第5話
まるめて手に持つ この紙も、手紙も、
紙ひこうきにして飛ばせば、遠くに飛ぶのに。
えい、と、紙玉を宙に投げつけると、
あれ?だれかのハンカチが落ちる、
見まちがい?
だれかのハンカチと思ったものが、
たてなおして、空を泳いでいく。
白いちょうちょか。
そう思ったとたん、わては
ちょうちょをたたこうとしていた。
ちょうちょって大事にするものなの?
わからない、でも、前に、〝お岩に〟が、
道のまんなかで ぐったりしていた
ちょうちょをくつの先でつついて
道のはしに寄せていたのを見たことがある。
〝お岩に〟が言うには、
ちょうちょが車にひかれるのが、いやだったんだって。
なにも わからず車にひかれる ねこのことも、
かわいそうだって言ってた。
〝お岩に〟は そう言ってたけど、
わては きけんなもの、わかるよ。
だから、わては、
とうきょうの天空の木がうっすら見える、
この、ひと影の少ない高台の森に現れて、
〝お岩に〟と であったんだよ。
けれど、その〝お岩に〟は もう いない。
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