!
星乃ハル
プロローグ
休日の昼間、賑わいで溢れていた街は、突然、物々しい音に響き渡った。数分前まで、私はあたりの風景に溶け込むように過ごしていたのに、その瞬間全てが変わった。
「キキーーッッ……ッドン!!」
鈍い音の余韻がまだ耳に残っている。その瞬間、視界がぼやけて体が重く感じる。足元がふらついて前後の感覚も失い、時間がゆっくりと過ぎ去っていく中
——私、死ぬの?こんな一瞬で…?
遠くの方から聞こえるようだった。現実から離れていく感覚の中で、感じたのは、無力感と恐怖。意識が遠のく寸前、救命士の声が突然耳に響いた。
「もう少しで病院だから、耐えて!」
その声は、まるで自分とは無関係な誰かのように感じられた。体が反応して、ほんの少しだけ息を吸い込むことはできた。それも束の間、これ以降全く息ができない。
「大丈夫ですか!」
救命士が声をかけるたびに私を現実に引き戻す。ただ無言で身を任せるしかなかった。確実に目の前の世界が閉ざされていくようで、時間が私から離れていくように感じられた。
——17年あっという間だったな……お母さんにももう会えない。それにもう少しは友達と高校生活を楽しみたかった……ディズニーや旅行やおしゃれなカフェに行ってインスタに載せて……
走馬灯のように思いを巡らせている間どのくらい時間が経ったのだろうか。微かな音が遠くから耳に伝わる。最初はただ触れる程度だったが、次第に苛立たしく規則的に鳴り響く。音の輪郭がはっきりしていく。
——あれ…………………私は今死んだよね?
カチリ。という音が聞こえるとあたりに再び静けさが戻った。部屋の中はいつもと変わらないはずなのに何かがほんの少し違っている気がした。
新規登録で充実の読書を
- マイページ
- 読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
- 小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
- フォローしたユーザーの活動を追える
- 通知
- 小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
- 閲覧履歴
- 以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
アカウントをお持ちの方はログイン
ビューワー設定
文字サイズ
背景色
フォント
組み方向
機能をオンにすると、画面の下部をタップする度に自動的にスクロールして読み進められます。
応援すると応援コメントも書けます