誰も教えてくれない本当のハーレムとは

第27話 未来を語るサミット

「多文化交流月間」もいよいよ最終週を迎えた。この週のテーマは**「未来を語るサミット」**。地域住民や商店街の人々、イベントの参加者が一堂に会し、多様性や共生について意見を交換し合う場が設けられることになっていた。

このイベントの締めくくりとして、沙也加たちは「未来のハーレム計画」の成果と課題を共有し、次なるステップを探るきっかけにしたいと考えていた。

準備の夜

イベント前夜、カフェではメンバーたちが遅くまで準備を進めていた。

「サミットの進行スケジュールはこれでいいと思う。最初は、これまでの活動を振り返るプレゼンテーション、その後に自由な意見交換の時間を設ける形で進めよう」

拓哉が資料を確認しながら言った。

「参加者同士が積極的に話せるように、小グループを作ってテーマを分けるのもいいかもね」

美奈が提案する。

「それなら、『多文化の魅力』『共生の課題』『未来のつながり』って3つのテーマでグループを作ろう。参加者が自分の興味に合わせて選べるようにすれば、もっと意見が活発になると思う」

ラミーが続けた。

沙也加は全員の意見を取り入れながら、サミットの最終プランをまとめた。

「明日は、多文化交流月間の集大成として、このサミットを成功させよう。私たちの未来のハーレムを、みんなで一緒に描く時間にしたいね」

サミットの開幕

当日、カフェには多くの参加者が集まり、商店街の広場も活気に満ちていた。参加者の中には、これまでのイベントに何度も足を運んでくれた常連客もいれば、今回初めて訪れる人もいた。

オープニングでは、沙也加がこれまでの活動を振り返るスピーチを行った。

「今日、この場所に集まってくださった皆さんと一緒に、多文化交流月間の締めくくりとして、未来のハーレムをどう作っていけるかを語り合いたいと思います。これまでの活動を通じて、私たちは違いを楽しむこと、共に歩むことの大切さを感じてきました。今日は皆さんの思いを共有し、新たな一歩を探す場にしたいと思います」

グループディスカッション

参加者たちは3つのテーマに分かれて、それぞれのグループで自由に意見を交換し始めた。

• 多文化の魅力

「料理や音楽を通じて、こんなにいろんな文化を知ることができたのは本当に貴重な体験でした。次は、もっと地元の人たちが主体的に参加できる形にできたらいいですね」

• 共生の課題

「異文化を受け入れることは理想だけど、現実には言葉の壁や習慣の違いで難しさもありますよね。でも、こういう場がもっと増えれば、その壁も少しずつ低くなる気がします」

• 未来のつながり

「このカフェを中心にした取り組みをもっと広げて、学校や地域の他の場所でも対話の場を作れたらいいと思います。未来のハーレムを、街全体で作れるようにしたいですね」

それぞれのグループで活発な意見交換が行われ、沙也加たちはその光景を静かに見守りながら、次の活動のヒントを掴んでいった。

一人の若者の意見

ディスカッションの後、一人の若い男性が全体発表で手を挙げた。

「僕は学生ですが、将来この街で何かを始めたいと思っています。このイベントに参加して、多文化やつながりについて深く考えるきっかけをもらいました。僕にとって、未来のハーレムとは、違いを超えてお互いを尊重し合う街そのものだと思います。そういう場所を作れるように、これから何ができるか考えていきたいです」

彼の言葉に、会場全体が拍手で包まれた。

サミットの締めくくり

最後に、沙也加が参加者全員にメッセージを送った。

「今日のサミットを通じて、私たちは多くの可能性と課題を見つけました。このカフェや商店街が、多文化や共生のシンボルとしてこれからも成長していけるように、皆さんと一緒に新たな挑戦を続けたいと思います。未来のハーレムは、一人一人の思いから生まれます。その思いを共有しながら、これからも歩んでいきましょう」

手帳に記した言葉

その夜、沙也加は手帳にこう書いた。

「未来を語るサミットで見えた新たな可能性。それは、私たちのつながりが街全体を巻き込む力を持っているということ。この灯を絶やさず、未来のハーレムを広げていこう」

「多文化交流月間」は未来への新たな希望とともに幕を閉じた。物語は、新たな挑戦と可能性を胸に、さらに深い旅路へと進んでいく──。