ep.7-1 ピクニック!!

「うーん!かぜがきもちいいよ!!」



すずねは芝生の上を小走りで走る。

見渡す限り青々とした芝生が風でなびいている。

ただ、ぽつぽつと大きな木がそびえ立っていて、その下には大きな影が出来ていた。

その影のところにはベンチがいくつか置かれていた。



すずねは気持ちがいいのか、二本のしっぽがいつもより左右にゆらゆらしている。

そして後ろからバスケットを持った大将が続いて歩いてくる。



「確かに気持ちいいね!天気もいいし、最高のピクニック日和だね」

「うん!!!」



笑顔で返事をしてくれるのを見た大将の顔も少しにやける。



「おーい!!こっちこっち!!!」

「ちょっと、はずかしいじゃないの」

「えっ?別にいいだろ?」



遠くの方でアイルが両手をあげてぶんぶんと振っている。

その横でアイルの行為を止めようと、ルヴィアが怒っている。

声が聞こえたのか、すずねと大将はアイルたちの方を見た。



「あっ!あいる!!!」



その方向に向かって、すずねが走る。

その姿を見て少し苦笑しながら、大将も入って追いかけていった。



「ぜえぜえ……」

「もう。たいしょうはたいりょくないね」

「ぜえ……料理人だからな」



大将が息をあげながら二人の元に到着すると、

息一つ乱れていないすずねから声がかけられる。

乱れた息を整えつつ、アイルとルヴィアに頭を下げる。



「アイル、ルヴィアさん。今日は素敵な場所を教えてくれてありがとう」

「この国の一番大きい公園なだけだぞ。まぁ、見た通り周りに何もない所だけど……

すずねちゃんが喜んでくれるなら教えてよかったよ。なぁ魔王」

「そうね。まぁ、私たちだって大将のご飯にありつけるんだから、

 お互い様ってことで。さて……ご飯にしましょ!」

「わーい!ごはん!!」



三人ともニコニコしながら、大将の方を見る。



「そうだな。ご飯にするか!」



大将は大きめのシートを広げて、バスケットをそこに置いた。

バスケットを開けると、そこにはたくさんのサンドイッチが入っていた。

パンにはさまれた色鮮やかな姿に3人は自然と声が漏れていた。



「おいしそう!」

「うまそうだな!!」

「早く食べたいわね!」

「本当に久々のピクニックだから、楽しみではりきっちゃって……

 これはたまご、ポテトサラダ、トマト、カツ……

 まぁ、余るぐらい作ったから遠慮なく食べてくれ」



バケットからサンドイッチを取り出しながら説明しつつ、

大将は平べったいお皿の上に置いていく。

その説明を聞き漏らさないよう聞いていた他3人もシートの上に座る。



「これが、ピクニックでしか食べれないという伝説の食べ物、サンドイッチか……」

「ゆうしゃ、さんどいっちってでんせつなの?」

「あぁ。俺もまだ食べたことが無いんだ」

「そんなたいせつなもの、わたしがたべていいの?」

「あぁ、もちろんだ。ただ、味わって食べるように!」

「うん!!」



アイルとすずねは目をキラキラさせながらサンドイッチを見る。

ルヴィアは会話には参加しないものの、早く食べたいのか少しそわそわしているように見える。



「はい、準備できたから食べようか」

「「「いただきます!!!」」」

「どうぞ、召し上がれ」



3人は手を合わせて声をそろえた。

そして両手でサンドイッチをつかみ食べ始めた。



もぐもぐ……

みんな好き勝手に食べ始めた。

  • Xで共有
  • Facebookで共有
  • はてなブックマークでブックマーク

作者を応援しよう!

ハートをクリックで、簡単に応援の気持ちを伝えられます。(ログインが必要です)

応援したユーザー

応援すると応援コメントも書けます

新規登録で充実の読書を

マイページ
読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
フォローしたユーザーの活動を追える
通知
小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
閲覧履歴
以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
新規ユーザー登録無料

アカウントをお持ちの方はログイン

カクヨムで可能な読書体験をくわしく知る