第4話

進水式の後、翔太は艦内に戻り、艦の指揮官である山田艦長と面会することになった。艦長は、若くして指揮官に就任したが、その冷静な判断力と優れた指導力で部下からの信頼は厚かった。


「佐々木中尉、進水式の感想はどうだ?」艦長は軽やかな口調で尋ねた。


「艦長、やはりあの旗が掲げられたことについて、少し心配です。国際的な反発がある中で、我々の任務にどう影響するのか…」


山田艦長は少し黙り込み、考え込むように視線を落とした。やがて、彼はゆっくりと口を開いた。


「旗の意味は、我々がどう解釈し、どう行動するかで決まる。過去の象徴を持ち出すことは容易いが、それに縛られることはない。重要なのは、我々が何を目指すかだ。」


翔太は艦長の言葉に感銘を受けたが、それでも心の奥底には不安が残っていた。「しかし、国際社会の目は厳しい。特に周辺国がどう反応するか…」


「我々は防衛のために存在する。日本の平和を守るために、他国との協調も大切だ。だが、時には強い姿勢を示すことも必要だ。新大和はその象徴だ。」


翔太は艦長の言葉を反芻しながら、心の中で葛藤を続けた。彼の父が生涯をかけて守りぬいた「平和」の理念と、今国が進もうとしている方向性が交錯しているように感じられた。


その夜、翔太は艦内の自室で静かに考え込んだ。彼の心には、父の教えや自らの信念が渦巻いていた。過去の歴史を踏まえつつ、どう未来を築くか、その答えを見つけなければならないと感じていた。

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