第38話
「それより、今回の事、城谷所長には、ちょっと話としてあるんだよなぁ?」
「いやぁ? お前以外誰にも話してないけど?」
「はぁ? 俺以外って。大丈夫なのか?」
「大丈夫だよ! それに、今回の依頼、あくまで、泉石渚くんと便利屋野口一としての契約だから」
「はぁ? 便利屋!?」
野口の言葉に、斗真は更に意味が解らなくなる。
「そう? 便利屋? それに、斗真も知ってるでしょ? 朧くんも元バイト先の」
「あぁ」
野口の言葉に、彼の言葉に納得していないかった斗真も「あぁ」と声をあげながら、頭の中である人物の姿を思い浮かべる。
「そう言うことだから、別に、俺が所長に話せなくても、向こうから所長の話しが行くじゃあない?」
「だな。それにしても、所長? あぁ見えて、意外と人脈多いよなぁ?」
「はぁ? お前、それ本気で言ってる?」
斗真の言葉に、今度は野口が首を傾げる。
「はぁ? 斗真? あの人、一応うちの事務所の所長だぞ。人脈あるに決まってるだろう? それに、出来るなら2度と口にしたくないけど、黒鳥恭輔のこと2代目judge 海月梓の元相棒なんだから、これぐらい人脈糞ぐらいだろう? それに正直言って、城谷所長が嫌いなんだよ?」
「……」
野口のあからさまの拒絶反応に、斗真は何も言い返せない。
(そう? あの人は、2年前。零を及びゼロを見捨てた。そんな人間に、どこか雰囲気が似ている彼を近づるつもりはない)
そう、あの泉石渚と言う青年は、2年前、自分の大切な者を護るために、この世を去った一夜零に似ている。
だからこそ、そんな彼から頼まれた、草津千里の事を野口は、見捨てることが出来なかった。
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