第3話

たまに いいことも言うけど

変なことばかり言ってる〝お岩に〟は、

ぽつり、もう1つ、気になることをつぶやいていた。


〝きっと、もうすぐで、のらねこ お岩のぼうけんが、はじまるー〟


のらねこ お岩のぼうけん、それ、なあに?


わては、ろうそくをつけたら雰囲気のでそうな

物置き小屋にしのびこんで、ひとの辞書を取ってきて、

わてが顔をだしたら ねこの旅館に見える

屋根がついただけの さらしの棚の、

いつも わてが座るところにまで持ってきて、

やっと、その、ひとの辞書をひろげた。


ぼうけんー


①きけん

②おにぎりをおともに、旅すること


ぼうけん ①の、きけんなんて、みずから

のぞむものじゃないっち。


〝お岩に〟が わてにむかって振りまわしてきた、

にせもののうさぎの毛玉も、よけたことがあるんだっち。


じぶんより一回り、それ以上にちいさい ちいさな虫に

後ずさりしたこともある。


わて、それぐらい、怖いのいやだ、苦手だよ。


でも、②を見ると、よさそう、ぼうけんて、ほんとうは、

わくわくする響きなのかもしれないな。

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