第2話

〝お岩に〟って、白いぼうしの変なやつの名前らしい、

なんでも、そう名のっているんだと。


〝お岩に〟が、道のはしで、ひとり、

つぶやいていたことがあったっけ。


〝だれに呼ばれるより、

なみだはでても 声がでない

のらねこ お岩にむかって

歩きたいんだよ‥〟


〝お岩に〟ってことば、きっと、

わて、のらねこ お岩にむかって歩くという、

この つぶやきを短くしたものだね。


だから、わて、のらねこ お岩がお岩で、

白いぼうしの変なやつが〝お岩に〟と、

ややこしいけど、そう呼んでいる。


それでは、わて、のらねこ お岩の、お岩の意味は?


日本のねこを連想するように、

四谷怪談のお岩さんから名前を取ったと。


わてが、すーっと現れて

いくら なよなよしているからといって、

なんで わてに、女のひとの幽霊の名前をつけてくるの?

ひどいんだっち。

これじゃ、名無しのごんべと呼ばれるようなものだっち。

  • Xで共有
  • Facebookで共有
  • はてなブックマークでブックマーク

作者を応援しよう!

ハートをクリックで、簡単に応援の気持ちを伝えられます。(ログインが必要です)

応援したユーザー

応援すると応援コメントも書けます

新規登録で充実の読書を

マイページ
読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
フォローしたユーザーの活動を追える
通知
小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
閲覧履歴
以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
新規ユーザー登録無料

アカウントをお持ちの方はログイン

カクヨムで可能な読書体験をくわしく知る