第32話 広がる未来のハーレム

拠点の活動が地域全体に広がり始めてから数週間が経った。学校や地域団体との連携が進む中、「未来のハーレム—つながりの広場」は地域のつながりの核となる存在へと成長していた。しかし、その広がりとともに、新たな課題も見え始めていた。


挑戦の兆し


ある日のミーティングで、拓哉がこれまでの活動を振り返りながら課題を指摘した。


「最近、活動がどんどん広がってきてるけど、その分、負担も増えてきてるよね。メンバーの中には、学業や仕事との両立が難しくなってきてる人もいる」


「そうだね。活動が広がるのは嬉しいけど、このペースで続けるのは現実的に厳しい部分もあるかもしれない」

美奈も同意する。


「それでも、ここで止まるわけにはいかない。だからこそ、もっと持続可能な形を考えるべきだと思う」

ラミーが前向きな提案を口にした。


沙也加はメンバーたちの意見を聞きながら、ふと拠点が完成したときのことを思い出していた。

「この場所がつながりの核になるためには、私たちだけで抱え込まずに、もっと多くの人と役割を分担できる仕組みを作らなきゃね」


新たな仕組みの提案


次のミーティングでは、拠点運営を地域全体で支える新たな仕組みを作る提案がなされた。


「例えば、『未来のハーレムサポーターズ』みたいな形で、地域住民や団体がそれぞれ小さな役割を担える仕組みを作れないかな?」

拓哉がアイデアを出す。


「それいいね!たとえば、商店街の店舗が週ごとにコーヒーを提供したり、地域のアーティストが月に一度イベントを開催したりする形にすると、私たちの負担も減るし、より多くの人が関われる」

美奈が目を輝かせる。


「それに、もっと多様な意見が入ることで、活動自体も進化していくと思う」

ラミーも同意した。


沙也加は、メンバーたちの意見をまとめながらこう言った。

「未来のハーレムは、私たちだけのものじゃない。だからこそ、地域全体で作り上げていくための一歩を踏み出そう」


第一回サポーターズミーティング


その後、地域住民や商店街の代表、これまでのイベント参加者を招いて「未来のハーレムサポーターズミーティング」が開かれた。


藤田会長が冒頭で語る。

「この場所がこんなに広がりを見せているのは、みんなのおかげだと思う。これからも続けていくために、みんなでこの拠点を支えていける仕組みを作りたい」


一人の住民が手を挙げて発言する。

「私たちの店で提供できるものがあれば、喜んで協力しますよ。お客さんもきっと喜ぶと思います」


別の参加者は、子ども向けの活動に関心を示した。

「子どもたちがもっと参加できるイベントがあれば手伝いたいです。例えば、学校での活動と連携する形にするといいかもしれませんね」


新たな役割分担


ミーティングを経て、以下のような新たな役割分担が決まった。

1. 商店街の協力

• 商店街の店舗が月ごとにイベントの一部を担当する。

2. 地域アーティストの参加

• アートや音楽のイベントを企画し、拠点を活用する。

3. 住民サポーターズ

• 定期的に開催されるワークショップの進行補助や、清掃・運営の手伝いを担当。

4. 学校との連携

• 学校と連携し、子ども向けのワークショップをさらに充実させる。


新たな挑戦のスタート


新しい仕組みが動き出した最初の週、商店街のパン屋がカフェスペースで「多文化パン試食会」を開催した。パン屋の主人は、世界各国のパンを用意し、その背景や作り方を来訪者に語った。


「これはフランスのバゲット、こっちはトルコのシミットです。どちらも文化が感じられる美味しいパンですよ」


来訪者たちはパンを味わいながら、自然と会話を楽しんでいた。


「このパン、初めて食べたけどすごく美味しい!こんな形のイベント、もっとやってほしいです」

「食べ物を通じて文化を知るのって楽しいですね!」


その光景を見て、沙也加は新しい仕組みが動き出した手応えを感じていた。


手帳に記した言葉


その夜、沙也加は手帳にこう書き記した。


「未来のハーレムは、私たちだけのものではない。多くの人が関わり、支え合うことで、この場所はもっと大きなつながりを生む。新しい光を育てていこう」


地域全体で作り上げる未来のハーレム計画。その物語は、さらに多様なつながりとともに広がり続けていく──。

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