第40話
「ちちょっと待って灯! このまま結婚していいのかなって? 昴くんと別れるってこと?」
「……うん」
若菜の言葉に、小さく頷く。
「なんで! 来月! 彼と結婚するんでしょ? それも、あんたの誕生日でもある12月25日に?」
そう、樋宮灯は、来月25日、同じフラワーショップ「ホワイト」で働く1歳年下の婚約者、鳴海坂昴くんと年半の交際を実らせ結婚式を挙げる。
それなのに、どうい訳か、灯は昴くんと突然別れる言い始めた。
「……ごめん。けどもう決めたことなの?」」
申しなさげに頭を下げる灯。
「なんで! 昴くんのこと好きなんでしょ?」
「好きだよ!! 好きに決まってるじゃあん けど……」
彼が、本当に好き? いやぁ? 本当の意味で傍にいたのは……
「ねぇ? 若菜? 若菜さぁ? 好きな人の為なら、自分の全てを犠牲にできる?」
「んん? 全ては無理かな? どんなに好きな人の為でも。自分の全部を捧げるのは無理だし、それ以上に好きな人は、なんでも言い合える平等な関係で私はいたいかな?」
自分の意味不明な質問にも起こることなく、真剣に返事を返してくれた若菜に、灯は、ここ最近、ずっと心の中に抱え込んでいた昴への想いを打ち明けることにした。
「……そうだよねぇ? なぁ? 若菜? 相談乗って貰っていいかな?」
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